妙高からの挑戦 ― コミュニティカフェを作ります
こんにちは、竹内義晴です。
暑さもひと段落した感じですね。
春から夏にかけての、草木がグングン伸びてくるような勢いも、これからの季節はグッと落ち着いて、収穫の時期を迎えます。しっとりと、でも確実に、1歩1歩歩みを進めて行きたい、そんな、今日この頃です。
さて、9月より新しいプロジェクトを始動させたいと思っています。妙高高原に新しいスタイルのコミュニティカフェを作ります。
カフェといっても、いわゆる「コーヒーを提供するお店」ではありません。もちろん、おいしいコーヒーもご提供するのですが、このカフェは「飲食店」というよりも、「場」または「コミュニティスペース」と言った方がいいかもしれません。
この物語は、ちょうど1年前、2012年8月21日に生まれました。あの日はとても暑い日でした。その時の記録は、『もしも、「ビジネスマンのための、癒しのホテル」があったら・・・』というエントリーに残っています。
この物語は、こんな一文から始まります。
エアコンいらずの妙高もここ数日は暑いので、手帳と、缶コーヒー1つ持って、妙高山が一望できるいもり池に行って、一人の時間を作ることにしています。日陰に入ると、とっても涼しいので。
そしたら、急にあるアイデアが降りてきてしまったので、急いで手帳に書き記しました。叶う、叶わないはさておき、ここに残しておきたいと思います。
そのアイデアとは、妙高でビジネスマンのための施設を経営するというもの。その名を「ハッピーライフワークセンター」とか「ネイチャービジネスセンター」と言います。
その施設は、妙高山のふもと池の平地区か新赤倉地区にあります。
観光地妙高高原にありながら、その施設は観光客のためではなく、ビジネスマンのためにあります。
そこにいるのは、都会で活躍しているビジネスマン。ちょっと仕事に疲れたので、休暇ついでにこの施設にやってきました、カフェでコーヒーを飲んでゆっくりくつろいだり、棚に置いてある小説を自由に読んだり、でも、ちょっとだけ仕事をしたり。他には、執筆業をされている方やIT関係のビジネスマンもいます。パソコンさえあれば仕事ができるので、Tシャツにジーンズ、サンダルというラフなスタイルで、文章を書いたり、プレゼン資料を作ったり、プログラミングをしたりしています。
仕事に疲れたら、外に出て緑の中を散策します。自然のエネルギーを感じながら歩いていると癒され、行き詰っていた仕事に新しいインスピレーション、クリエイティブなアイデアが降りてきて、「よしっ、やるぞ!」という力が湧いてきます。
施設の中には、セラピールームがあります。そこでは、アロマセラピーやマッサージが受けられるほか、普段、なかなか人に相談ができない経営者やリーダー層は、話すことで日頃、肩に背負っている重たい荷物を下ろすことができ、癒され、カウンセラーの何気ない問いかけに「あ~、そうか!」という気づきが生まれています。また、本格的なカウンセリングも受けることができるので、仕事に疲れ、肩の荷を下ろしたい方も相談に訪れています。
その他詳しくは、リンク先を読んでみてね。
この物語が降りてきたとき、「楽しそう」「面白そう」と思ったものの、一体どうすればそれが叶うのか、私には何のプランも持ち合わせてはいませんでした。ホテルと言えば、以前バイトで1週間働いたことがあるぐらいで、知識や経験は全くありません。去年の今の段階では単なるアイデア(というより、妄想)です。できるかどうか分からない。いや、できるはずがない。
しかも、妙高市の第1次妙高市総合計画によれば、観光客は平成3年から減少傾向にあるそうです。老舗のホテルも廃業するわ、駅前のおみやげやさんも1件を残して無くなるわで、どちらかといえばお先真っ暗。そんな中でホテルなんて無理無理。
けれども、この物語はボクにとって、とても面白いものに感じられました。「こんな場があったら、ボクもここで働いてみたいなぁ」。叶うか叶わないかはよく分からないけど、できるところからやってみようかなぁ・・・具体的なプランがあるわけではありませんでしたが、できることから始めてみることにしました。
そこで、1つひとつはすごく小さなことなのですが、今までこんなことをやってきました。
妙高の素材を使った自然酵母パンの開発
イーストの代わりに、地元食材(今は、地元の酒蔵の酒粕)を酵母にした自然酵母のパン作りにチャレンジしました。料理は好きな方なのでそんなに難しくないだろうと思っていましたが、現実は違いましたね。パンが全然膨らず、酵母が悪いのか、何が悪いのかわからないまま何度も作りました。それでも、続けていれば形になるものですね。次第にコツが分かるようになってきて、今ではだいぶ上達し、機会を見つけては、いろんな方に試食してもらっています。
食品衛生管理者の取得
カフェをやるためには、食品衛生管理者の資格が必要です。講習を受けました。
おいしく、心地よいコーヒー
できればおいしい、できれば地元のコーヒーがいいなぁと思って、インスタントから豆をミルで挽いていれるようになりました。実はボク、コーヒーショップのような、いわゆる、薫り高く、コクが深く、苦味が強いのは苦手。だからインスタントのほうが好きだったのですが、コーヒーは味以上に、入れるプロセスが楽しいです。ミルで豆をゆっくり挽いている感覚や時間がすごく心地いい。カフェでは、この感覚をぜひ味わっていただきたいです。
畑で草むしり
いろいろ悩むこともあったので、畑でよく草むしりをしながらコンセプトを明確にしていきました。畑は仕事で大切なことを教えてくれました。草むしりって、あたまとこころ、そして、からだを整理するのにめちゃくちゃいいんですよね。草むしりは今後、ビジネスマンの癒しのプログラムとして加えたいものの1つになりました。
やりたいことを周りの人に話す
パンを食べてもらうために、「今度、カフェやりたいんだ」と、必然的に夢を周りの人に話すようになりました。今まで、ネットに書き込むことはあったけれど、自分のやりたいことを人に話すことはあまりなかったので、この変化が一番大きかったかも。
SNSで経過を発信
パンのこと、コーヒーのこと、草むしりのことなど、今までのプロセスをFacebookや個人ブログで情報発信しました。「パン教室やったら?」「草むしりやりたい」など、いろんな声が寄せられました。
物件が出てきた
これらのことをやっていたら、「うちの建物を使いませんか?」と声をかけてくださる方が現れました。妙高高原の東赤倉地区、国立自然公園の中にある別荘。ベースはカフェではありませんが、雰囲気がとてもよい建物です。一目で気に入り、希望通りの条件で貸していただくことになりました。
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これまでは、その1つひとつが仕事の合間の、個人的な遊びの延長としてやってきました。しかし、1年前は、大きすぎて叶うはずのなかった妄想も、時を経てくることに、「パン」「コーヒー」「資格」「コンセプト」「仲間」そして、「建物」・・・少しずつ、少しずつ、カフェに必要なパーツがそろってきていることに気がつきました。「あれ?ホテルはまだできないけれど、今あるパーツを組み立てれば、カフェならできちゃうんじゃない?」みたいな。
そこで、「カフェ」の形に挑戦してみることにしました。
でも、正直、不安もたくさんあります。妙高にこのようなコンセプトのカフェを作っても、お客様にきていただけるのか、また、資金繰りも含めた事業計画をブラッシュアップしていく必要があります。ある助成事業では書類審査は通り、面接審査まで行ったのですが、残念ながら現在は振り出しに戻っています。現状は未熟なところが、まだたくさんあります。
それでも、1年前は何もなかったものが、ここまで形になってきたわけだから、もうちょっと行ってみようかなと思って。地域にとっても、観光だけじゃない、新しい人の流れをつくることができたらうれしいし。
今までは不完全要素が多かったので、オルタナではこの話をすることはあまりありませんでした(ここでパンの失敗談を話しても、面白くないでしょう?笑)。それでも、ビジネスモデルとしてある程度形が見えてきたので、今後は、妙高の実情や、ビジネスマンが抱えている課題、コンセプトの詳細、パンのこと、コーヒーのこと、作業風景、今必要なもの、困っていること、今後の進め方・・・などなど、いろいろとシェアしていきたいと思っています。
オープンは来年4月が目標。それまで、コンセプトを改めて練ったり、草刈りをしたり、建物の修繕をしたり、掃除をしたり、保健所の許可を取ったり、メニューを決めたり、試作したり、応援してくれるみなさんと一緒に、1つひとつ形にしていけたらいいなぁと思っています。
このブログをご覧のみなさんは、IT関係やコンサルタント、クリエイターなど、PCひとつあれば仕事ができる方も多いと思います。街のカフェもいいけど、時には街を離れて、豊かな自然の中で癒されながら、クリエイティブな仕事ができたら楽しいと思いませんか?もし、面白そうだなと思ったら応援していただけたらうれしいです。そして、「一緒にやってみたいな」と思ったら触れてみてください。気持ちでも、知識でも、アイデアでも、作業でも、モノでも、お金でも、な~んでもうれしいので。NPO法人しごとのみらいの枠組みでやります。「みんなで創る」という感覚を大事にしていきたいと思っています。
最後に・・・今日、妙高で、星空の下でたき火を囲み、コーヒーを飲みながら地域や仕事の話をする会を開催します。このお話ももちろんしますよ。もし、お近くの方で興味があったらどうぞ。