普通の人とコミュニケーションの達人の違い
企業研修でお話した内容
『「自発的」な仲間を増やす7つのヒント』
というテーマで連載しています。
前回は、
「クイズ番組と、自発的な仲間が多い職場との意外な関係」
というお話でしたね。
「自発的」な仲間を増やすためには、
「なぞなぞ」(問いかけ)が必要だというお話でした。
まるで、クイズ番組の司会者にでもなったような気分で、
「これってさぁ、どうしたらうまくできると思う?」
「○○さんって、いつも契約を取ってくるけど、
何かポイントでもあるのかなぁ?」
職場の中で「なぞなぞ」を出し合う。
そうすることで、「あっ、そうか!」を起こすきっかけができ、
自発的なスタッフが増える
・・・というお話でした。
今日は、
「普通の人とコミュニケーションの達人の違い」
と題し、職場で自発的な仲間を増やすコミュニケーションを取る際に、
気にしておくとよいポイントについてお話します。
「問いかけ」の威力
「あっ、そうか!」を起こすきっかけを作る問いかけは、
職場の仲間に考えるきっかけを作ります。
この問いかけの威力は非常に強力で、
職場の仲間を
望ましくない方向へ連れて行くこともできれば、
望ましい方向へ導くこともできます。
たとえば・・・
職場の同僚Aさんが、
顧客に郵送する請求書の印鑑を押さぬまま、
送ってしまったとしましょう。
(↑私が時々やってしまう失敗です(苦笑))
投函した後に印鑑を押していなかったことに気がついたAさんは、
困った顔をしてあなたの元にやってきました。
「すみません、A社の請求書に印鑑を押すの忘れてしまいました・・・」
このように言われたとき、多くの方は、
「なんで押し忘れちゃったの?気が抜けてるんじゃない?」
というような問いかけをしてしまいがち。
(↑以前のボクなら、もっと責めていると思います。)
誰が悪いのかと言ったら印鑑を押し忘れたAさんが悪いわけで、
こう問いかけてしまうのは不思議ではありませんが、
Aさんはきっと、自分の失敗を悔いるでしょうね。
このような場合、コミュニケーションの達人なら・・・
きっと、こんな風に問いかけると思います。
「それは困ったな。もう送ってしまったものは仕方がない。
お客さんも、印鑑がない請求書が送られて困るだろう。
お客さんが困らないようにするには、どうすればいいと思う?」
Aさんはきっと、
お客さんの手元に印鑑がない請求書が届くシーンをイメージするでしょう。
そして、達人の問いかけに対し、
「そうですね。今すぐに電話をして、
印鑑がない請求書が届くことを伝えようと思います。
そうすれば、少なくとも困らなくても済むと思います。」
のように答えると思うんですね。
それを聴いたコミュニケーションの達人は、
「そうだね。
じゃあ、印鑑を押した請求書もすぐに再送しておけばよさそうだね。」
Aさんは、これで顧客への迷惑が最小限になることに気づき、
安心するかもしれません。
さらに、コミュニケーションの達人はこう問いかけます。
「ところで、今回は印鑑を忘れてしまったわけだけれど、
次回、同じようなことが起きないようにするためには、
とうすればいいと思う?」
達人にこのように問いかけられても、
人的ミスは、防ぐことがなかなか難しい場合もありますよね。
Aさんは答えに悩むかもしれませんが、
それでも、
「請求書を送る際のチェックシートを作ります」とか、
「同じようなミスが他の人にも起きないように、朝会で連絡します」など、
何らかの答えを出すのではないでしょうか。
普通の人と、コミュニケーションの達人の違い
問題が起きたとき、普通の人は、
「なぜ、その問題が起きたのか?」
問題の原因を探ろうとしがちです。
このような、過去の原因を探る問いかけは、
相手の考えを問題の範囲にとどめてしまいます。
一方、コミュニケーションの達人は、
「どのようにすれば、その問題を解決できるか?」
問題の解決に目を向けます。
このような、未来の問題解決に向けた問いかけは、
相手の考えを問題の解決に導きます。
この問いかけの違いを一言でいい表せば、
「なぜ」(原因追求:過去への問いかけ)と
「どうすれば」(問題解決:未来への問いかけ)の違いです。
解決志向・・・
これが、コミュニケーションの達人の特徴です。
もちろん
職場で問題が起きたとき、
再発防止のために、
問題の原因を明らかにすることは、とても大切なことです。
けれども、いつまでも「なぜ?」「なぜ?」と原因追求をしていると、
相手の視点を問題ばかりに向けさせるので、気も落ち込みがちです。
それならば、どこかのタイミングで、
「どうすれば?」という問題を解決するような問いかけ(未来への問いかけ)
をすることで、
職場の仲間を望ましい方向へ導くこともできます。
目の前には同じ出来事が起きている中で、
相手を問題の範囲にとどめるか、
問題の解決に導くか
これは、問いかけの仕方で変わります。
この違いは大きいですね。
ですから、あなたがもし、問いかけをやってみようと思ったら、
仲間の視点を、問題の解決に導くように、
「どうすれば?」という未来の問いかけを意識してみてくださいね!
さて、これまで連載してきた
『「自発的」な仲間を増やすヒント』
は、今日でおしまいです。
問いかけには問題を解決するさまざまなヒントがあるので、
この続きは、また次の機会に。
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