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クラウドコンピューティング: 雲の中のネットワークの雲が晴れるときにそこに糸電話?

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とりあえず旬を迎えつつあるクラウドコンピューティング。その効用と活用すべき分野についての記事、あるいはセミナーやブログ等での発言が引きもきらないわけですが、通信屋としての私としてはどこまで行っても同じことを心配しています。基本的な情報処理リソースは雲の中にあるんですが、実際には雲の中のリソースをつなぐネットワークが無くてはいけない。でもたいていの場合、アプリケーション処理のためのリソースが注目され、「つなぐ」という視点が限られてくるところ。バラ色の雲が晴れると何が見えるのか?

 

糸電話は極端ですが

利用しようとするリソースが何処にあるかを全く意識しないでいましょうよ、という発想がどこかにあるわけですが、この発想自体は全然新しいものではなく、特にIT業界に足を踏み入れた時にデータセンターの営業をやっていた私の場合には「結局昔から言ってたことと本質的には変わりないじゃん」という印象をいまだに持っています。

もちろん時代背景は違います。私がデータセンターをやっていた頃はコンピューターシステム自体が非常に高価な中、日常の業務処理は自社でやったとしてもピーク時に溢れるトランザクションをデータセンターでやったらどうでしょう?みたいな売り方をやっていたわけです。更に言うとバッチ処理(一括処理)のデータ処理が多く、いわゆるオンラインをデータセンターで受託するケースは、少なくとも当時は非常に少なかったのは事実です。

その頃の情報処理環境は基本的にホストといわゆるダム端末の世界。通信回線は公衆回線なら2400bps、専用線でも9600bpsあたりが限界で、ソコの中を切り詰めつつ使っていましたが、自営でオンラインを作っても同じような状況でしたので自社処理と変わらない内容を社外で実現することも比較的可能でした。が、気がついたらLANはギガの単位だったりしますし、サーバーなどのパフォーマンスも比較になりません。よくよく考えると、当時のメインフレームのプロセッサー自身の処理能力なんて目の前のPCよりも低かったりしたわけですが、まぁ、それは時代というもの。

 

避けては通れない「ネットワーク」の存在

何を今いまさら、という話ですが、とにかくいまやネットワークを通じて何も出来ない状況を許してもらえる環境ではありません。何かが何かの手段を通じて何らかとつながっているわけです。方法論は時代に合わせてニーズが変わるので変化はしますが、本質的には何も変わらず、ということなんじゃないのかな、という印象が日々強くなります。

以前のエントリーIT業界の中で「誰かが繋ぐ」という視点が欠ける件について今だからいえる、Web2.0ってそもそも何なんだっけ?を書いたときにも考えていたのですが何かと何かをつなぐ手段としてのネットワークについての視点がどうしても欠ける気がします。確かにネットワークというか通信手段っていうものは空気みたいなものなのですが、地球ほど規模が大きくなくて、実は宇宙ステーションの空気くらいなもので、想像以上に限られたものしかない。それも、需要は伸びるし供給もそれなりに伸びるのに価格は下がるという慢性的なデフレ状態にあるわけです。高止まりする必要はないのですが、意識として限りなく無料で使えるという意識がどこかにあるような気がします。もちろんそれ自体が価格を下げさせるトリガーになるので決して悪い話ではないのですが、問題は供給についても無限にあるような意識。

どうしてもここだけは常に注意が必要な気がします。

 

ただ、ネットワーク自体がインテリジェンスを持ちすぎるのもどうかという気はしています

NGNの是非については報道されているものや記事なっているものを眺めても混沌としています。注意深く見ると、これはネットワークから見た情報処理分野に対する支配の流れだとか、あるいはNGNの提供者中心の封建制度だとか、ある意味極論とも思える話もあったりします。認証やIPアドレスの方式など、歴史的経緯や力関係などから一概に誰がどうのとは言いにくい状況もあるのですが、ココで注意しておくべきなのは、情報を処理する方法の動きとは別に、使うべき情報をつなぐ側での動きが市場を左右しかねないという状況です。

私自身は誰に組するものでもありませんし、誰が何を目指しているのか(実はみんな最初はあんまり深く考えていないんじゃないかと思ったりもしますが)についてココで触れる気もないのですが、表面上の動き、そしてその背景だけはきちんと見てゆかないと、自由に動いていたはずなのにある日突然誰かの支配下に置かれているという状況が生まれかねません。

クラウドコンピューティングの雲の中はよく見えません。まるでラピュタの城のようです。でも雲の中にはいろんなものがいるのも事実だという認識。天使だけじゃないという認識。疑う必要は無いと思いますが、とりあえずそんな認識を持ち続けることが大事なんじゃないかと思います。

 

因みに「クラウド」などといった概念的なものではなく「ネットワークが存在の前提となっている製品あるいはアプリケーション」というものについて本当はもう少し突っ込んだことを書きたいとは思っています。ものの言い方を間違えると大変なことになるのが想像できるのでちょっと長考に入ってます。変な予告編になりますが、実現するかどうか・・・ しばらくお待ちください。
 

 

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