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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

ドローンショウが火の雨を降らせる事故となった先にある、ちょっと怖い想像

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数多くのドローンを同時に飛ばすドローンショウは既に世界各地で開催されているのは既に知られた話です。中には花火のショウをドローンショウに置き換えて開催したケースがあるといった話もあるくらいで、花火とは違う表現力が世界各地で高く評価されているのだと思っています。ただ、もちろん花火のショウ、日本で言うといわゆる花火大会はもちろん世界各地で今でも開かれているわけですが、どちらかに寄せるのではなく両方を一度に開催してしまえという話が出るのも、まぁ理解できます。ただ、上空に飛ばすドローンと、上空に打ち上げる花火とはそもそも制御の思想自体が違う気がするのではありますが...

観客の真上で展開するドローンの群れからまさかの「ナイアガラ」

中国はもともと大規模なドローンショウが多く開催されてるようでもあり、かつ花火のショウというか花火自体も非常に人気で、人気のあまり色んなトラブルも起きるという話は昔から色んな報道でも流れてきたりしますが、まぁそれはそれ。実は今回目に止まってしまったのは中国湖南省で開催されたドローンショウの中でドローンから日本の花火大会でも「ナイアガラ」のような花火の演出を空中のドローンから行ったことなのですが... という時点で何を言ってるのかよくわからないのですが、とにかくこちらはその件について報じる英国The Sunの記事へのリンクです。

BANG & BLAST Shock moment fireworks display ends in carnage as exploding sparks shower screaming crowd while they run for cover
(バンと爆発。衝撃の瞬間、花火大会は大惨事に終わり、爆発した火花が群衆に降り注ぎ、人々は逃げ惑い叫び声をあげる。 / 翻訳はGoogleによる)

もうなんと言って良いのか解りません。
観客の真上から花火の火の粉がそのまま降り注ぎ、周囲は火災が発生し大混乱となったようです。

そもそも何故観客の頭上のドローンから「ナイアガラ」のような花火を見せる演出をしたのか、何故観客の頭上のドローンで花火を点火するという発想になったのか、何故そんな事したら火の粉が下に落ちるだろ地面で燃える地面を燃やすだろと思わなかったのか、実は考えたけど知らないことにしたのか。

正直何を考えてるのかさっぱり解りません。
でも、本稿では中国における法的規制を含めた諸々の状況がわからないので、この一件それ自体についてこれ以上何か言う気はありません。

ただ、この先にドローンを取り巻くあまり幸せではない事を想像してしまって、ちょっとそちらは気になっています。

ドローン自体は別に平和目的だけに使われているものではありませんが

そもそもドローン (Drone) という単語自体が1930年代から使われている空戦や対空戦闘訓練のための標的機の名称で、そちらの名称としての歴史のほうが圧倒的に長いという歴史的背景を持っています。なんとなくミリタリー系の話に幼少期から興味があった自分としてはもちろん「標的機」としてのドローンという呼び方に馴染みがありすぎて、今の状況に対する違和感が拭えません。

たとえばアフガニスタン紛争あたりから米軍が使い始めた米国本土で操縦して中央アジアを飛ぶ偵察用あるいは攻撃用の大型ドローンの話あたりはまだ良かったのですが、昨今の小型のマルチコプターから空飛ぶ自動車あたりまで広くドローンと呼び始めた頃からずっと違和感があリます。仕方ないので自分の中では例えば「民生用ドローン」と自動翻訳して理解するようにしています。でも例えば空飛ぶ自動車ってそれ単に航空機じゃんとか思ってるんですけど、あ、でも、とりあえず語源と原理主義と私の理解の話はまぁ良いです。

でも忘れてはいけないのは今でもドローンは軍事用に散々使われていることで、大きさや航続距離、制御方法など様々な用途目的に応じて様々な軍用の機体が日々開発され、生産され、使用されており、状況に応じて「民生用ドローン」もどんどん転用されるているという事実があるという事です。

ちなみにウクライナでは電波妨害を回避するために近距離攻撃用に全長10kmくらいの光ファイバを引っ張った有線制御ドローンが多様され始めていて、制御が安定することにより命中精度や攻撃成功率が飛躍的に上がっているのと平行してウクライナの広い地域に放棄された光ファイバが地面にまるで漁網のように広がって落ちている状況が生まれつつあるようです。

もうなんとも言えませんが、受け止めるしか無い事実です。

そして、今回の「ドローンからナイアガラ」がパンドラの箱が既に開いていることを改めて教えてくれたのかもしれない

たとえばウクライナでは紛争当初からマルチコプター型や航空機のような形状のドローンにそれ自体が爆発する弾薬を括りつけて突入させる方法で使われているのはかなり有名ですが、たとえば焼夷弾としての機能を持った炸薬を括り付けたもの等も既に各所で使われているようです。これについてウクライナとは全然別の話で言うと、つい先週地中海をガザ支援のために進行していたグレタ・トゥーンベリさんも参加していた大小数十隻の船団の船の一部が公海上で(多分誰もが想像できるけれど一応謎とされている)何者かが飛ばしたマルチコプタードローンから「燃える何か」を落とされる「空襲」を受けたりしていますし、ウクライナの紛争地域でも最早空飛ぶ火炎放射器状態の物などまで含めて色んな形と用途のドローンをウクライナとロシア双方が使用しているようです。

非常に残念ですが、それは事実と受け止めるしかありません。

そこで更に今回の中国の「ドローンからナイアガラ」の事案が、小型ドローン自体を目標に衝突させることなく攻撃できることを実質的に証明してしまったのではないかと思える事象が起きてしまったわけです。もともと小型のドローンを使った同時多発テロや大量のドローンを一度に投入して迎撃を間に合わなくさせる飽和攻撃というのは昔から危惧されていて、実際この夏に起きたウクライナによるロシア領内奥深くの軍用空港への直接攻撃などは事象的にはそう評価しても良い状況でしたが、それらもあくまでも目標に突入するという攻撃方法で、空中から地面を焼くといった方法ではありませんでした。

もちろん、そんな形で大小様々なドローンが使用される状況など考えたくない話です。
でも、ドローンにはそれを取り巻く光と影があることは忘れてはいけない話です。

なお、それでも「民生用ドローン」が拓くであろう色んな未来を否定しませんし、そんな事を私ごときが言う筋合いなど1ミリも無いのも理解しています。ただ、周辺状況や周辺情報はきちんと耳に入れ、目にし、正しい情報源かどうかをきちんと判別し、謎の陰謀論や何かしらの思い込みを土台とすることなく正しく理解するようにしないと駄目だよねとは思っています。

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