中国語で調査:中国本土・香港におけるヒューマノイド部品企業エコシステム【概要】
先日、北京で開催されたヒューマノイド(AIを搭載した自律的に動く人型ロボット)が参加したマラソン大会が話題になりました。
ブルームバーグ:人型ロボット初参加のハーフマラソン、完走わずか4体-北京で開催
いくつかの報道やSNS投稿によると、惨憺たる状況だったようですが、見方を変えれば、そのような発展途上でもあえて人前でデモンストレーションする中国企業の意気込みは日本にはないもので、評価すべきだと思っています。
個人的には、中国にはNVIDIAのハイエンドのAI半導体が禁輸されていることから、ロボットの動作の高度化&人間化に欠かせない「トレーニング/強化学習」が高度なものになっておらず、「脳」がバ○な状態に留まっているのではないかと推察します。しかしそれも、NVIDIAのハイエンドAI半導体をあてがってやれば済む話であり、そこに日本企業の参画の余地が出てきます。
つまり、現在発展途上に留まっている中国ヒューマノイド企業を買収して、日本でNVIDIA AI半導体をふんだんに与えてトレーニングするというシナリオ。
そうしてもう1つは、中国のヒューマノイド部品企業から完成度の高い部品を購入して、日本でアセンブリするというシナリオ。「脳」の部分は、NVIDIA Omniverse(産業デジタルツインのOS)上で、NVIDIAのロボット開発モジュールNewton等を組み合わせて開発します。それをOmniverse上のデジタルツイン空間で「トレーニング/強化学習」させます。反復的に何万回でもトレーニングが可能です。仮想空間ですから。
現在、このシナリオを具体化するためのケーススタディ/事業提案書を作成中です。近々公開します。一部は有料で販売させていただきます。
また、以下の中国ヒューマノイドエコシステム企業で名前が上がっている企業については、中国語資料限定で調べた企業プロフィールを含む調査報告書を作成中です。それについては有料で販売させていただきたいと考えています。特に重要な企業については中国語資料限定で深い調査を行い、1社ごとの調査報告書として販売させていただく予定です。
前書き
世界的にヒューマノイドロボット産業への注目が高まる中、中国では「Body(身体)部品」と「Brain(頭脳)部品」の両面で豊富な企業群が台頭しています。中国はヒューマノイドロボットのサプライチェーン全体の約63%を占めており、特に身体部品(アクチュエーター、モーター、減速機、センサー等)の分野で圧倒的な強みを持つと指摘されています。
本稿では、中国本土および香港におけるヒューマノイドロボット関連部品企業約30社を「Body部品」と「Brain部品」に分類して包括的に紹介します。
Body部品系企業(アクチュエーター・モーター・減速機・センサー・視覚モジュール)
中国のヒューマノイドロボット「身体」部分を支える部品メーカーは、アクチュエーター(関節駆動部)、モーター、減速機、センサー、視覚モジュールなどのカテゴリに分かれます。高度な身体部品はロボットの動作性能を左右し、日本企業にとっても有用な調達先や戦略投資対象となり得ます。
アクチュエーター(関節駆動部)とサーボシステム
ヒューマノイドの四肢関節にはロータリアクチュエーター(回転関節)やリニアアクチュエーター(直動関節)が使われ、無框トルクモーター+減速機+力覚センサー+エンコーダ+ドライバ等を一体化した高度なサーボシステムとなっています。中国では自動車大手までが参入し、先進的な一体型関節を発表しています。例えば広汽集団(GAC)は自社開発の新世代一体型関節と低圧サーボドライバを公開し、調歩行用の高トルク軸(軸流構造で高さ20%低減、200N·m/kg超の出力)や、重量50gで100W~4.8kWのモーターに対応する小型サーボドライバを実現しました。広汽は2025年に小規模生産を開始し、2026年以降の本格応用を目指す計画です。大手企業の参入は部品技術の底上げと量産化を促進し、日本企業にとっても信頼性の高いアクチュエーター調達先となり得ます。
また、中国新興企業では優必選科技(UBTECH)や逐際动力などヒューマノイド自体を開発する企業が独自の関節アクチュエーターを内製しています。UBTECHは身長1m超の歩行ロボット「Walker」シリーズで知られ、その高出力小型サーボ関節技術は注目されています。一方、深センの同川科技や里工实业といったスタートアップも核心部品分野で名前が挙がっており、減速機やモーター統合型のロボット関節モジュールを手掛けているとみられます。今後、こうした中国製アクチュエーターモジュールを日本のロボット開発に組み込むことで、製品化スピードを上げることが可能でしょう。
さらに、サーボ駆動装置(サーボアンプ)分野では北京の清能德创電気技術(英:Qingneng Dechuang)が代表的です。同社は高性能サーボドライバーやサーボモーターを開発し、産業ロボット向けに実績があります。こうしたサーボ制御技術はヒューマノイドの「筋肉と神経系」に相当し、関節の精密な動きを支えます。日本企業は自社ロボットのアクチュエーター制御に中国のサーボ技術を組み合わせることで、性能向上やコスト削減を図れるでしょう。
モーター(サーボモーター・トルクモーター)
ロボット用モーターでは、中国企業がサーボモーター市場シェア首位を獲得するまでに成長しています。代表例の**深圳・汇川技术(Inovance Technology)は工業用サーボで2024年上半期に中国シェア約28%を占め、シーメンス(11%)や安川電機(7%)を凌駕しました。同社はインバータやPLCも含む総合制御メーカーで、ロボット向けにモーターから制御器まで内製しています。また南京・埃斯顿(Estun Automation)もサーボモーターとコントローラを強みとし、海外企業の買収で技術力を高めています。雷赛智能(Leadshine Technology)はステッピングモーターから発展したサーボメーカーで、中小型ロボット用モーター・ドライバを提供しています。
さらに、ロボット用無框トルクモーターや小型高出力モーターの専門ブランドも登場しています。CubeMars(三瑞智能科技)はその一例で、18年のモーター製造経験を持つ企業が2018年に立ち上げたロボット動力ブランドです。CubeMarsは四足歩行ロボや人形ロボ向けの小型高トルクモーター・関節モジュールを開発し、ロボット関節・協働ロボット・ジンバルなど多用途に供給しています。同社のような専門モーターメーカー(姉妹ブランドにドローン用T-Motor)による高効率モーターは、日本企業のヒューマノイド開発において優れた選択肢となるでしょう。
日本企業にとって、中国のモーター企業との協業メリットは調達コストの低減と製品アーキテクチャの柔軟化です。自社開発が難しい大出力サーボや特殊形状モーターを外部調達することで、ロボット開発を効率化できます。また、将来的にこれら中国企業への戦略出資を行えば、安定供給や共同開発による技術優位も期待できます。
減速機(精密ギアボックス)
ヒューマノイドの関節には、モーターのトルクを増幅する精密減速機が不可欠です。中国ではここ数年で多くの国産減速機メーカーが台頭し、海外依存を崩しつつあります。とりわけ調和歯車(ハーモニックドライブ)減速機とRV減速機の分野で、中国企業が高精度・高寿命品を開発しています。
ハーモニック減速機では蘇州・绿的谐波(LeaderDrive)が代表格です。同社は2020年に科創板に上場した業界リーダーで、ロボット用の国産ハーモニック減速器を大量生産する数少ない企業です。製品は工業・サービスロボットに広く使われ、機電一体型アクチュエータや無框モーターなども展開しています。同じく浙江の来福谐波(Laifual)も高精度ハーモニック減速機に特化し、多数の特許を取得、産業・医療機器へ実績を持ちます。北京の老舗中技克美(CTKM)は中国におけるハーモニック技術研究の拠点で、宇宙飛行機器にも採用された固体潤滑ハーモニック減速器を開発しています。
RV減速機では、自動車歯車で実績のある浙江・双环传动(Double Ring Transmission)がロボット向けに躍進しています。同社は子会社「環动科技」を設立し、高精度RV減速器やハーモニック減速器を開発、複数の有名ロボットメーカーと戦略提携しています。双环伝動はテスラのヒューマノイド「Optimus」向けに新型減速機を供給する可能性も報じられており、すでにTeslaを含む海外メーカーのサプライチェーン入りを果たしています。この他、深圳の大族传动(Han's Motion)はレーザ機器大手・大族激光グループ傘下で、高品質な調和減速機やロボット関節を手掛け、珠海の钧兴机电(KH Gears)や湖南の万鑫精工(Wanshsin)なども国内市場で存在感を示しています。
こうした国産減速機メーカーの勃興により、中国国内の減速機国産化率は年々向上しつつあります。もっとも、高精度な分野では依然ATIや住友など外資が強い部分も残りますが、中国メーカーは精度1.5 arcmin級の製品を開発するなど技術キャッチアップを加速しています。日本企業はこれら中国製減速機を採用することで、安価で十分な性能の関節駆動を実現できる可能性があります。特にヒューマノイドでは多数の関節に減速機が必要であり、単価低減の効果は大きいでしょう。また、減速機メーカーへの資本提携や合弁も、日本のロボットメーカーが安定的にコア部品を確保する戦略として考えられます。
センサー(力覚センサー・各種センサ)
ヒューマノイドの安定歩行や精密作業には、多軸力覚センサーや各種センサーの存在が鍵を握ります。中国では六軸力センサーの国産化が進み、宇立仪器(SRI)や蓝点触控(Bluepoint)、坤维科技といった企業が精度面で外資に迫る製品を開発しています。六軸力センサー市場は従来ATI(米)など外資が独占していましたが、2023年時点で中国メーカーのシェアは約30%に達し(前年比+13ポイント)ました。宇立仪器はロボット研磨や自動車試験向けで実績があり、蓝点触控・坤维科技も協働ロボットや医療ロボ向けに強みを持ちます。さらに多くの新興企業(如:鑫精诚、海伯森、神源生智能、瑞尔特测控 等)や研究機関が六軸力センサー開発に参入し、航空宇宙レベルの技術を持つ企業(例:昊志机电、埃力智能)も自社ロボット用に内製化を進めています。今後、中国製六軸力センサーの低価格化と高性能化が進めば、日本企業も従来より廉価に全関節への力覚フィードバックを搭載できるようになるでしょう。
その他、ヒューマノイドの平衡感覚に不可欠なIMU(慣性計測装置)や足裏圧力センサーなども中国で開発が進んでいます。例えば航天システム系企業が高精度IMUを民生転用する動きや、大学発ベンチャーが柔軟な圧力センサーを開発する例があります。センサー分野は比較的裾野が広いため、日本企業はニーズに応じた中国メーカー品を選定しやすいと言えます。また、中国のスマートフォンや自動車向けセンサー(カメラ、LiDAR等)の大量生産力もロボット用途に流用可能であり、センサー調達コストの低減につながります。
視覚モジュール・3Dセンシング
ヒューマノイドの「目」に当たる視覚モジュールについては、中国発の3Dカメラ技術が世界をリードしつつあります。深センの奥比中光(Orbbec)は3D深度センサー専業メーカーで、数百万台規模のセンサー量産実績を持つと言われます。Orbbecは独自のMXシリーズDepthエンジンやiToF/dToFイメージセンサーなど3D感知専用チップまで内製し、スマート端末に「3Dの慧眼」を与えるモジュールを提供しています。同社は2022年に科創板上場(688322)を果たし、ロボット・スマホ・決済分野へ立体視ソリューションを広く供給しています。ヒューマノイドへの応用としては、ステレオカメラや構造光/TOFカメラを組み込んだ視覚モジュールで、人や物体の距離・形状を高精度に認識できます。
また、自動運転向けの技術もロボットに転用されています。例えば速腾聚创(RoboSense)や禾赛科技(Hesai)といったLiDAR(レーザーレーダー)メーカーは、小型高性能の3D LiDARを開発し、サービスロボットの環境認識に応用されています。もっとも、人間サイズのヒューマノイドでは、カメラ+AIによる認識が主流となる可能性が高く、LiDARは必要に応じて搭載される位置づけでしょう。
中国メーカーのカメラモジュール製造力も見逃せません。世界的なスマホカメラメーカーである舜宇光学科技(Sunny Optical)などは、高品質な小型カメラユニットを低コストで量産できます。ヒューマノイドの目や高度な視覚システムを構築する上で、これら中国の光学メーカーとの協業は有望です。
さらに、映像処理用の組込ボードも中国で開発されています。例えば奥比中光はNVIDIA Jetson Nanoと自社カメラを組み合わせたスマートカメラ「Persee」シリーズを展開し、ロボット向けに簡単に導入できる視覚処理モジュールを提供しています。日本企業にとって、中国の視覚モジュール企業との関係構築は、自社ロボットの「目」を迅速に高度化する切り札となるでしょう。
Brain部品系企業(AIチップ・組込みAI・ソフトウェア・アルゴリズム)
ヒューマノイドロボットの「頭脳」に相当する技術領域では、中国のAI企業や半導体企業が重要な役割を果たしています。AIチップ(半導体)、組込みAIプラットフォーム、ロボット用ソフトウェア、視覚認識アルゴリズムなどの分野で、中国企業は独自のエコシステムを形成しています。これらはロボットの知能や意思決定を担う中枢であり、日本企業は自社ロボットに中国のAI技術を組み込むことで「頭脳」性能を強化したり、有望AI企業への投資を通じて技術獲得を図ったりできます。
AIチップ(半導体)とエッジAIコンピューティング
中国のAI半導体企業は、ヒューマノイドの「脳」を支える高性能プロセッサを提供しています。代表的なのが地平线机器人(Horizon Robotics)で、自動運転向けに培ったエッジAIチップをロボット分野にも展開しています。地平线は組込み向けAIプロセッサ「旭日」や車載AIチップ「征程」シリーズで知られ、膨大な画像データ処理や推論を低消費電力でこなす能力があります。百度(Baidu)も独自AIチップ「昆仑芯」を開発し、クラウドからエッジまでAI計算資源を提供しています。Morgan Stanleyの分析によれば、生成AIモデルやシミュレーションにはNVIDIAやGoogleなど米企業が先行するものの、中国では百度や地平线などがビジュアル系チップで追い上げているとされています。日本企業にとって、中国のAIチップは米国製に次ぐ有力な選択肢となり得ます。特に地平线などは日本の自動車メーカーとも協業実績があり、今後ヒューマノイド向けに共同開発を模索する余地もあるでしょう。
もう一つの大手が寒武纪科技(Cambricon)です。同社は中国科学院出身者が創業し、2016年に世界初の商用深層学習プロセッサを発表した中国AIチップの先駆者です。寒武纪はクラウド向けとエッジ向け両方の製品ラインを持ち、2025年初めには消費電力15Wで64TOPSの演算性能を持つ新型エッジAIチップを発表しました。これは「人形机器人や自動運転、ロボット犬等のエッジデバイスにAI頭脳を提供する」ことを目標としており、既存の瑞芯微(Rockchip)や華為の同種チップを大きく上回る性能と報じられています。このような国産AIチップの進歩により、ヒューマノイドが必要とする大規模演算を分散処理でこなすことが可能になりつつあります。
さらに、Huawei(華為)も昇騰(Ascend)シリーズAIチップやAtlasエッジ計算プラットフォームを展開し、ロボットや自動運転向けソリューションを提供しています。米国の制裁を受ける中で、Huaweiは国内市場向けにAIチップ供給を強化しており、高性能GPUの代替としてロボット開発者にも浸透しつつあります。その他、黒芝麻智能(Black Sesame Technologies)は自動運転SoCで頭角を現す企業で、マルチセンサ処理に強みを持つチップを開発しています。これら中国AIチップ企業は、日本企業がAI分野で戦略投資を検討する際の候補にもなり得ます。特に寒武纪や地平线は上場企業であり、一部の海外投資も受け入れているため、資本参加を通じた連携で日本側がAI技術を取り込むシナリオも考えられます。
組込みAIプラットフォーム・ロボットOS
ヒューマノイドの頭脳にはハードだけでなく組込みAIソフトウェアやロボット用OSが必要です。中国では近年、「机器人操作系统(ROS)」に代わる自主プラットフォームや、クラウドと連携したロボット用ソフトウェアが注目されています。例えば達闥科技(CloudMinds)はかつてクラウドロボットOS「HARIX」を掲げ、複数ロボットを5G経由でクラウドAI制御する先進概念を打ち出しました。現在は米国規制の影響もあり動向が限定的ですが、積み重ねた技術は中国国内で活かされている可能性があります。
また、OpenIoTや工業情報化部系のプロジェクトとして、開源のヒューマノイド統合プラットフォームも立ち上がっています。上海の「人形机器人有限公司」は「青龙」と名付けたフルサイズ汎用ヒューマノイドをオープンソースで開発し、アクション、駆動、感知、制御など各モジュールの標準化エコシステムを構築することを目指しています。こうした試みは産学連携で進められており、華為や大手企業も技術支援に関与しています。オープンなロボットOSや開発基盤が整えば、中国全体で部品互換性やソフト資産の共有が進み、日本企業もその成果を利用可能となるでしょう。
さらに、科大訊飛(iFlytek)は音声AIのトップ企業として、ロボットの会話インターフェースや知能向上に貢献しています。2023年、科大訊飛は「人形机器人を基盤に視覚-言語-動作のマルチモーダル具現化大モデルを推進する」戦略を発表し、純国産の認知大模型(大規模AIモデル)を統合したヒューマノイドを業界で初披露しました。同社はロボット実装向けに讯飞超脑(ロボット用クラウド知能プラットフォーム)も提供しており、音声認識・自然言語処理に加え、顔認識や読唇など複数の知覚能力を統合しています。科大訊飛の音声大模型「星火」は、人の発話にきわめて近い超自然対話を実現しつつあり、この技術をヒューマノイドに搭載すれば人と遜色ないコミュニケーションが可能になると期待されています。日本企業がヒューマノイドのユーザー体験を高めるには、科大訊飛のような中国の音声AI企業と連携し、日本語版音声AIをロボットに組み込むのも有効策でしょう。
視覚認識アルゴリズム・大模型AI
ロボットの目となる視覚認識AIや、思考を司る大規模AIモデルの分野でも中国企業が先端を行っています。商汤科技(SenseTime)や旷视科技(Megvii)は世界有数のコンピュータビジョン企業で、人の顔認識から自動運転まで幅広いアルゴリズムを開発しています。特に商汤は近年多モーダル大モデル「日日新 SenseNova」を発表し、画像・映像・音声・文章を統合的に理解・推論できるAIを具現知能(Embodied AI)に応用しています。2025年4月には商汤と上海の傅利叶智能(Fourier Intelligence、リハビリロボットからヒューマノイドへ展開)が戦略提携し、商汤の最新多モーダル大模型「SenseNova V6 Omni」を傅利叶の汎用ヒューマノイドロボットGRxに搭載する取り組みが発表されました。この協業により、ロボットに人間さながらの「大脳」(深い思考力と自然な表現力)と「眼」(高度な感知能力)を持たせることを目指すとされています。実際のデモでは、ヒューマノイドが人の服装を理解してアドバイスを行ったり、ダンスロボットが音楽に合わせ滑らかに踊るといった成果が示されました。
一方、Megviiは机器人操作系统Hetuを展開し、物流倉庫ロボット向けの視覚・動作プランニングソフトを提供しています。同社の技術はヒューマノイドの空間認識や動作計画にも応用可能でしょう。また、**依图科技(Yitu)や云从科技(CloudWalk)**も画像認識AIを強みとし、近年はロボットや自動運転に領域を広げています。これらアルゴリズム企業は中国政府や大手企業とも協調し、ロボット大脳となるAIの研究開発を加速しています。
さらに、オープンソースの大規模言語モデル(LLM)としては、清華大学らによるChatGLMやBaichuanなどが登場し、中国語環境でのロボット対話・推論性能を高めています。日本企業がヒューマノイドの知能を強化する際、中国の大模型やCVアルゴリズムを組み込むことで、言語の壁を超えた知見を取り入れることが可能です。加えて、これらAI企業への投資・提携を通じて、日本市場向けのローカライズ開発を共同で行う道も考えられます。