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「考える習慣を作る質問返し」と「嫌われる質問返し」の違い

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 前回、「問い」についてお話をしたところ、kawakamiさんより「質問返し」についてのコメントがありましたので、今日は「質問返し」についての私の考えについてお話してみたいと思います。(kawakamiさん、記事を書く機会をいただきましてありがとうございます!)

▼考える習慣を作る質問返し

 子どもに自分で考える習慣をつけてもらうために「質問をするということが大切だ」とよく言われますね。

 例えば、昨日の記事のように、子どもから、

「ね~、パパ~、なんで~、おにぎりにはしおをつけて~、ごはんにはしおをつけないの~?」

と問いかけられたときに、

「それはね、家でごはんを食べるときと違って、外で食べるときはおかずが限られているでしょう?だから、最初から塩味をつけて、おかずが少なくてもいいようにしてあるんだよ。また、塩にはバイキンを殺す力があって、ご飯をバイキンから守ってくれるんだ」

と、答えを与えることもできますが、

「○○ちゃんは、どうしてだと思う?」

と問いかけることで、子どもに考える機会を作ることができ、

「え~っとね~、しおをかけたほうが、おいしいからだとおもう~」

というような、子どもなりに考える機会を作ることができます。

▼嫌われる質問返し

 一方、嫌われる質問返しもあります。

 嫌われる質問返しで代表な例と言えば、多くの方が一度ぐらいはご経験があると思いますが、合コンなどで「今いくつ?」と聞いたときに「いくつだと思います?」と返されるアレです。

 なんだか、試されているような感じがしますし、「若く言わせよう」という魂胆(こんたん)が伺えることが、私たちに嫌な感じを抱かせるのでしょうね。「わかんないから聞いてるんだよ」……そんな気分になってしまいます。

 どうやら、誘導感や操作感があると、無意識のメッセージとして相手に伝わってしまうようです。そして、相手は「嫌な感じ」がして、下手をすると信頼関係を損なってしまう危険性をもはらんでいます。

▼質問返しで意識したい点

 多くの会話術に見られるように、コミュニケーションの「テクニック」が広く伝えられるようになりました。テクニックを使う側がどうして使いたくなるのかを考えてみると、誤解を恐れずに極端な言い方をすれば「相手を思い通りに動かしたい」からだと思います。

 一方で、子どもの「本来持っている力を伸ばす」という点を考えたとき、この誘導感や操作感が邪魔をし、相手に嫌な感じを抱かせてしまいます。「だから、誘導感や操作感を抱かないようにしましょう」と言うのは簡単ですが、それが意外と難しいんですよね。これが身につくまでは、それなりの練習が必要です。

 このような場合にオススメなのが、「質問返しした後に、自分の考えもちゃんと言う」ということ。子どもとの間に、対等な関係を作り、一緒に考えるというわけです。

 たとえば、子どもに「なんでだと思う?」と問いかけ、子どもが答えを返してきたら、「そうだよね。そういう考えもあるよね。」と、それが合っていてもいなくても、まず、子どもの答えを尊重します。その上で、子どもに言わせっぱなしではなく、「パパは、○○だと思うんだ」と、自分の意見を言うようにするのです。自分の意見もちゃんと後で言わなければならないので、子どもと対等な立場になりますし、何しろ誘導している間もないというわけです。

 自分も一緒に考えることで、ともに成長できると思います。私はそんなことを意識して、質問するようにしています。

 これは、自分で考える部下を育てるときにも同じことが言えそうです。社員教育の観点で、近い将来、ビジネスマンの不死身力の連載でも触れてみようと思います。

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