ひょんなきっかけから人生初の富士山登山(仕上げ編)
おはようございます。
夜明けもずいぶん遅くなってきました。
青空です。湿度が少し高めでしょうか。
===ほぼ毎朝エッセー===
(前日よりの続き…)
そこに携帯が鳴ります。「ブィ~ン、ブィ~ン」マナーモードです。
とてもじゃないですが、電話に出ることはできません。
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そして20分後、ようやく休憩。見回してみると周りは霧。
足もとばかり見ていたので気が付きませんでした。
すでに景色は見えません。時間は12時。
手袋を取ってスマホを見てみると、娘からメールが入っています。
タイトルが気になります。
『(;_;)(;_;)(;_;)』
何だろうと、メールを開けてみると、
『最速で受かりました
*・゜゜・*:.。..。.:*・'(*゜▽゜*)'・*:.。. .。.:*・゜゜・*』と。
そうでした。当日は大学のAdmission Office入試の娘の受験の結果発表でした。
難関と言われた実技もすんなりと通って合格できたとのことです。
登山中の着信はそれのようでした。
そこで富士山から「おめでとう」の電話をかけます。
親になってわかりますが、子供の受験というものは気になるものです。
これで一安心。嬉しいものです。皆にも伝えます。
ちなみにdocomoのGalaxy Note2は山頂まで電波OKです。
一方auのiPhoneは電波探しで疲れって電池がいきなり切れました。
ずいぶん違うものですね。
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さて、登山は継続します。
ももに貯まる乳酸への対処方法も次第に分かってきました。
3つあるようです。これをするとももが楽になります。
まずは足の上げ方を、ピラーティス的な内層筋を使った、
ハムストリングス(お尻の方の筋肉)から押し出す方法で上げるのです。
次に足の指で岩をつかむように登る。このことで第二の心臓と
言われる足のポンプ作用が高まるようです。これはエベレスト登山の
田部井淳子さんという方の、そのむかし講演で受けた内容を思い出してです。
彼女はインドネシアの原住民が足の指で木の根っこを掴むような
歩き方にヒントを得て、登山ではそのようにしているとのことでした。
そして、三番目には、とかく深呼吸を失念してしまうことに注意すること。
足元の岩に気木を取られて、上記二つに意識が行くと息を忘れます。
ひたすら深呼吸をするように歩くので高山病にもならなくて済んでいます。
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9合目のところでです。指導者のGさんが足の不調を訴えます。
「いやなんか、靴が合わなくてかかとが痛かったんだけどさ。
ちょっと関節に影響が出そうにな痛みに変わってきたんだよね。
悪いけど下りることにした。あとは三人で行けるよね?」
頼りにしていた先生がいきなりいなくなってしまう。
大きな不安を覚えます。
ただ、さすがにここまで上がってきて下りるのも残念。
残りの3人で目を合わせて、上に行くことを決めました。
唯一の不安ごとは下り方をしっかり教わっていなかったこと。
今までのゆっくりしたペースで登ることを心がけて登山は続きます。
九合五尺を目指します。そこにある山荘の名前は胸突山荘。
さすがにその直前の登りはきついです。
火口から流れてきた溶岩がそのまま傾斜を作っているような形。
三人は黙々と足元に注意しながら基本に従って登っていくだけです。
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そしてラストの0.5号。いよいよ山頂です。
早く登り切りたいと思う気持ちと、いよいよ歩きづらい足元。
両手に持ったストックはとても役に立ちます。
天気はいよいよ悪く、雲の中にいるようにびっしょりです。
ふと見ると背負っているリュックには霜が。
運が良かったのは風がそれほど強くないこと。
ただ、ゴアテックスの服は調子が良く、中は快適そのもの。
時折あおられる風で帽子が飛んでいきそうになるのを上着の
フードで補います。
そして何とか山頂に。時間を見ると14時過ぎ。出発してから5時間弱。
天気も悪かったのですが、そこはT先生が持ってきた魔法瓶に入った
暖かいコーヒーで一息。生き返ります。
写真を撮って、しばらく10合目でうろうろします。
コンロを持ち込んでカップラーメンを美味しそうに食べている人もいます。
地図を見ると、37763376mの本当の山頂にまではまだ30分ほどかかると。
余り遅くなって足元が暗くなるのも危険です。下ることにしました。
寒くなってきたので、ユニクロのダウンを中に着こみます。
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さて、下り。
ストックを使いながらの4本足での下りは革命的に楽でした。
なにせ、足場が悪くても両手がきっちり支えてくれる歩き方ができるのです。
気分はまるでスパイダーマン。
ストックで支えるところを選んで、次に足を進める。
登るときのエネルギーも要りません。
よく、膝に来ると言いますが、この下り方だと負担がとても少ないです。
休憩は2号ずつに一度のペースで歩きます。
途中、ドロドロになっている赤い砂の中で滑って転ぶようなこともあり。
折角のギアはドロドロになってしまっています。
富士山の火山灰はあちらこちらに入ってきてちょっと大変です。
新旧7合目を通過、6合目が近づくと、次第に暑くなってきます。
中のダウンを脱ぎ、頭のフードと手袋を外し。
ふと気が付くと、霧が晴れています。雄大な風景が見えます。
懐かしの宝永山も見えてきます。
ペースを上げたくなるのですが、ここで油断は禁物です。
しっかり同じペースで歩きます。そろそろ膝も軽くしんどくなってきました。
太陽が沈みかける中、なんとか5合目にまで到着しました。夕方17時5分。
8時間45分での往復でした。
先に下りていたGさんは車で待ってくれています。
コンクリートの中に出ます。なんと歩きやすいことか!
文明は偉大だと妙に感心してしまいました。
そして、車に到着、登山靴を外す。
これ、スケート靴を外すのと同じで至極の一瞬です。
服を乾いたモノに着替えて、帰りは御殿場の温泉に寄って、夕食を食べて。
土曜日夜なのに東名高速の上りは運よく渋滞なし。
江田駅に到着したのが夜の9時半。なんとも充実した1日だったのです。
皆さん、ありがとうございました。
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最後にGさんより聞いたのですが、
「シロー、体力あるねぇ。普通僕らの年齢で初心者には難しいと思うよ。
シローが大丈夫そうだったので上にそのまま続けてもらったんだ」
ちょっと嬉しく思いました。