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2010年読んだ本を振り返る

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たぶん、私は2010年に50冊ぐらいの本を読んだでしょう(ラノベを除く)。これは1週間に1冊程度のペースで読もうとしているためです。実際に何冊読んだのかわかりませんし、途中でやめた本もいくつかあります(読むのを止めた本の中で"ブラックスワン"と"白熱教室"があります)。

本ブログで書評を書こうと思ったのはGW前後です。理由は、エントリ数を増やしたいですが、書くネタが思いつかなかったので読んでいたビジネス書の書評を行うようにすることにしたためです。

そこで2010年読んだ本で最も面白かった10冊をあげてみます。

■10位 Google Chrome OS~最新技術と戦略を完全ガイド~

第一章のChrome OSを出す理由に関する記述は技術書を敬遠する人でも読まれても面白いと思います。Chrome OS自体はうまくスタートがきれるのか製品が出ていない2010年終わりでははっきりとしていません。

それでもGoogleが目指そうとしているビジョンを知るためにも本書の第一章だけでも目を通しても良いのではないでしょうか。

■9位 捕食者なき世界

ビジネス書でないため本ブログでは紹介しませんでしたが、捕食者がいなくなったことで自然界のバランスがくずれることを論理的に説明している面白い本です。日本でも鹿や猪の食害に苦しんでいる地域がありますが、やっぱり狼を滅亡させたためでしょうね。と言っても、再導入は日本では難しいですね。なんと言ってもニホンオオカミは滅亡しているのですから。

もしかするこのことは何も自然界のみの話ではないように思えます。話は飛んでしまいますが、アメリカの禁酒法でマフィアの繁栄を促し、アルコールの課税から得られる税収が減少しました。このようなことが禁酒法を可決したときにどの程度想定されたでしょうか?

良かれと思って行ったことが予定外な結果につながったことになります。それぐらいこの世の中はシンプルにはできていません。何を言いたいかと言うと"東京都青少年の健全な育成に関する条例"に関して、本当に青少年の健全な育成に寄与するかが疑問です。大人が思っているような青少年の思考はシンプルではないでしょうし(この問題は基本的には、もっと別の問題をはらんでいると思っていますが)。

本書は、2009年出版された"ハチはなぜ大量死したのか"と同じ編集者だそうですが、言われれば納得がいきます。"ハチはなぜ大量死したのか"も面白いですよ。

■8位 十字軍物語〈1〉

ローマ人の物語が終了したときに、私は相当落胆しました。これから12月は何を読めば良いのかと。その後"ローマ亡き後の地中海世界上下"が始まり喜んでいたのですが、上下で終わってしまいました。その次を期待していたら十字軍物語が始まりました。やった!って感じですね。

4部構成(絵で見る十字軍と十字軍物語1~3巻)のようで、この続きが2011年に出る予定になっています。純粋に歴史小説ファンとしては楽しく読めます。ついでに、塩野七生氏の最高の本はローマ人の物語ではなく、海の都の物語だと思います。文庫が出ているので未読の方はお勧めです。海の都の物語の上を読み終わったときに、この楽しい時間があと1冊しかないのかと悲しくなったほどです。

■7位 採用は2秒で決まる!

私の中では数少ない無条件著者買いを行うマルコム・グラッドウェル氏の短編集です。3巻構成になっていますが、1巻は失望しました。このシリーズで一番面白いのは3巻です。

特にエンロン破綻の話は"モチベーション3.0"や"不合理だから全てがうまくいく(年明けに書評を書く予定)"をあわせて読むと破綻するのは当然のように思えます。このあたりはグラッドウェル氏がうまく切り込んでいます。

■6位 ハーバードの「世界を動かす授業」

私はビジネス書、IT系技術書、歴史小説っぽいものを好きで読んでいます。どちらかと言えば、雑学を積み重ねている感じでしょうか。しかし、本書の様に各国の政治的な方針に関して言及している本はそれほど好きではありません。このため、この本を手に取ったのも単に大学の講義内容の本だということだけでした。ただし、読んで後悔したわけではありません。

元Microsoftの日本支社のトップも成毛さんがある本で、いろいろな本を読むように指摘しています。これは食わず嫌いをなくさせるためでしょう。今まではまったく読もうとしなかったカテゴリに読むのは良いですね。時々とりあえず売れている本を手にとって見るのもいいのかも知れません。

■5位 20歳のときに知っておきたかったこと

Amazonで人気になる前に購入した本です。これも単に手に取ってみただけでしたが、面白くてよかったです。特にルールを破ってはいけいないと思い込むことが問題のようです。本書では、このことを強く意識付けされます。

■4位 成功をめざす人に知っておいてほしいこと

バスケットボールの監督との言葉とは言え、人を導くには何事にも通じるものがあります。また、技術的なことを教えるのは大切なことなのですが、そこは本質ではなく人を導くことが大切なのでしょう。これはビジネス上の人間関係にも同じことが言えます。

■3位 ビジョナリーカンパニー3

私はビジョナリーカンパニー1、2を読んでいないかそれとも頭の中には入っていません。その状況でも3は楽しく読めます。若干IT系企業が採用されていないため、ぴんと来ないかも知れませんが、次の本では有名なIT系企業が取り上げられるのではないかと予想しています(あたるかな?)。

■2位 モチベーション3.0

いくつかの実験結果で過去に思われていたこと(給料を上げると仕事のモチベーションが上がる)等は幻想でしかないとことを明言しています。これは、"不合理だからすべてがうまくいく"でも同じような結果を出しています。エンロンの不正や金融不況を見ると、給料が多いことが何も良いことだと思えなくなります(ある程度の上昇は必要ですが、過剰なまで提供は良い方向に向かない傾向がある)。

ただし、実験結果は非常に少ない金額の領域です。もう少し大規模に行ったときの結果が知りたいものです。

■1位 FREE

この本を読んだときはまだ書評エントリを書くことをしていませんでした。このため、ビジネス書ながら書評を書いていません。ですが、本書は2010年読んだ本の中で最も面白い一冊でした。このため、著者の有名な"ロングテール"を読みました(いまさらながら、面白かったです)。

ある程度はフリーになるのは仕方がありません。私もWEB系サービスはフリーなものを率先して使います。このあたりが今後のビジネスにどのように絡めていくのかが難しいところですし、マネタイズがうまくできていない会社がどのようにすべきなのか私にはわかりません。

ですが、この流れを止めることはできそうにありません。

■まとめ

ビジネス書を主に紹介しているからだと思いますが、翻訳本を多いですね。翻訳本がはずれが少ないのは、2度のフィルターを通しているからだと言われています。1つ目がアメリカ市場でのチェック(上であげた翻訳本は全てアメリカで最初に出版されている)、2つめがそれを日本語訳にしようと判断する編集者(?)のチェックです。2度のフィルターを介しているため外れにくいそうです。このためか、私はビジネス書を購入するときに翻訳本を重視する傾向にあります。

後、私は通勤電車内とレジ待ちでしか読書を行いません。通勤電車を主に読書の場所としているのは、空いている路線に乗っていること(南関東で働いているものにとっては相当幸運な部類)、暇なためです。

以前はスポーツ新聞や漫画雑誌で暇をつぶしていましたが、費用対効果があまり芳しくありませんでした。私は速読ができないのでFREEレベルの厚さだと2週間ぐらいはかかります(距離もそれほど長くないのもありますが)。2,000円で2週間持てば毎日スポーツ新聞・漫画雑誌を購入するよりも費用対効果が高くなります。ここで言う効果とはたんに暇つぶしです。

ですが、FRE等ははっきり言えば通勤電車の中で読むには少し苦痛です。それは厚みがあるためです。

このため、電車内読書を行えるためにもぜひとも2011年には電子書籍が普及してほしいですし、有名な新書はサポートしてほしいものです。

2011年も面白い本に会えることを期待しております。

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