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偉い人の期待値はなぜ放っておくと上がってしまうのか、あるいは上昇の抑止策

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「偉い人には分からんのですよ」は、サラリーマン漫画からガンダムに至るまで、おなじみのセリフである。

このセリフの背景としては2種類ある。

・自分が現場にいた頃と環境が変わったことを、偉い人が理解していない(ジオン型)

・最新の情報で上書きされない限りは、偉い人の期待値は上がっていくもの。
「何?ガダルカナル島では攻勢だと聞いていたが?」(旧日本軍型)

ジオン型については以前書いたので、今日は後者について。

★なぜ期待値は上昇してしまうのか

偉い人(例えば役員)の仕事割合を想像してみると、

Plan(計画):Do(実行):See(確認)=5:1:4

といったところだろうか。作業ボリュームとして圧倒的に大きいDo(実行)については、部下の人たちがせっせと頑張る。そういう役割分担だ。

だとすると、計画ができると半分以上終わった気になるのは無理もない。
「ああ、あの件か。こないだOK出しといたよ。そのうちできるでしょ」
くらいのものである。まずここに、プロジェクトを汗かいて実行している人たちとの間にズレがある。別にズレがあって悪い、と言っているのではない。単にそういうものだ、という話である。役割分担の当然の帰結として。

そしてプロジェクトでDoが進行している間は、役員からしてみると「成果が出ない中、ずっと待っている時間」でなので、ジレてくる。「あんなの、さっさとやってしまえばいいのに。何をやっているんだ」と。

その心理はしばしば、
「さっさと成果を出せて当然」
に変わる。期待値が上がるのだ。

さらに、風通しが悪い会社の場合、プロジェクトが失敗しても「失敗しました」という報告が上がらず、ほとんどのプロジェクトが成功裏に終わっていると思われていることがある。実態は失敗だったとしても。
そういう場合、役員の方は「プロジェクトというのは成功して当然」と思っている。これも、期待値がバブル的に上がっていく要因になる。

★期待値上昇の抑止策
役員層の期待値上昇の抑制は、プロジェクト推進者(リーダー)の責任のうちである。やらなければプロジェクトにとって不都合なので、良いも悪いもなく、やらなければならない。

抑止策としての特効薬はない。
役員に意思決定して欲しい事があればもちろん、ない場合でもちょくちょく報告にいかなければならない。「Do(実行)は黙っていても、完璧に進む」と思ってしまうのが問題なのだから、「なんとか頑張ってDoやっています」を伝えるしかない。

・ある程度頻繁に報告する。1年間のプロジェクトなら、1~2ヶ月に1回程度
・芳しくない情報を避けない(対策をセットで話せばよいだけ)
・経営層がだけが解決できること(権限、人材、納期、部門調整)を中心に

「順調なら、そんなに頻繁に報告に来なくていいよ」と言われるくらいがちょうど良い。「まあまあ、そうは言わず聞いてくださいよ」と言うのもサラリーマンの仕事のうちだ。
なんだかんだ理由をつけて役員に会いに行くのを避けているプロジェクトの方が、その後苦しい状況に陥る可能性がずっと高い。経験的に。

※期待値とは?についての参考
「期待は失望の母、あるいは野菜ソーキそば(野菜抜き)」

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