【不況対策】ITの6兆円追加経済対策は本当に有効なのか?
自宅にあった新聞を整理していると、ふと「IT分野に6兆円」という記事に目が止まりました。タイトルに視線をずらすと「省エネ家電に補助 追加経済対策 消費を刺激」と書かれています。
新聞を読んでみると、書かれていた内容はこうです。
新潟日報 3/1版より
追加経済対策の情報技術(IT)分野原案のポイント○低炭素社会の実現
・省エネ家電の買い替え促進
・携帯電話の回収促進モデル構築
○産業変革
・ITと製造業の融合促進
○中小企業変革
・IT経営応援隊
○地域・産業変革
・ITを活用した農商工連携
・革新的ITによる地域資産活用
○電子政府、安心・健康社会の実現
・車載ITを活用した緊急医療体制構築
・公共施設のIT化推進
・デジタル図書館など、スーパーeラーニング
となっています。
なんだか、これまでも目にしてきたような言葉が並んでいるなぁという感想です。全体感として「今ITか?」という気がしてなりません。
■「低炭素社会の実現」について
買い替えを促すことが本当に低炭素社会につながるのか?というのは、先日書いた記事「自動車のCM「エコ替え」はエコか?」に通じるところがありますが、景気刺激策としてはわからなくもありません。けれども、もうエアコンも冷蔵庫も多くの家庭にあると思います。新たなモノを生産・消費するのもいいですが、その分を今困っている中小企業の融資や、取り残されてきた農業の発展などに使えないものか…と思います。
■「産業変革」「中小企業変革」「地域・産業変革」について
これらの施策はずいぶんと前から言われていることですが、IT経営応援隊など、時々参加するIT関係の会合の中でその成果を耳にすることがあまりありません。セミナーもSWOT分析などの経営分析手法の講座が中心ですし、理論は分かっても「でぇ、どうしたらいいの?」となると、よくわからないというのが実情だと思います。講師が経営を経験していない方が多いですし、。(未だに地域のホームページのリンク集を作ることが施策となっているところもあるぐらいです。)
■「電子政府、安心・健康社会の実」について
新聞によれば
取り扱いがやさしいインターネット端末機器を高齢者や失業者に配布、公共施設や商店街などにも設置して年金や医療情報を簡単に入手できるようにする。山間部や離島の小中学生がネットで語学講座や受験講座を受けられる「デジタル図書館」も整備する
とあります。私の地域は山間部です。地域のコミュニティセンターのようなところにパソコンは設置されていますが、使っている人は皆無ですし、デジタル図書館なら実際の本をもう少し増やしてもらったほうが助かります。また、以前高齢者団体の方に「パソコンを教えてくれ」と頼まれたことがあり、高齢者の方に何をしたいのか聞いたことがありますが、多くの方は「ボケ防止」「自分の名前を打てればよい」などが実際に聞かれた生の声でした。年金なら銀行に行けば分かることです。
さらに、雇用対策という言葉も見られ、官民で3兆円を集中投資し、40万-50万人の雇用創出を目指すと言います。システム開発が雇用だけではないにしても、これだけの雇用が本当に作られるのでしょうか?技術が必要な仕事です。人を割り当てればよいという業界でもありませんしね。
以前、日経コンピュータ2005年11月28日号で「検証 電子政府」という特集が組まれました。5年の歳月と3兆円投資した電子政府関係の利用率は、数%だったと記憶しています。せっかくお金を使うのです。同じ結果にならないことを祈るばかりです。