iPadを全員配布、クラウド利用のインド中堅部品メーカー
バンガロールでの火曜日のことでした。
斎木大使を迎えたレセプションで、ワインを片手にいると、人なつこそうな60歳くらいのインド人と目が合いました。会釈したのち歩み寄り、「折角お会いしたので何かお話ししましょうよ」と声をかけます。
その方は、自動車用バネメーカーの社長さんでした。チーマさんと言い、とても気さくな人です。話が盛り上がります。日本の企業とのやり取りもいろいろあるので、日印商工会議所のメンバーになっているとのことです。
こちらは東京でソフトウェアーベンチャーとして起業をして11年。今はリモートアクセスの製品を売っているとの話をしました。すると、「是非、うちのIT担当者に合ったらいいですよ!」とのことになり、翌日に電話をする約束をして分かれました。
「インドのバネ工場の見学でもできればいいかな。
クマールも自分も機械工学出身だし。
商工会議所のメンバーだけどカラントさんも面識ないようだし。」
内心あまり期待せずにいながらも、約束通りに電話をかけます。そして翌々日午前中、つまり木曜日、その会社に、クマールとカラントさん3人で行ってみたのです。
バンガロールの町中にある工場に到着。社長さんのいる3階まで上がっていくと、チーマさん、嬉しそうに社長室から出てきます。カラントさんとも挨拶をし、会議室に案内してくれます。
会議室にはラビさんとスリさんという、30代後半の中堅どころの二名も入ってきました。ラビさんとスリさん、紹介の中で、実はインドの自動車部品業界のITを取りまとめしている、ACMA (Automotive Component Manufacturers Association of India)という組織のIT部会でいろいろ活動しているとのことでした。
「え、ACMAだから会いに来たのかと思いましたよ。」
実はレセプションでの軽い会話から寄ってみたのだということに、ラビさんは若干不服そうでした。
さて、チーマ社長が会社の説明を始めます。その会社は1960年代にドイツの会社との合弁で始めたそうです。今は日本企業とパートナーになって日本の自動車メーカーもお客様だと。
ひとしきりお話しを聞いたところでこちらの番になります。
「別に売りつけようとか、何かを手伝ってもらおうとか、どうしてもらいたいとかいうわけではなく、
インドでの一般的なご意見が聞きたいのです」
そうお断りしてから、自分たちの製品コンセプトや日本では大企業を中心に「セキュリティ」と「スマート端末での利便性」が理由で破竹の勢いで採用が進んでいるあたりを説明しました。CACATTOのような、端末にデータを残さないコンセプトが受け入れられるかどうか知りたかったのです。
運よく、相手の人たちはかなりITに詳しかったです。
それも、そのスプリング会社は、NotesをやめてGoogle AppsとGoogle Docsに移行したといいます。さらに全員にiPadを渡して、メールやドキュメントシェアをスムーズに実施している先進的な会社でした。
クラウドのセキュリティに関しては、社内で自分たちが立てたサーバーを自分たちで守る方がよほどセキュリティ的に心配だと割り切っています。
それよりも、メールがどの端末でも取り出せる、ドキュメントをシェアしながら同時に編集できる、サクサク動くなど、使い勝手を重視していました。セキュリティよりも利便性が優先です。
「インドでは携帯を落としたとしても、内部情報漏えいの心配よりも、
自分の電話帳が無くなったことを心配する人が多いですからね。」
ある意味、予想通りの返答がありました。予想外だったのがインドの中堅製造業ですでにGoogle Appsへと移行していたことでしょうか。流石、世界のIT都市、バンガロールにある製造業ということでしょうか。
いくつか話題になったポイントを上げましょう。
・ インドではBlackBerryがおおきく普及している。
・ インド政府がBlackBerryのサーバーがインド無いことに懸念をしめしている。
・ ただし普及しすぎたので今更禁止もできないだろうとの観測。
・ iPadがビジネスに広く受け入れられた。同社でも事務職全員にiPadを配布した。
・ メールをチェックするだけであればiPadの方がよく使う。
・ iPadを使い始めるとBlackBerryやらスマートフォンには戻りづらい。
会話の中で、iPadやらAndroidやらBlackBerryやら。リモートアクセスやらVPNやらリモートデスクトップやらCitrixやら。普段自分たちが使っている単語やコンセプトが、そのままこんなに
距離も文化も人も離れたところで、手に取るように話しができるのです。地球上のITが同時に進化している感覚しますね。面白いと思いました。
そして、彼らに紹介されて、また別な、ある分野に特化しているベンチャー企業を紹介され、その午後に会いに行きました。
そこは一度IBMに会社を売った社長さんが再度別な起業をしたところです。これまたなかなか有益な話が得られました。
ここから先は社外秘かな(笑)。
今日は取り急ぎここまで!