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グローバル化する中で日本人はどのようにサバイバルすればよいのか。子ども×ICT教育×発達心理をキーワードに考えます。

教員のための仕事効率化 ー授業・校務編ー ( 2021アップデート版 )

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以前公開した「教員のための仕事効率化シリーズ」をアップデートするというスタイルで、望月陽一郎 先生に再度お話を伺っています。第4回目は「授業・校務における効率化」を中心にお聞きしたいと思います。

大分県立芸術文化短期大学非常勤講師。Forbes Japan電子版オフィシャルコラムニスト。公立中学校理科教諭(理科)・大分県教育センター指導主事(情報教育)・大分県主幹等を経験されています。自作の「micro:bit『サンプルプログラミング集』2.0版」が、2019年第35回学習デジタル教材コンクールにて「学情研賞」を受賞されました。

望月陽一郎 個人サイト:http://mochizuki.net/

授業・校務における時短術について

学校の先生方は教科の内容を教えるだけでなくそれ以外に様々なお仕事をされているかと思います。望月先生は日々どのような仕事をされていのか、例をあげて教えてください。

定期テストに関する作業を分類してみる

望月先生:私は中学校で勤務していましたが、例えば定期テストだけでも次のような作業がありました。

  • 毎日の授業→テスト範囲を決める(教科担任)
  • 各教科担任から範囲集約→テスト範囲を発表(学習担当)
  • テスト問題・解答用紙作成→印刷クラスごとに分ける(教科担任)
  • 試験監督割当→当日の時間割づくり(教務主任)
  • 問題・解答用紙受取→教室でテスト実施→解答用紙を教科担任へ(テスト監督)
  • テスト結果入力の準備(学習担当)
  • テスト採点→点数を全体一覧に入力(教科担任)
  • 解答用紙を生徒に配布→採点ミスなどを受付(教科担任・学級担任)
  • 全体一覧データ処理→学級担任へ(学習担当)
  • 個人成績表に記入→生徒に配布→保護者の確認→回収(学級担任)

-定期テストは学校時代に何回も受けましたが、書き出してもらうと思った以上に複雑な段取りで先生方は作業されていたんですね。

望月先生:これを担当ごとに分類し直してみると、

○教科担任 ・毎日の授業→テスト範囲を決める

      テスト問題・解答用紙作成→印刷クラスごとに分け

      テスト採点→点数を全体一覧に入力

      解答用紙を生徒に配布→採点ミスなどを受付

○学習担当 各教科担任から範囲集約→テスト範囲を発表

      試験監督割当→当日の時間割づくり

      全体一覧データ処理→学級担任へ

テスト監督 問題・解答用紙受取→教室でテスト実施→解答用紙を教科担任へ

○教務主任 試験監督割当→当日の時間割づくり

○学級担任 解答用紙を生徒に配布→採点ミスなどを受付

       個人成績表に記入→生徒に配布→保護者の確認→回収

このような感じになります。

ただ、学級担任は教科担任を兼任しておりテスト監督もします。また学習担当していればこれらほとんどの業務すべて関わることになります。

-ほとんどの業務を兼ね同時並行で作業する先生になると、かなり大変ではないで

望月先生:確かに大変でした

定期テストを廃止するという改革をした学校もありますが、代わりに単元ごとのテストをしているということなのでテストに関する作業がその回数分増えることになったとしたら、先生方の仕事効率化につながらないかもしれません

「テスト」に関わる年間のトータル作業時間を比較してみるとよいかもしれません

ICT活用でどう効率化するか

-負担軽減は難しいかもしれませんね。そのようなテストに関する作業で先生はどのような「作業の効率化」工夫されていましたか

望月先生:

 【個人】
 テスト問題と授業を反転する。

 ①テスト範囲を事前に決定し見通しを持つ。

 ②テスト問題原案を先に作成しておく。

 ③授業に入る。

  ・・・授業の見通しを持つことで到達する目標を子供たちに明らかにしておく。

  ・・・原案をあらかじめ作っておくことで、テスト直前の作業を減らす。

  ・・・テストのデータファイルを再利用する。(ICT活用)

 【全体】

 共有ファイルで作業を楽にする。

 ①点数入力用ファイルを準備し共有しておく。(ICT活用)

 ②教科担任に入力してもらう。

  ・・・同時に作業できる。

  ・・・印刷フォーマットもつくっておき入力完了後すぐに印刷る。

-以前にもお聞きしましたが、共有ファイルを活用することで、同時作業たり、早めに準備できたりでき、メリットが大きいようですね。
共有ファイルの活用は、Microsoft Officeの機能を利用しているのですか。それとも、クラウド利用などでしょうか。

望月先生:「Excelのファイル共有機能」を使えばすぐできることなので、すでにかなりの学校で日常的に行われていると思います。校務パソコンが一人一台環境になったこと、共有フォルダ使えるようになったことが大きいですね

-校務パソコンが一人一台環境になったメリットが、このようなところにも表れているのですね。最後にまとめをお願いします。

望月先生:、生徒一人一台タブレットになってきました

これからは、

  • テスト問題電子化されタブレットに一斉配信される。
  • 画面上で解答する。
  • すぐに採点集計され、評価できる。

ようになっていきます。

大学入試や全国学力テストにもCBT(ComputerBasedTraining)導入されるといわれています。これが実現すると、紙が不要となりますから先生方の作業量かなり減ると考えられます。

また、

 テスト問題→解答採点→成績一覧→通知表→指導要録→調査書

という個人成績に関する一連の作業過程がありますが、これまではどれも紙媒体で行うことがほとんどでしたデジタルデータで作業することで一元管理でき、さらに効率化できるでしょう

デジタルデータ化するメリットはかなり大きそうですね。現場の環境・状況次第と思いますが、その点についても今後、お話を伺えましたらうれしいです。
今回もありがとうございました。

>>「教員のための仕事効率化 ー校務編ー( 2021アップデート版 )」に続く(2021年6月公開予定)

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