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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

天然ガス主流の時代へ、インド・バーラト重電が日本へのガスタービン納入に意欲

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インドの国営重電メーカーであるバーラト重電機(Bharat Heavy Electricals、2010年度売上高73億6,000米ドル、従業員4万6,000名)が日本の発電用ガスタービン市場への参入を目指しているそうです。

BHEL profit up 40%, looks for gas turbine business in Japan

東京電力では先の震災で失われた発電容量をカバーするため、建設期間が短くて済む天然ガスによるガスタービン発電所の建設に力を入れていると伝えられています。それに関しては以下の投稿で背景を記しました。

関東の計画停電を救う発電用ガスタービン

急を要するだけに、日本の三菱重工などによる供給だけでは間に合わないところもあるようで、先日来日した米GEのイメルトCEOは供給に協力する意向を示したと伝えられています。

上のインド発のニュースを見ると、そのGEと発電用ガスタービン製造において提携しているのがインドのバーラト重電機だそうです。バーラトの代表は「日本でのオポチュニティをパートナーであるGEとともに積極的に開拓していきたい」と発言しています。

実は、発電用ガスタービンの市場は相当に大きいのではないかと考えています。ただしかっちりとした数字がなかなか得られません。

過去3年ほどのスパンで見ると、世界で原子力発電所の新設(稼働開始)はほとんど見られません。新たに建設された発電所は、北米に関しては大半が天然ガスによるガスタービン、および若干の再生可能エネルギー(太陽熱など)、欧州については風力発電の新設が急ピッチで続いており、インドでは圧倒的に石炭火力が多く、中国では石炭火力もさることながら水力の比率が増えたと、短く括ることができると思います。膨大な人口を抱えており、電力需給がまだまだ逼迫しているインドと中国を例外とすれば、過去3年程度の発電所の新設は(発電の絶対量に着目すれば)、天然ガスか風力のいずれかだったと言えるでしょう。

発電用ガスタービンの市場は、規模では原子力発電をしのぐのはほぼ確実ではないでしょうか。

今後ということで考えても、国際エネルギー機関(IEA)やエクソンモービルによる長期予測によれば、3大化石燃料である石油、石炭、天然ガスのうち、特に先進諸国に限って見れば、伸びがあるのはダントツで天然ガスです。先進諸国の発電分野では、もともと少ない石油は別として、石炭の比率が減り、天然ガスの比率が増えます。天然ガスによるガスタービン発電がこれから新設される発電所の大きなうねりになっていくことは、ほぼ間違いないと言ってもいいと思います。もちろん再生可能エネルギーの増大を忘れてはいけませんが。

ただし、例外なのはアジアで、これから発電容量が数倍にもなる中国およびインドでは先進諸国とまったく違う行動パターンを取るので、一概に「世界はこうだ」とは言えません…。

▼2008年〜2035年の地域別第一次エネルギー累積使用量(単位:原油換算エネルギー百万トン)*第一次エネルギーとは、加工しない自然状態のエネルギーのこと

Weo2010

 

出典:IEA World Energy Outlook 2020

▼北米、欧州、アジアの発電分野において必要とされる燃料の推移、1980年〜2030年(単位:英熱量)

Exxonmobil

出典:ExxonMobil 2010, The Outlook for Energy: A View to 2030

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