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ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

目標達成とグラフとモチベーション

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★『目標を定めてそれを達成する』

言うのはたやすいのですが、それを実践するのはなかなか難しいです。なぜ難しいのか考えてみました。そして、そのためのアプローチ方法も記載します。

まず、(1)目標自体の設定が困難です。次に(2)達成度合いをどう表現するか、その測定がなかなかトリッキーです。そしてさらに、(3)目標との乖離があった場合のモチベーションの維持が困難です。

(1)目標設定の困難さを知りとにかく設定してみる

目標と一言で表現しても、それが数字で現せるものであったり、数字で表すことが困難なものだったりします。混沌としていて、なんでもありです。無数に想定できる目標たち、その中から自分の目指すものを探し出す、いや創り出すことは、思いの他困難です。目標という言葉からもわかるとおり、それは通過点、目印です。なんとか測定をし、時系列で表現すること、この二点が必須なのだと考えます。

目標には積み上げでロジカルに決めるものと、空からつかんでくる夢や期待を含んだものとがあります。夢や期待を含むものは、遅々と変わらない冷酷な現実からすれば、比較的簡単にあきらめてしまえるものです。それなので、一般的には空からつかんできた目標は、なかなか達成することができません。

例えば今までに売ったことのない製品を事業家するとき、その目標値は空からつかんできます。マーケットサイズやらそのシェアやらを想定して数字を作るのですが、そこには夢や期待値がいっぱい含まれています。そして実際に事業を始めてみると、なかなか思うとおりの数字が上げられないのです。一方、ロジカルに積み上げたものは、リアリティが高いです。それなので、達成がしやすい現実的な目標が作れるという特徴があります。長く続けているものの方が目標を想定しやすいのはそのためです。ただそれはそれで、ブレイクスルーができないという悩みも出ます。

(2)達成度合いをどう表現するか

数値と時系列で表現できるものを何とか目標に選び出せたとします。すると次には、その達成度合いの表現に知恵を絞る必要があります。単純に数字を見比べるのもいいかも知れませんが、グラフ化してその達成度合いをみるのがとても効果的です。

トリッキーなのはそこに時系列の要素があることです。人は時間が経つとものごとを忘れます。その瞬間の数字やグラフが理解きたとしても、長期的な中でどこに位置しているのかはすぐに見失います。物事が変化するのには時間がかかります。その時間の間で発生する変化が表現されていて、目標達成のための励みにできることが望ましいです。

グラフ化するということも大切ですし、測定できた数字を信じることも必要です。目の前に出てきた数字を信じたくないようなこともあると思いますが、MBAでのファイナンスの先生が口癖のように言っていました。"trust your instruments" (自分の計器を信じなさい)です。数字、グラフ、これら計器に現れるデータが、目標に対してどこの位置にいるかを理解するように表現するのがコツです。例えばこんなグラフ↓も作れます。

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(3)目標との乖離があった場合のモチベーションの維持

一番困難かつ残酷なのは、目標との乖離があった場合の、自分そしてチームのモチベーション維持です。人の心はデフォルト弱いです。それなので、目標との乖離が始まると、まず目の前に現れていることを信じない、次に言い訳を探す、そして最後には「しようがない」とか「こんなもんさ」あきらめます。

慢性的に目標が達成できずにいると、必然的にモチベーションは下がってきます。そして沢山の「しようがない」とか「こんなもんさ」は、簡単に蔓延してしまいます。そのような個人やチームからは能動性は出てきません。打たれまくったパンチドランカーみたいな状態になるのでしょうか、負け癖の塊になります。

役に立つのは、きっと登山のときもそうなのだと思いますが、頂上を見ながら歩くのではなく、足元をみながら一歩一歩進むということです。いきなり天才が現れて物事をズバズバ解決してくれるというヒーロー/ヒロイン伝説を信じている人も多いですが、それはありません。物事の解決は何であれ自力でやるのです。出来ることを最大限にひたすら続ける、ドン亀的アプローチが効果を上げます。

チベーションの下がり始めを小さいうちに摘む、これはことのほか大切です。モチベーションを保ち続けることができれば、結果も改善し、運もついてきます。『「運の悪い人」のパターン』にも書きましたが、「あきらめが悪い」ことが「運がいい」ということだからです。

前述の測定データを時系列的にグラフに表現して「もうここまで来ているんだ」とレビューすることや、グラフに望ましい結果をイメージするのは大きな励みになります。具体的に図でイメージすると不思議に結果も現実化もしやすいです。

★以上、『目標を定めてそれを達成する』という勝ち癖のためのツールとして、数値をグラフ化して共有するという作業があるのですね。それなりに時間と労力がかかりますが、なぜ大切なのかを挙げてみました。

★ここに Hans Roslingという人のTED Talksプレゼンテーションがありますが、変化を見せる最良のグラフテクニックだと感心したものです。是非ご覧になってください。

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