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ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

ベンチャーはどう成長するか:コピー機、ビジネス電話、金庫を買った記録

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★どの会社にも当たり前のように存在アイテムです。コピー機、ビジネス電話、金庫。でも、それぞれについて、実際に買うきっかけや理由があるものです。今朝は自分たち「いいじゃんネット」の場合についての実録から記載したいと思います。

【朝メール】20080227より__

===ほぼ毎朝エッセー===

□□だんだんと会社になってくる

2005年の年末です。この頃は、CACHATTOという主力商品の採用を大手企業数社が採用してくれ、さらに年度末にかけて大型案件を追いかけていた時です。

コピーやプリンターとして使える複合機を入れました。当時としては身分不相応かと思われるようなソーター付き表裏印刷ホチキス止めが一発ででき、カラーコピー、ネットワークスキャナー、ファックスが1台に入っているやつです。その後、この複合機はほとんどトラブルもなく、営業資料や技術資料など、膨大な印刷を一手に引き受けています。

それ以前はネットワーク上に置いたプリンターサーバーが小さなレーザープリンターを動かしていたり、長いUSBケーブルを引き回してインクジェットプリンターを共有したりしていて、急いでお客様に出発するというときに限って印刷が間に合わないというような体験をよくしていました。今ではそういったこととは縁がなくなり、業務の効率化ということではおおきな価値を生み出しています。

■その直後の同年度末、2006年の3月です。営業黒字に到達できそうなことが見えた段階です。

セコムテクノサービスでの仕事の縁で立派な金庫を導入しました。セコムと書かれた金庫で、それこそがっちりと守ってくれそうな、さらには床に置いた鉄板と結合して動かせないようになっているやつです。大きな金庫、お金を入れるとしたら何兆円も入るのではないかと揶揄されるくらいの立派なものでした。風水的にお金がたまるといわれる東北角に設置しました。

それ以前の金庫は、廃業整理するという会計会社から引き受けたものでした。古い金庫はセコムに引き取ってもらいました。金庫というものは縁起物なのかも知れません。その後は不思議と会社が黒字基調になりました。げんを担ぐのは経営者としてはあまり望ましい姿勢ではないですが、このような自信の根拠というものは必要最低限のものなのかもしれません。

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大きな会社にいたころは、複合機や金庫といったものは、あまり考えずに「すでに周りにあるものだ」というくらいの気持ちでいました。もちろん、どの機種を入れるかなど、総務の人たちが考えてくれていたわけですが、利用者としてはそれこそ、コピー機がよく紙詰まりを起こすとか、金庫の見栄えが悪いとか、そんなレベルでしかものごとを見ていませんでした。

ところが、こういう小さな会社ではそういったことを導入するのも自分たちで決めて、それを導入する作業にもかかわって、そしてそれらを導入したことによる会社の発展についても実感できる体験ができます。そして今回は電話系にてこ入れをすることにしました。

■そしてその2年後、2008年の2月です。リコー経由での販売が勢いづき、ソフトバンクBBや大塚商会などからの引き合いも急増し、電話が打ち合わせやサポートのために長時間利用されるようになった頃です。

それまで電話は、家庭用のコードレス電話を多数設置して使っていました。自分たちでいい加減な設置をしたせいか、電波の調子と音の品質が悪く、よくお客様から「電話が遠いです」と言われていました。また、こちら側でも相手の音が聞こえないことが多く、サポートなどで長時間電話をする必要がある人たちには余計な負荷がかかっていたのです。時にはかかっていた電話を取ろうとするとぶちっと切れてしまうようなこともあり、新システムへの変更ニーズはかなり高まっていました。

そこで、電話回線の増強とサポートや営業番号を新設し、さらには主装置と設置型電話4台とPHS6台からなる仕組みに変更しました。3月から始まるソフトバンクでの製品販売のためには、独立したサポートセンターの電話番号、24時間365日の部隊へと転送ができるような仕組みをもつ必要もあったのです。

さらに伝言をハードディスクに録音できるものにしてあります。これにより、伝言があるときには、文字情報ではなくお客様の相手の声のトーンとかを伝えることができます。対応する人も楽になるはずですし、さらには将来にわたって電話対応の品質が維持できるというメリットも考えられます。皆が後から人に聞かれても恥ずかしくない対応で電話に出るからです。

新電話システムも何とか稼働を開始し、その音質の良さに皆で感動しています。そして当たり前のことかも知れないのですが、ついに会社の代表番号と各部署の番号が分かれました。サポートと営業とでそれぞれ別な電話番号を立てることができたのです。これが、だんだんと会社になってくる、というような体験なのかも知れません。この電話システムがもたらしてくれる会社の発展というものも、今後じっくりと体験していきたいと思っています。

■そして、2008年11月、事務所スペースを倍にして、机やら椅子やらを購入しました。その時のお金の使い方についたエッセーはこちら「ケチにお金を使うのは難しい」です。最近のオフィスの様子は「2009年10大ニュース1位」に写真があります。ご参考まで。

★このような順番で少しずつ「会社らしく」なっていくものですね。今では当たり前のように色々とありますが、それぞれに「最初」があるのです。

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