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「思い込み」が激しい人にかける言葉の作り方(4) ― 一般化をゆるめて新たな思考の水路を作る

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こんにちは、しごとのみらいの竹内義晴です。

「思い込み」が激しい人にかける言葉のかけ方について連載しています。

JR SKISKIのキャッチコピーは、「ぜんぶ雪のせいだ」だそうです。このキャッチコピーのことは、私は全然知らなかったのですが、先日の雪害のときに、このコピーをいろんなところで目にしました。実際には雪のせいではなかったこともたくさんあったと思うのですが(笑)。

「ぜんぶ」とか「みんな」と言われると、結構その気になってしまいますよね。

「ぜんぶ雪のせいだ」のように、思わず楽しくなるようなものならいいのですが

  • 「この瞬間もみんな頑張っているに違いない」
  • 「最近全然うまくいかないんだよね」

のように、本当はみんながんばっていないかもしれないのに一人で追い込んでしまったり、本当は上手く行っていることもあるのに、「ぜんぶ」と思ってしまうことでテンションを下げてしまったり……ということがよくあると思います。

こういう、「ぜんぶ」「いつも」「みんな」「すべて」で表現される言葉を、「一般化」と言います。一般化とは、「例外もあるはずなのに、すべてそうである」のようになっている言葉です。

今日は、「一般化」された情報を切り離して、新たな視点を作るというお話です。

一回目の「思い込み」が激しい人にかける言葉の作り方(1)―「できないことがわかっているのに強制するのはパワハラだ」にどう対応するか?の例に挙げた

  • 「自分はそれをやったことが無いからできない。やったら必ず失敗する」
  • 「失敗したら、自分は責任を負わされる」
  • 「できないことがわかっているのに強制するのは、パワハラだ」

にも、一般化されているものがあるので、今日はこれらを例に進めましょう。

 

「一般化」された思考をゆるめる

「すべてがそうである(全称限定詞)」をゆるめる質問

「いつも」「みんな」「すべて」などの言葉で断言されているものを、「いつも?」「みんなが?」「そうでない人は一人もいないの?」「すべて?」などの質問で、その断言を緩め、選択肢を広げます。

  • 「自分はそれをやったことが無いからできない。やったら必ず失敗する」→「必ず?」「今まで、一度も上手く行ったことはないの?」

加えて、「赤ちゃんのときは何もできなかったのに、今は歩けるし、話せるでしょう?歩いたり話したりするのは相当難しいことだと思うけど、それでもちゃんとできたでしょう?」みたいに一言添えると、「できない」→「できる」に目を向けるきっかけを作ることができるかもしれません。

 

「しなければならない(必然性)」/「○○できない(可能性)」をゆるめる質問

「しなければならない(必然性)」や「○○できない(可能性)」で縛られている状態を、「何がそうさせるの?」「そうしたらどうなるの?/どうならないの?」などの質問で制限をゆるめます。

  • 「自分はそれをやったことが無いからできない。やったら必ず失敗する」→「もしやったらどうなるの?」
  • 「失敗したら、自分は責任を負わされる」 →「もし責任を背負わされなかったらどうなの?」

このように、「もしも~だったら」という質問をすることで、「やらない」→「やる」、「背負わされる」→「背負わされない」という、新しい視点に導くことができるでしょう。

 

「前提」をゆるめる質問

何かしらの前提があるために、行動が制限されている場合があります。

たとえば、「自分はそれをやったことが無いからできない。やったら必ず失敗する」には、「始めてやることはうまくいかない」「初めてのことは失敗する」、「失敗したら、自分は責任を負わされる」 には、「失敗する」、「できないことがわかっているのに強制するのは、パワハラだ」→「自分にはできないことがある」ということが前提になっています。これらを一言で言えば、「自分にはできない」というのが前提になっているんだね。きっと。

このようば場合は、「何があなたにそう思わせるの?」「どのように分かるの?」などの質問で前提の根拠や確証を明確にすることで制限をゆるめます。

  • 「自分はそれをやったことが無いからできない。やったら必ず失敗する」→ 何があなたに、「必ず失敗する」って思わせるの?
  • 「失敗したら、自分は責任を負わされる」 →「失敗するって、どのようにわかるの?」

前提となっているところに、「そもそも、その前提って……」のようなニュアンスで、その前提のありかに問いかけると、今まで気が付いていなかった前提に対して「どうではないかも?」という新しい思考の水路を作ることができるでしょう。

~~

一般化は多くの人が本当によく使っています。たとえば、政治家の方が使う「国民」などがそうですね。あと、子供たちがよく使う、「クラスのみんなが○○を持っているんだよ」の「みんな」もそうです。テレビや日常の会話の中から、一般化されている言葉を見つけてみることから始めてみると面白いかもしれません。

もし、あなたの周りに、一般化によって何かしらの制限になっている人がいたら、ちょっと問いかけてみると、新しい可能性や選択肢を広げられるかもしれませんよ。

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