OneTeamの作り方、あるいは客を選ぶ前にやれること
前回、One Team(主客一体)の大事さについて書いた。
以前セミナーでこのことを話したら、参加者の方から「そりゃぁOne Teamは理想だけど、どうやったらそんな事ができるのか?」と質問をいただいた。しごく当然の問いですね。そこで今回は、One Team の作り方5箇条。
★One Teamの作り方 1)人を変えるなら、まず自分から
カーネギーの「人を動かす」という有名な本がある。僕はああいう説教臭い本(失礼!)が苦手なので、ずっと敬遠していた。「人を動かす」というのも傲慢な感じがしたし。
でもあまりに各所で良いと書かれているので、一応読んだ。僕が受け取ったメッセージはただ一つ。「人を変えるなら、まず自分から」
「人を動かす」という本なのに、人を動かすノウハウはどこまで読み進めても出てこない。ひたすら「自分の行動をどう変えたか」のエピソードだけが書いてある。
お客さんとOne Teamを作りたいなら、まずこちらの行動を変えよう。あなたが情シスの様な、社内のサービス提供部門でも話は同じである。ユーザー部門とOne Teamを作りたいなら、まず自分達の行動を変えよう。
自分が徹底的に「全社最適、全プロジェクト最適な視点」からモノを考え、発信する。自社の利益、自部門の都合をいったん棚に上げて。
ずっとそうしていれば、一緒に仕事をしているみんなもそうなっていく。プロジェクト内で1人だけ所属組織の利益代表みたいな考えだったら、いたたまれなくなるからだ。そういうのって、本質的にカッコ悪いもん。
★One Teamの作り方2) 徹底的にOPENに
「こちら側の事情」を腹に隠し持っている相手とは、利害関係を越えて問題解決にあたろう、というチームにはなれない。このことは不幸なことに、取引先との関係や上司部下の関係、電力会社と住民の間の関係など、色々なところで起きている。
そうではなく「選択肢Aだと、僕らの工数を多少減らせますから、代わりに○○も出来ます。一方、選択肢Bだと・・」と、こちらの事情もOPENに開示し続け、その上でプロジェクト全体にとって何が良いのかを議論する。
これも「まず自分から」やるしかない。
★One Teamの作り方3) 信頼関係がベース
上記の1)も2)も信頼関係を作るため。
・この人達は、徹底的にプロジェクト全体最適のことだけを考える人だ
・この人達は、自分に都合の悪いことでも隠さない人だ
・この人達は、こちらが査定しまくらなくても良いくらい、充分優秀だ
という信頼を持ってもらえれば、One Teamはもうすぐ。3点目は難しいけどね。
★One Teamの作り方4) 使命感とビジョン
幕末についての本を読むと、幕末志士が多少の意見の違いを乗り越えてでも、「志の高さ」で付き合う相手を選んでいたことがよく分かる。
プロジェクトの初期段階では必ずしも同じ意見である必要はないが、「プロジェクトの目標や経営に対して、高い視点を持っている」という同志感覚は共有しておきたい。お客さんのコアメンバー同士でもそうだし、お客さんと僕らのような外部から来た支援者の間でもそう。
一方、プロジェクトが中期段階にはいると、「同じ意見である必要はないが」とは言ってられない。プロジェクト・ビジョンへの共感がOne Teamの原動力になっているべきだ。
★One Teamの作り方5) お客さんを選ぶ
以上のことをやったとしても、どうしてもこれまで書いてきたことを分かっていただけないお客さんもいらっしゃる。
「サービス提供者から最大の価値を引き出したい」
↓
「つまりそれは、最大限こき使うことだ」
↓
「それにはクレームをちらつかせたり、時には恫喝も有効」
という考え方だ。「客ぶりが悪い」と言うしかない。
理不尽なクレームや恫喝が嫌だ、ということ以上に、こういう方とはOne Teamを作れない。そうするとプロジェクトを大成功させることは難しい(失敗させないことはできる)。僕らの使命はプロジェクトの成功と、関わる人の成長とHAPPYを追求することだから、まことに傲慢な話だが、こういうお客さまとはおつきあいしないことになる。
あなたもお客さまを選べる立場だと良いのだけれど。
まとめ。One Teamを作るための最後の手段はお客さまを選ぶこと。でもその前にやれることはたくさんある。
今日はここまで。