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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

中間層の支出をまとめるイノベーション(上)

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マインドマップで世界経済の動きをまとめていたとすると、今年1月頃のマップと、今年5月頃のマップとでは全然違っていたはずです。1月の段階ではまだサブプライムの影響が部分的なものに留まっていましたが、5月頃には、今なら誰もが明確に理解している状況がほぼ世界全域で認められるというようなマップになっていたと思います。
手前どもが関わるビジネスにおいても、その間、実は割と大きな軌道修正をしていました。

今年5月頃のマップと現在のマップを比較してみても、非常に大きな違いが出ていると思います。
その間、原油高が大いに進み、食糧だけでなく、一次産品全般にわたって逼迫間が強まり、エネルギー高、原材料高による世界の主要企業の減益傾向がはっきりとしてきました。また、米国経済を牽引していた個人消費が住宅市場の下落によって下支えを失い(ホームエクイティローン等住宅の値上がりを前提としてキャッシュを得る方策が成立しなくなった)、米国も中長期の低迷に直面するであろうことがはっきりとしてきました。
サブプライムについても根は深いようで、日米欧に限らず、収益に大きな影響が出る金融機関はまだまだ出そうです。

国レベルでは何が起こっているかと言うと、産油国から非産油国へ、あるいは資源国から非資源国への富の流出が起こっています。これも歴史的に見るなら非常に新しい現象です。

シロートながら一言で言うと「これがニューオーダーなのか?」という感じです。
世界経済において新しい秩序が生まれつつある。対応する術を教えてくれる歴史的な先生はいない。そういう感じだと思うのです。前例がない世界。前例に拠らない思考が求められる。そういう状況だと思います。

旧来型の感性では、すわ「世界恐慌だ!」「日本総沈没!」といった経済週刊誌の表紙に躍っているような受け止め方をしてしまうと思うのですが、それがほとんど意味を持たないことは明らか。何の価値も加えないばかりか、多くの層に要らぬ不安を与えてしまいます。ここでは旧来型の感性を捨て去って、この状況に臨まなければなりません。

私がひそかに私淑している”世界経済・富の達人”の教えに従うと、「要は、お金がどこからどこに流れているのかを見ろ」です。お金の流れが見えてくれば、そこには商機が必ずあり、新しい産業の余地さえ見えてきて、経済発展の種を欠くということはありません。

現在の世界経済マインドマップの主脈は、非産油国・非資源国から産油国・非資源国への富の流出が始まっており、このままでは非産油国・非資源国の中間層の可処分所得の低下が避けられない、というところだと思います。
周知のように、1960年代ぐらいからつい最近までの世界経済の活況の主因は、各先進国の中間層の収入が上がり、住宅、家電、自動車、その他サービス等の消費が活発になり、生活水準が上がって、それがめぐりめぐってほとんどの産業に好影響をもたらす、というものであったわけです。これは日本のみならず、米国や英国などでも同じです。(そこにポップミュージックの隆盛も同期しますね。)

一言で言うと、中間層の生活水準が上がることによって、世界経済が活発になってきた。これが大きなお金の流れです。細かなものをすべて捨象しています。

この大きなお金の流れが、現在は変化しようとしているわけです。

原油や食糧の高騰によって、中間層の可処分所得の減少が現実のものとなり、中間層が生活の質を高めるために行っていた消費全般が低迷する可能性が出てきました。住宅、自動車、家電、消費財、教育・医療などのサービスにおいて直接的な影響が、それに付随して様々な業種において間接的な影響が出てくるものと思われます。
これは日本に限らず、米国でもEUでもそうだ、ということです。
代替エネルギーが現実的に市場に出回るようになり、食糧生産において画期的なイノベーションが事業化されるようになるまで…、おそらくは、2012年ぐらいまでは、こうした傾向は続くものと思わなければなりません。

こういう状況において、次代の成長を考えていく必要があります。

言うまでもなく、経済には成長が不可欠であり、企業は新たな収益源を見出して、前年比1桁でも成長を続けていかなければなりません。国のGDPも同様。

世界の大きなお金の流れとして見ると、非産油国・非資源国の中間層が享受していた余剰の消費に回っていたお金が、産油国・資源国に回るという状況が顕著になり、つまるところ、世界主要国の経済を支えていた中間層の所得水準が下がらざるを得ないというなかで、何に成長を求めるべきか?

端的に言うと、現在、消費者が複数の企業にこまごまと支出しているお金を、1つの企業に対する支出にまとめてしまうことによって、消費者側がより大きな便益を得る、という発想が欠かせないと考えています。
シュリンクしようとする状況において、あえて規模の利益を追求する。これによって、この”ニューオーダー”を乗り切れるのではないかと考えています。

時間が来ました。続きはまた。

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