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ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

2017年10大ニュース (2位・1位)

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2017年10大ニュース:
■第10位:代表電話やめました
■第9位:e-Jan昼市、農業体験
■第8位:開発体制の改造・強化
■第7位:ダイバーシティ進む
■第6位:【朝メール】の進化とコミュニケーションの深化

■第5位:官公庁での採用進む
■第4位:行く人、来る人、出戻る人:「出戻り社員1号」「会計検査院の交代」
■第3位:東レから株式買戻し

つづけましょう!

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■第2位:中間層パワーの立ち上がり

会社は誰のものか?

模範的な解答としては「ステークホルダーのもの」。ステークホルダーとは関係者というような感じですが、株主、社員、顧客、地域社会などのことを大まかに指します。一方、資本主義的な解答では「株主のもの」。会社を個人の持ち物と思う。創業者が「会社は自分のもの」と思ってしまうのもその一つですね。

「株主」のものなのか、「ステークホルダー」のものなのか。

まるで資本主義か共産主義かの議論のようですね。そう。答えが無いものです。私は「どちらが正しいか」的な議論には極力加わらない主義です。それよりも皆が納得できるような第三の解がないだろうかと模索する癖があります。その中で、次のように思ったのですね。[社員=株主]であれば面白そうだと。

つまりこういうことです。

会社の仕事をする。楽しい仕事もつらい仕事もある。でも、仕事をするのはお金をもらうためだけではない。会社をよくするためである。会社がずっと発展していくのであれば、それは自らの財産形成にもつながるのである。自分が株主なのだから。

家族経営で暖簾を守る老舗旅館のような概念かもしれません。それをもっと大きなスケールで実施できないだろうかと考えているのです。仕事は自分のためにやっているんだ。自分の将来のためにやっているんだ。ひいては家族のメリットにもなるし、会社を豊かにすれば自分も豊かになれる。そういった能動性が無限のパワーを生むような気がしているのです。

そこで、[社員=株主]という形を現実化するための調査を開始しました。社内株式市場のようなものを創り、株式の売買を社内でできるようにするのです。あるコンサルティング会社に相談をしています。ところが、結論から言うと、今の会社法や税金の仕組みでは、残念ながら私の考えるような姿にはできなさそうなのです。でも、ここでへこたれてはいけません。代替え手段を考えました。社員には、「持ち株会」などの仕組み利用した財産形成でもいいのではないかと。

東レから譲渡してもらった株をベースにすれば、持ち株会が作れそうです。そこで会社の業績に連動するような、皆の財産形成の場を作れないかと。これであれば、銀行に預金を預けるよりもずっといい条件が付けられそうです。配当を出したときに、株数に比例して配当金がもらえるのも楽しそうです。希望したとき、あるいは退職したときに、その株を買い戻すという形にすれば、財産形成にも役立ちそうです。そして株そのものは外部に流出しない。

10月にその是非を問おうとアンケートを実施したのです。アンケートには持ち株会のこともチラッと書いてありましたが、殆どの皆さんはその意味も分からなかったと思います。説明不足でしたね(反省)。でも、そのアンケートから、いろいろと会社の状態が把握できたのです。第三者にやってもらうアンケートは初めてでした。

アンケートからあぶりだされたのは、次のようなことでした。e-Jan自体は例外的ともいえるくらいいい会社である。仕事・処遇・環境での満足度が高い。しかし、問題点もある。大まかには、会社が有名でないことと、中間層が意見発信をしていないという弱点があると。

有名でないことは時間が解決してくれるでしょう。無理矢理なことはしません。でも、中間層に弱点があるのは、大いなる危機です。

そこで、中間層のリーダーたちに集まってもらい、2日間のディスカッションを行ってもらったのです。さらに「経営層は不在でお願いします」と。私はこの手のディスカッションが好きで、アイディア出しも得意な方なので、ものすごく参加したかったのですが、私の存在自体が邪魔だと認識し、じっと外から見守っていました。巣立つ子を見る親の心境ですね(笑)。

その結果、リーダーのそれぞれに強い「会社への思い」が共有されたようです。それらを建設的な形で会社改善へとつなげていくという意思表示も得られました。具体的な形で改善をしていくのがとても楽しみです。

これはe-Janの次の段階を考えると当たり前のように必要な姿です。社員数が50人を超えると様々に変わってくるとは聞いていましたが、実際に「こういうことなのか」と、成長を感じるのが嬉しいです。

■第1位:テレワークの追い風、第三の波に乗る

リモートアクセスでのシェアNo.1 が6年連続という結果がでました。2機関での調査で4割を超えるシェアをいただいているとのことです。一方、これだけのシェアをいただくと、市場自体の伸びや伸び悩みが分かります。2015年、スマートデバイスによるリモートアクセス市場は、成長が明らかに鈍化、ものすごい危機感がありました。自分たちが変化する必要があったのです。

では、変化するにはどうするか?

基本的にはもがくしかありません。できることをやり続ける。その中で見つかるヒントをどんどん手繰り寄せるのです。そして、今年、やっとトンネルを抜けたのです。

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2017年は「働き方改革」の波に乗ってCACHATTOの次なる飛躍が始まりました。携帯電話時代を第一の波、「スマート端末のリモートアクセス」が第二の波、そして第三の波が「テレワークプラットフォーム」です。

CACHATTOは、デビューしてから丸15年経ちます。自分で言うのも何ですが、CACHATTOの素晴らしいところは、過去の実績に積み重ねて機能を向上させていることです。お客様での利用形態も一緒に進化できているところです。

実は、この「第三の波」のコンセプトは「Not Made in Japan」なのです。この3年間は、海外での実績を高めていこうと、シンガポールに現地法人を作り、駐在員も置き、市場開拓にチャレンジしてきました。また、2017年からは、中東やインドでの非日系企業を中心としたお客様候補とのやり取りも始めました。

2017年からはガートナーのアナリストたちとのディスカッションも多数持ちました。そして、分かったことなのですが、CACHATTOは、世界にも類を見ないユニークなコンセプトを貫いて作られており、製品として矛盾なく出来上がっているものだと。今、世界で流行り始めているセキュリティ上の各種新概念がすでに実用化されていると。

オリジナル製品を理屈から考え抜き、日本のお客様に鍛えていただきながら創ってきた。このことが、世界的にも価値があるものを生んでいると分かったのは嬉しいです。

ただし、使い勝手が悪い点や、ユースケースが違う点などは、海外のお客様に手厳しくこき下ろしされました。歯に衣着せぬ残虐な言葉は、皆の心をザックリとえぐりました。

そこで、今までセキュリティの高さを言い訳に使い勝手の悪さを容認していたことを猛省。メールのUIやスケールのUIの変更を鋭意進めました。開発は苦しかったですが、製品はいい感じにあか抜けてきています。

ユースケースとしても、国外市場では、パソコンでの利用を前面に謳うことが重要だと学びました。「新世代シンクライアント」として。すると、海外市場での反応が変わりました。

まずは、インド金融業界で認められました。数社が採用に向けて動いている中、ついに昨日、12月26日、インドの非日系企業での運用が始まりました。CACHATTO India Private Limitedという新会社も設立が完了。いよいよです。

一方、日本でも同様の提案がちょうど「働き方改革」でのニーズに合致してきました。パソコンでも端末にデータを残さずに、セキュリティ高く仕事ができるのです。ここでは、昨年出したSplashtop for CACHATTOも重要な役割を果たしてくれています。ワンストップでPCにもスマホにもテレワーク環境が使えるようになるのはお客様にとってとても便利なことのようです。

また、国内でのテレワークニーズは、スマートフォンのBYOD利用を再刺激しています。遠隔からの仕事でパソコンとスマートフォンをCACHATTOで有機的に使いこなせる。既存のお客様からの追加ライセンスがとても多い1年になりました。ビジネス的には顧客単価が上がるという、とても健全でありがたいことです。

2017年は、国内市場で第三の波が創り出せたことが一番のニュースでした。2018年からは営業パワーも上がります。何とも楽しみです。

偶然なのですが、2017年にあるプレCACHATTO時代に作っていたサービスが終了しました。その時にいただいたお礼のメールです↓。

http://blogs.itmedia.co.jp/shiro/2017/06/post_249.html

このサービスが終わり、売上的にCACHATTOがe-Janネットワークスの100%となりました。また、年初まで開発を進めていたBusinessMessengerについても開発を中断しました。独自性と特徴が打ち出せないとの判断をしました。e-Janから出てくる骨太の次世代製品が何になるのかはわかりません。でも、オリジナリティのある次なるものが、必要なときに出てくると信じています。

現在の我々に退路はありません。CACHATTOを進化させ深化させ新化させるしかないのです!

2018年も更なるチャレンジングな1年になることでしょう。

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