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スタッフとよい関係ができ、患者さま(顧客)からも信頼されるコミュニケーションとは?

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先週、知人が開催しているセミナーで、病院の先生方にコミュニケーションに関するお話をさせていただく機会をいただきました。普段、病院の先生方と接する機会はあまりないのでやや緊張しましたが、みなさんとても気さくな方で、私も楽しくお話させていただくことができました。

テーマは、「スタッフとよい関係ができ患者さまからも信頼されるシンプルコミュニケーション」としました。

お話を伺うと、病院の先生方はスタッフとの関係性に悩まれている方が多いのだとか。(そういえば、以前、私のクライアントでも同様の悩みを抱えていた方がいらっしゃいました)。私は患者の立場ですが、病院にいくときはただでさえ弱っているわけですから、雰囲気がギスギスしている病院よりも、和やかで安心感のある雰囲気の病院に行きたいと思います。

ってことは、病院も医療技術に加えて、スタッフや患者さんとの関係作りも大切ってことですよね。

さて・・・

今回の講演では、私が、コミュニケーションで最も大切だと思っていることをお知らせしました。それは、「相手が言葉にしていない、本当の気持ち(背景)を知り、合わせる」ということです。

なぜなら、「私たちは体験のすべてや、本当の気持ちを言葉にいい表しているわけではない」からです。

この記事をご覧のあなたは、医療関係のお仕事をされていないかもしれません。患者の部分を「顧客」と読み替え、ご自身の仕事と置きかけてお読みくださいね。

たとえば、先日、私の娘の歯が痛くなりました。歯医者さんに行くと、「どこが痛いの?」と、今、起きている症状を聞いてきます(歯が痛いのですから当たり前です)。私の娘は確かに歯が痛いのですが、でも、家で見ていると、歯が痛いことよりももっと気にしているのは、「初めての歯の治療で怖い」「いつまで続くのだろうか?という恐怖」「好きなお菓子が食べられない」など、「歯が痛いという現象」以外にもたくさんあることに気づきます。つまり、「歯が痛いという現象」だけ見ていると分からない、『歯医者に行く背景』があるわけです。

このようなときに、「歯が痛いの?」という現象面に触れるのもいいのですが、もし、「初めての歯の治療は怖いよね」とか「好きなお菓子が食べられないなんて残念だよね」とか「今日、治療をすればもう大丈夫だよ」とか、『「歯が痛い」という現象の裏側にある背景』・・・つまり、本当の気持ちの部分を分かってくれたとしたら、「この先生は、私の気持ちを分かってくれる」につながると思うんですね。

また、具合が悪いとき、私たちは顔色が悪くなることがあります。このとき、「顔色が悪いけど、大丈夫?」と聞くと、多くの人が「大丈夫」と答えます。でも、本当は大丈夫じゃないという、『裏側の気持ち』があったりします。このように、人は言葉にするときに嘘をつくことがあります(もちろん、相手を気遣って)。

このようなときに、「大丈夫」という言葉に触れ「そう、大丈夫なんだ」で済ませるのもいいのですが、もし、「本当は、結構つらいんじゃない?」と、裏側にある本音を分かってもらえたら、「この先生は、信頼できる」につながると思うんですね。

ということは、スタッフとよい関係ができ患者さまからも信頼されるようになるためには、スタッフや患者さんが「言葉にしていないことを読み取る(顔色は嘘をつくことがありませんし)」もしくは、「聞き出す(ヒアリング)」することが大切だということになってきます。

実際、先生方はこのような実例を寄せてくださいました。

「先日、歯が折れたという患者さんが来たんですが、その子はサッカーをやっているんです。私は、サッカーをやっていると知っているので、『サッカーで折ったの?サッカー好きだもんね』と、背景に合わせて行くことができます。でもこれは、長い間その子に関わってきたからできることで、「この子はサッカーをしている」ということを知らない新人の助手にはできないことです。でも、この場合、サッカーのことに触れたほうが患者さんといい関係ができることはわかっているからこそ、助手に「何でできないんだよ~」と思ってしまうのですよ」

とおっしゃっていました。

このような能力を身に付けるのは、難しいですよね。また、先生がおっしゃっているように、信頼関係を作るために長い関わりが必要になっていました。

そこで、これをシンプルに聞き出すコミュニケーションの技術についてお知らせしたところ、「これは分かりやすくて、どこにでも応用がききますね」という声をいただくことができました。

病院も医療技術に加えて、スタッフや患者さんとの関係作りも大切だと思いますので、お役に立てていましたら幸いです。

さて・・・

講演自体はスムーズに進み、その後の懇親会で、コーチングに対する生のご意見を伺いました。正直、「コーチングのイメージはここまで悪かったのか・・・」と思いました。

次回は、「落ちているコーチングのイメージ」についてお知らせしたいと思います。

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