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グローバル化する中で日本人はどのようにサバイバルすればよいのか。子ども×ICT教育×発達心理をキーワードに考えます。

教員のための仕事効率化 -クラウド編-( 2021アップデート版 )

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以前公開した「教員のための仕事効率化シリーズ」をアップデートするというスタイルで、望月陽一郎 先生に再度お話を伺っています。第3回目は「クラウド活用」を中心にお聞きしたいと思います。

大分県立芸術文化短期大学非常勤講師。Forbes Japan電子版オフィシャルコラムニスト。公立中学校理科教諭(理科)・大分県教育センター指導主事(情報教育)・大分県主幹等を経験されています。自作の「micro:bit『サンプルプログラミング集』2.0版」が、2019年第35回学習デジタル教材コンクールにて「学情研賞」を受賞されました。

望月陽一郎 個人サイト:http://mochizuki.net/

-学校の先生は教科の内容を教えるだけでなく、校務や部活動にも多大な時間を割いていることと思います。望月先生が校務で行っていた「時短術の例」を教えてください。

授業でも「クラウド活用」が基本

望月先生:まず一番時間を割かなければならない校務は「授業」である、ということを押さえておきたいと思います。授業が先生方の主な仕事であり、「子供たち一人一人の端末(GIGAスクール端末)を活用した授業づくり」がこれからの校務のメインとなっていくでしょう。

※GIGAスクール構想とは
https://www.mext.go.jp/a_menu/other/index_00001.htm

2021/3/12に通知された、
「GIGAスクール構想の下で整備された1人1台端末の積極的な利活用等について(通知)」の中で、
・・・整備された端末がクラウド活用を基本として積極的に利活用されるよう、フィルタリングなど各種サービスの設定、カメラ機能やネットワーク機能の設定等を適切に行うこと。
と書かれています。

例えば、Googleのアカウントが子供たち一人一人に配布されている場合、

  • GoogleClassroom(同期・非同期で活用できる授業システム)
  • GoogleJamboard(同時編集できるデジタルホワイトボード)

をクラウド上で使うことにより、
対面、オンライン、それを組み合わせたハイブリッド型の授業形態をとることができますので、これまでよりも時間短縮しながらかつ活動した内容をデシタルデータとして蓄積できる授業づくりをすることができますね。

―「整備された端末がクラウド活用を基本として積極的に利活用されるよう」とありますが、確かにGoogleClassroomやGoogleJamboardは昨年から特に普及した感があります。コロナ禍でオンライン授業が増えた影響もあり、クラウド活用も一気に進展したのでしょうね。ハイブリッド型の授業形態へ着実に変化しているのが伝わってきます。

校務におけるクラウドの活用

-その他の校務で使っていたクラウドについてもお聞きしたいと思います。先生は授業以外の校務ではどんなクラウドを使っていたのですか?

望月先生:学校現場にいた頃は、

  • 校内ではNAS
  • 校外ではOEN(大分県教育ネットワーク)

を使っていました。

-校内ではNASを利用されていたとのこと。NASとは、ネットワークアタッチトストレージ (Network Attached Storage)、つまりファイルサーバのことでしょうか。

望月先生:そうです。以前はサーバというと、コンピュータにファイルサーバソフトをインストール・設定して作っていましたが、今はNASというコンパクトな「機器」になっているので、家庭でNASを使っている人も多いのではないでしょうか。

▼家庭用NASの例
https://www.buffalo.jp/product/detail/ls520d0802g.html

今も自宅でNASを使っています。タブレットや複数のパソコンからアクセスできるようにしています。

以前「端末にデータを保存しない」という話をしましたが、自分が使っているパソコンがもし壊れてもデータがなくなったりアクセスできなかったりしないように工夫しています。

学校でも、NASの設定によって、

  • 個人のみがアクセスできるフォルダ
  • 全員がアクセスできる共有フォルダ

を作り、みんなで使うファイルを「全員がアクセスできる共有フォルダ」に置くことで、同時に作業したり年度末に引継ぎをしたりすることができて便利ですね。

-NASを利用する際に気をつけていることはありますか?

望月先生:運用する側からいうと、停電(電源)が心配です。UPS(無停電電源装置)をつけることもありますが、通常はつけていないので停電があるとプツンと電源が落ちてしまい、その瞬間のデータ転送や保存がおかしくなったり、悪ければファイルが壊れてしまったりする場合もあります。

私も自宅でNASを使っていますが、レイド(2台のハードディスクでバックアップされている)機能を使ってファイルが壊れることを防いでいます。

最近は、NASからクラウド型サーバ(校内にサーバを置かない)に移行している例が多くなっているのではないでしょうか。

また、個人の使い方で気をつけることもあります。

学校では年度末にアカウントの削除・追加作業を行います。
異動した先生が引継ぎファイルを個人のみがアクセスできるフォルダに置いてしまっていて、そのアカウントが削除されたことにより、学校の誰もアクセスできなくなったという例がありました。

-使う側の意識も大切ですね。

校外で使っていたという大分県のOENについて、もう少し詳しく教えていただけますか。

望月先生:OEN(大分県教育ネットワーク)は、私が大分県教育センターに赴任した2000年頃から稼働している全県ネットワークです。

県内にはりめぐらされた大分県の光ネットワークに市町村が接続しているため、その回線を使ってすべての市町村立小中学校も県の教育ネットワークにつながっています。

2011年頃にGoogleのクラウド機能の利用が始まっています。https://www.pref.oita.jp/site/kyoiku/2001365.html

  • gmail
  • Googleドライブ
  • Googleカレンダー

を私も使っていました。パソコン・タブレット・スマートフォンからアクセスできるので、メールでのやりとりや自宅での教材作成に活用していました。とても便利でしたね。

また、県全体で小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の先生方全員にアカウント発行しているため、市町村間・県立学校と義務制間の異動をしても、そのままアカウントを使い続けられるというメリットもありました。

-クラウドの活用例としては、とてもよい例だと思います。

教育現場でのクラウド活用について、概要がよくわかりました。ありがとうございました。最後に「まとめ」をお願いしてもよろしいでしょうか。

望月先生:これからは授業を含めた校務全体でクラウドを活用し、

  • GIGAスクール端末を活用してどこからでも授業に参加できる環境が実現できる
  • 学習の成果をデジタルデータとして保存できる
  • アカウントに由来し、端末に由来しない
  • データをみんなで共有する

というメリットを活かしていくことで、「トータルで」先生方の時短(効率化)につなげていく事例がたくさんでてくるとよいですね。

>>「教員のための仕事効率化 ー授業編ー( 2021アップデート版 )」に続く(2021年5月公開予定)

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