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風呂敷は広げて、畳め(2)あるいは意思決定の見える化

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前回(風呂敷は広げて、畳め。あるいは僕の唯一のフレームワーク)の続き。なぜこの作戦が有効か。

★80・20を意思決定に組み込める
80・20(エイティ・トゥエンティ)とは、
「売り上げの80%は、全商品ラインナップのうち、20%の商品だけで稼いでいる」
に代表される経験則。ざっくり言うと、一部(20%)が大多数(80%)を生み出している、といった意味になる。

プロジェクトに当てはめると「プロジェクト成果の80%は、プロジェクトでの努力(例えば工数)の20%からもたらされる」となる。完璧を目指そうとすると異様に大変だけど、8割のボリュームゾーンをカバーする打ち手だけやろう、と割り切ったら、案外手早く出来る。これはプロジェクトスタイルで仕事をしている方なら直感的に納得できるのではないだろうか。

ただ、実際に「完璧を目指さなくていいよ」とは、プロジェクトの現場では言いにくい。ベンチャーや外資では比較的通じるのだけれど、典型的日本企業だと厳しい。
そこで「広げて、畳む」の出番となる。畳むということは、やりたいこと、本来やるべきことの幾分かをあきらめる、後回しにするということ。本当に大事なこと、最小の努力で最大の効果が出るものを選んでいくと、自然と80・20なプロジェクトになっていく。

★コミュニケーション・ミスを防止できる
プロジェクトでうまくいかなかったこと、という反省会をやると必ず出るのがコミュニケーション・ミス。もちろんプロジェクトリーダーとメンバー、といった1:1のコミュニケーションが問題になることも多いのだけれど、もっと深刻なのはプロジェクト全体で決定事項が共有できないこと。
「広げて、畳む」作戦で、候補となる選択肢を一旦まな板の上に並べると、コミュニケーションのモレや「言った言わない問題」をかなり防止できる。コミュニケーション・ミスって狭間で起こることが多いから、とりあえず全部書き出してみる、というアプローチが有効なんだと思う。

★絞り基準の明確化
僕らがプロジェクトで絞り込みをするときは、基準にこだわる。自分たちでも必死に考えるし、お客さまにも「残すものと捨てるものって、どういう基準で線引きしますか?コストですか?効率化への貢献ですか?」と問いかける。ここでの議論はハマる(ドロドロになるまでの議論になる)ことが多いが、プロジェクトにとって本質的な議論だからしょうがない。逃げてはいけない。
基本は「プロジェクトゴールへの貢献が大きいものは残す」なんだけれども、それを具体化するのが難しい。
でも、ここでキッチリ基準を議論し、明確にしておければ絞り込み自体は簡単だし、その場にいなかった人が後から見ても、なんでこういう決定にしたのかが分かりやすい。

★意思決定の見える化と納得性
選択肢を全部並べて、絞り込みの基準を明確にしておくということは、意思決定の経緯を見えるようにしておく、ということだ。
図は、あるプロジェクトの施策一覧(をお見せできるように加工したもの)。黄色い行と白い行がやる施策。グレーの行がやらない、他の組織に任せる施策。右の方に絞り込み基準が書いてある。

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プロジェクトには色々な立場、色々な思惑の人々が参加する。だから、全ての人がプロジェクトでの決定事項の結論に納得することはあり得ない。
でも全ての人が「納得できる意思決定プロセスだったな」と感じることはできる。当初思っていた通りにはならなかったけれど、納得いく議論の結果だからしょうがない、協力するか、と。
プロジェクトは実現させてナンボ。だとすると、結論がでた後にみんなが結論に協力するということが極めて大事(これをコンセンサスと呼びます)。

★絞りカスも無駄にしない
既に終わった、あるプロジェクトでのこと。
いつものようにプロジェクトで実現したい施策をありったけ出し、絞り込んだ。もちろん絞り込みから漏れて後回しになってしまったものも多く、お客さんは納得しながらも、少し残念そうだった。
それから1年半かけ、紆余曲折はありながらも、2回に分けて、当初ねらっていたゴールを達成することが出来た。ずいぶん業務も安定し、新しいルールも定着してきたので僕らケンブリッジがプロジェクトからはずれることになった。

最後の日、お客さまのプロジェクトマネージャーが簡単なスピーチをしてくれた。
「苦労して、プロジェクトゴールを達成できました。でも、プロジェクトの最初に決めた施策一覧には、最初に実現させるのをあきらめたけれども、絶対やった方がいい施策がまだまだたくさんあります。私はこれを宝の山だと思っています。ケンブリッジさんがいなくなった後も、これをどんどん実現させていきます。」
そしてさらにその1年後にお会いしたとき。「あのとき言った宝の山のうち、○○と△△は実現させました!」と言ってくださったのは、もっと嬉しかったな。

まとめ。
「広げて畳む」には色々な効果がある。キーワードは意思決定の見える化と納得性。本当に大事なものから1つ1つ実行したほうが、1度に何もかもやろうとするよりうまくいく。今日はここまで。

★プロジェクトプランの講演やります
仕事が終わった後の比較的参加しやすい時間帯なので、飲み会の予定がなかったら、申し込んでいただけると嬉しいです。
定時後なので、僕も肩の力を抜いて話そうと思います。(まあ、力がヌケヌケなのはいつもなのだが)。
お腹減っている人が多いだろうから、お菓子くらいは用意するつもり。講演終わった後にも懇親会的な場も用意しようかと思ってます。

◆7月6日(水)Cambridge Seminar 2011 東京
http://www.ctp.co.jp/events/event_044.html

◆7月20日(水)Cambridge Seminar 2011 東京
http://www.ctp.co.jp/events/event_045.html

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