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知的好奇心を満たすために、いろいろなことにチャレンジする

"思考力を鍛える30の習慣"の感想

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常識とは何でしょうか?WikiPediaの常識の項目があり解説がありますが、常識は正しいことなのでしょうか?常識にとらわれすぎることの解決策に対して、本書は回答を提示しています。

いったん自分の考えを脇にやって、「もし~だったら、どうなるか」の考えを推奨していますが、これを行ったIT業界の例で最も成功しているのはIntelのDRAM撤退です。

アンドリュー・グローブ氏が、IntelのメインであるDRAMが日本メーカーに追い上げに苦しんでいるときに、「もし、外部から来たCEOだったらどうするだろうか」とムーア氏に語り、DRAM撤退を決定しました。この決定が巨人Intelを作った最大の決断です。

人間はそう簡単に客観的にものを考えられません。いろいろな理由があると思いますが、過去の成功体験が足かせになっているケースが多いようですし、前提条件が崩せない場合もあります。このため、企業は定期的に外部からCEOを招きいれるのでしょう(ただし、うまくいくケースは少ないため、必ずしも成功するとはいえません)。

また、第二次世界大戦でのフランスが第一次世界大戦の経験からマジノ線を引いて守りましたが、ドイツの雷撃的な攻撃にまったく歯が立ちませんでした。これが過去の経験による水平展開の限界です。

例えば、日本でも日露戦争において日清戦争をベースに弾薬の確保を行ったのですが、あっという間に弾薬が底を尽きました。また、福島原発の問題は過去の原発災害(津波や地震とかではなく)を想定していましたが、まったく役に立ちませんでした(ただし女川原発は過去の津波の状況を調べて対策が成功しています)。水平思考による限界を示唆しています。

DECのケン・オルセン氏の「思い込んでいいのは、一般に信じられていることは間違いと言うことだけだ」が最も水平思考や常識の限界を表しています(ケン・オルセン氏は、2011年2月6日に亡くなりました。私は、学生時代にDEC本を読んだのですが、その中で氏が社員にケンと呼ばせていた話が印象的でした)。

思考するときにいくつかの足かせをはめた状態で行ってもすばらしいアイデアは出ないものです。

アインシュタインは世界を救うために1時間を与えられたら、問題の分析に55分を使い、残り5分で解決を図るといった方法を取るようです。実質的には、物事も本質が如何に見つけづらいかをあらわしています。

また、IBMの販売研修では拒絶には反論するのではなく、質問を行うことで拒絶した理由を見つけ、反論よりも効果的な議論を可能にするそうです。反論は建設的ではないですが、それこそ問題解決を見つける本質ではないのでしょう。

原発問題で非科学的な風評を流れていますが、これに反論ツイートを行っても止めることは出来ないでしょう。ここで、風評を流している人に聞くことで効果的な防止方法を確立できるかも知れません。

経験的な知識を大切にすることも提示しています。情報の鵜呑みはあまりいいことではありません。例えばTwitterはRTが可能ですが、今回の震災でも偽情報が拡散(及び消費とか消滅とか)しました。これをソースの有無を確認せず(できず)、自分が知らないこともRTできます。

経験することで他のことが思いつきます。例えば"ThinkPad X201sでピークシフト機能を試してみた"でピークシフト機能を試しましたことです。

実はピークシフト機能に関しては、東電の計画停電開始ごろにPC系ニュースサイトでこの機能に関して言及している記事を読んでいたので知っていました。ですが、X201sの利用用途的にはピークシフト機能を使うほどではありません。このため、記事を読んでも自分には関係ないと決め付けました。

ですが、試すことでノートPCサーバの勧めとリンクさせることが出来ました。関係なさそうに見えても経験的することで主機能以外の知識を得ることで他のことに目を向けることができるようになります。

"ポジティブに考える"の項目に"リラックスし、人生を楽しむ"を推奨しています(他にも8項目ある)。

私は結構つらい時期がありました。そのときに打開するので"がんばる"をやろうとし結構つらかったです。ですが、肩の力を抜いてがんばるを方針にしたときに、如何に肩に力を入れすぎて空回りしていたか痛感しました(無駄なパワーを注ぎすぎていた)。特に、壁にぶち当たったときに、悩みすぎるところが如何に非効率かが分かりました。このため、リラックスは必要です。

目標に関して非常に面白いたてかたをしています。項目的に4つの立て方を推奨しています。

・SMART(懸命)な目標を立てる
・DUMB(愚かな)な目標を立てる
・目標を分割する
・がっかりしない

SMART&DUMBは矛盾した目標の立て方です。これは、常識的な考え方ではありませんが、そのような目標を立ててもいいと言う事です。あまりにもロジカルな目標では作業っぽくなりモチベーションをあげられませんが、壮大な夢は実現できないためモチベーションが低下します。このため、矛盾していても2つの目標を立てることは案外効果的だと思います。最後のがっかりしないは、目標を達成できない場合の予防策ですね。

もし、思考的袋小路に入った人には読んでみるのもいいかも知れません。

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