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介護保険制度を利用できない国民が、じわり増えている。香害に追い詰められる、介護者たち。 ~日用品公害・香害(n)~

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介護度に応じて、高齢者施設、訪問介護、訪問看護、訪問診療などを利用する。国民は誰でも、必要な時に利用できる、はずである。

ところが、利用を躊躇する人が、じわじわ増えている。
懸命に働き納税してきた国民が、である。介護者、要介護者ともに、介護保険等を納めているにもかかわらず、である。

原因は、香害だ。
香り付き柔軟剤、抗菌系合成洗剤、除菌消臭スプレー、香り付け製品が、利用を妨げているのだ。

デイサービスやショートステイを利用した要介護者が、頭髪や手足や衣類に、香りや成分臭を付けて、帰宅する。
施設の機械浴を利用したら、華やか、しかし、きつい香りをまとって帰宅する。他の利用者が使い慣れたシャンプーやボディソープを持ち込んだのかもしれない。
身体や着替えのみならず、タオルや歯磨きセット、靴やバッグやアウターにいたるまで、移香した状態で帰宅する。

帰宅した要介護者から、におう微粒子が屋内に放たれ、充満する。自宅での入浴が不可能であるから、入浴サービスを利用したのであれば、自宅では入浴できないではないか。どうすれば除去できるというのか。

デイサービス利用者の介護者は、翌日に備えて移香除去の洗濯に励む。
ショートステイ利用者の介護者は、持ち帰った滞在中の着替えの洗濯に追われることになる。施設の洗濯サービスを利用すると、他の利用者世帯の衣類から2次移香、あるいは2次移香した洗濯槽からの3次移香のおそれがあるため、自宅で洗濯せざるをえないのだ。

施設利用だけでなく、訪問サービスでも同様の問題が生じている。
苦しむ人の数からいえば、より深刻だ。要介護者の中では、要介護1~要介護2がボリュームゾーンである。施設利用の前に、訪問支援を受けている世帯は多い。
訪問事業者のスタッフが香害原因製品のユーザーである場合、訪問先の住居内に、衣類から放たれた微粒子が拡散することになる。
従来、こうした業種では、フレグランスフリーが常識だったはずだ。ところが、今では、介護福祉士のみならず、医師や看護師にも、ユーザーがいるという。

困ったことに、この問題、医療・介護スタッフだけの問題では済まなくなっている。さいきんの製品は、移香だけでも、非常に強いからだ。今年になってから、売れ筋の製品の仕様が変更されたのか、カオリもニオイも残留度も増している、訪問スタッフが使っていなくても、前の訪問先での移香を背負ってくるだけで、室内の空気は一変するほどだ。

他の利用者世帯も、香害について、全く知らないわけではないのかもしれない。ひょっとしたら、中途半端に知っているのかもしれない。「香害」を香りの害だと捉えてしまうと、香り付き柔軟剤はNGでも、抗菌系合成洗剤は問題ない、と誤解してしまうからだ。さいきんの洗剤は、殺虫剤のような刺激臭を放ち、3次移香までもが強烈なのだが、使えば嗅覚に馴れが生じて、ニオイを感知しにくくなるようだ。
訪問の都度、養生するとしても、介護用ベッドと要介護者まで包むことはできない。天井や床や壁、電灯の養生は不可能だ。カーテンやラグにも付着する。そうして、室内への蓄積が加速する。

おまけに、レンタルの介護福祉機器が、移香している場合がある。介護用ベッドのマットレスは、除菌消臭スプレーのニオイ。カオリの充満する居室に置いた介護用品は、移香したまま、次の利用者世帯の手に渡る。
ポータブルトイレのニオイ対策に、消臭剤や香料製品を使う必要はない。腸内環境に良い食事を提供すれば、便臭は減る。さらに、空気清浄機や脱臭機を稼働させればよい。筆者はプラズィオンを使っているが、ほかにも良い機器がある。

施設利用にせよ、訪問サービスにせよ、スタッフが使用製品を見直しただけでは、この問題は解決しないのである。
すべての利用者世帯が、さらに言えば、利用者世帯の訪問者、利用者世帯が利用する病院や学校や店舗を利用する人たち全員が、この問題を理解する必要がある。
何を選び、何を買い、どう使うか。消費行動は、消費者ひとりひとりに任されている。適切な判断をするために、正確な情報が提供されなければならない。とはいえ、私企業の介護施設や訪問看護ステーションが、顧客でもある利用者に対して、問題の周知をはかることは難しい。これは健康行政の仕事だろう。

介護者は、香害対策に、エネルギーを奪われている。
何回転も繰り返す洗濯に、膨大な時間を使う。検針員に漏水を疑われるほど、かさむ水道料金。
付着した微粒子を、完全に除去できる空気清浄機はない。外気まで香害の場合は、換気すらできない。微粒子を吸い込みながら、掃除に励む。換気できる場合は、真冬に窓を開け放し、凍えてふとんに包まる要介護者をしり目に、掃除に励む。そうしなければ、終日同じ一室の空気を吸い続ける要介護者が、喘息を発症しかねないのだ。

介護だけでも大変な労働であるのに、そのうえに、香害対策。介護者は、二重の負荷で、つぶれる寸前だ。共倒れになるわけにはいかない。おかしな話である。介護保家制度は、共倒れを防ぐための、施策ではなかったのか。

さいわい筆者の場合は、事業者側が香害について理解を示し、スタッフはほぼ無香害だから、恵まれている。問題は、他の利用者世帯からの移香だけである。

ところが、サービス提供事業者に理解がなく、説明を試みても、ぬるい反応を返すか、スルーされるケースがあるという。介護者に健康問題が生じている場合は、深刻だ。たとえば、喘息や化学物質過敏症を発症している介護者もいる。
これでは介護サービスの利用が、リスクになる。利用すればするほど、介護者の健康状態が悪化してしまう。
介護保険料を払っている国民であるにもかかわらず、利用を諦めざるをえない。SNS上に、悲痛な声を、目にすることが増えた。

つつがなく介護保険制度を利用するには、事業者に対して、香害という問題が生じていることを伝えなければならない。
ところが、これが非常に勇気のいる事案である。口火の切り方が難しい。

そんな介護者のために、チラシを作った。説明用ではなく、話し合うきっかけを作るための、チラシだ。
介護に忙殺される中での、急ごしらえであって、テキスト主体である。イラストを入れた具体的なものは、また後日、時間を確保できたら作成するかもしれない。
両面、96dpi、512px×724px、B5に印刷しても読める文字サイズだ。原寸のpngファイルは、SNSで配布する考えでえある。A4の場合は拡大印刷。あるいは、Wordに貼り付けて左上に寄せ、下にテキストボックスをレイアウトして、具体的な要望を追加して印刷するとよいかもしれない。

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イラストは、Adobe Fireflyで描いて、Photoshopで修正、Microsoft Expression Designで、拡散する微粒子を追加しています。

Adobe FireflyやCopilotを使って、AIイラストを描いています。掲載済みの絵は、目次から。

「絵と詩と音楽」目次

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