最近心底嫉妬した話。あるいはサービス業の、とある瞬間
最近、心底負けたと思った話、嫉妬した話がある。
ちょっと深刻な病気になったある人が、病床でこんなことを言っていたという。
「退院したらあの店のオニオングラタンが食べたい。」
「むしろ、あの店のオニオングラタンが食べたいから退院しよう。」
これ、凄くないですか?ちょっと聞いて泣きそうになった。生きる目標にまで昇華された料理。
そんな料理が作れたらどれだけハッピーか。
そんなサービスができたらどれだけハッピーか。
俺たちは、コンサルタントとしてそれくらいの仕事ができているだろうか。いや。。
同じサービス業として負けた感半端ない。
この店は前にもこの記事で書いた、僕のいとこの店だ(以下、トシの店と呼ぶ)。
だから、雲の上の存在じゃないからこそ、悔しい。ぐぬぅ。。
しかし、こないだトシの店で、同僚とご飯を食べている時に議論した話には、救いがあった。
その時僕らが話していたのは、「トシの店のどこが素晴らしいか」。
「これがうまい」、「どんなとこがうまい」、から始まって、「でも雰囲気がいいからこそ」、「例えば、今くっているナントカ鯛とごぼうソースの様な、絶妙な組み合わせの妙。そういうのを常に新しく試し続けている凄み」、「何年通っても驚きがあるのは、進化してるから」などなど。
でもさ。俺たちだってあるよね。
例えばあのプロジェクトでは、ケンブリッジのどこがいいか?で、お客さん同士が熱く語り合ってくれた。
例えばこのプロジェクトでは、「ウチのチームを担当してくれたケンブリッジのXXさんの方が、そっちのチーム担当の◯◯さんよりここがいい!」と、お客さん同士が激論している。
これって、いま俺たちが「トシの店はこれが一番うまい」「いや、トシの店はこういう所こそが最高なんだ」と話しているのと同じだよね、と。
サービス業をしていて、これほど嬉しいシチュエーションはそうそうないよね、と。
もっともっとそういうのを味わいたいよね、と。
そうして、素晴らしいお客さん達への感謝と、自分達がやっていることへの誇りと、全てのプロジェクトがそこまで達していないことへの強烈な飢餓感、申し訳なさといたらなさ。
酒に弱いのにワインを飲み過ぎたせいか、そんなことを感じた夜だった。
ちなみにトシの店は、ミシュランのビブグルマン(5000円以下で楽しめる店)に選定されています。
もう一つちなみに、この時のお食事会は、この本の増刷で貰った印税で美味しいものを食べよう、という趣旨でした。
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