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【改訂版】親子関係から見る不登校 -キャリアカウンセラー・荒尾俊樹さんに伺いました-

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はじめに

お子さんが不登校になったとき、ご家族は辛かったり悩んだり、様々な気持ちを抱えられることと思います。学校やスクールカウンセラー等に相談されたり、同じような仲間の集まりに参加されたり、本を読んだり、インターネットで検索したり。

それぞれのご家庭がそれぞれのやり方で、お子さんとともに課題・問題に向き合われていることと思います。

今回は不登校児の支援をされてきたキャリアカウンセラー荒尾俊樹さんに、子どもたちが不登校になったときの支援・対応方法を伺いました。

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筆者 :荒尾 俊樹 キャリアカウンセラー 
NPOの職員として発達障害や不登校の支援に携わっている。

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以前(2012年)にお話を伺ったときはインタビュー形式でご紹介をしました。今回は支援者の立場からの解説的な内容として、書き下ろしをしてくださいました。

荒尾さんがまとめてくださった以下の点を意識しながらお読みただくと、さらに理解が深まると思います。

  1. 子どもの成長や変化を伝えてもらえる
  2. 進路や進学の情報を整理して教えてもらえる
  3. 学校に行かなくても育っていった人たちの事例を知る
  4. 不登校を受け入れられるまでに時間がかかっても良いことを知る

以下、荒尾さんの解説です。

【親子関係から見る不登校】

子どもが不登校になったとき、家庭が安心して過ごせる場所であることは大きな意味を持ちます。しかし多くの親の立場からすると「いつまでこのままにして良いのか」という葛藤を抱えることになります。

一日中、ゲームやパソコンなど、勉強もしないで遊んでいる光景を目の当たりにすると、イライラしてしまうものです。

親がストレスと感じるようになると、子どもの内面の葛藤に気づきにくくなります。子どもは表面的には遊んでダラダラと過ごしていても、実際は学校に行かないことに罪悪感を覚えていたり、漠然と将来に不安を感じていたりします。

親の不安と子どもの不安がぶつかるようになると、親子関係が悪いスパイラルに陥ってしまうことがあります。

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このような状況では、子どもへの支援以上に親の不安に対する支援が必要になることがあります。

親の不安への支援としては、まずは親が相談できる機関や、日ごろ思っていることを話せる場所を見つけることが重要です。

筆者がこれまでに見てきたケースでも、相談先で下記のようなフィードバックを受けることができた親は、少しずつ不登校に対する不安が軽減されていったように思います。

・子どもの成長や変化を伝えてもらえる

子どもは日々、成長し変化していきます。それは家庭を中心に過ごしていても変わりません。日々の些細な事でも不登校について良く理解している人に相談することで、子どもの成長に気づけることがあります。

・進路や進学の情報を整理して教えてもらえる

不登校の子どもの進学先などは、インターネットなどを使えば様々な情報を手に入れることができます。ただし得た情報を整理できないままでいると混乱の原因にもなります。住んでいる地域で活用できる進路先や進学先の情報を、整理して教えてもらえることは重要な意味を持つことがあります。

・学校に行かなくても育っていった人たちの事例を知る

学校に行かなくても、進学や就労など自分の人生を歩んでいっている人は多く存在します。そういった事例を知ることは、大きな安心につながることがあります。

・不登校を受け入れられるまでに時間がかかっても良いことを知る

多くの親にとって、我が子の不登校を受け入れることは簡単なことではありません。わかってはいても、つい余計なことを言ってしまうことがあります。

そのたびに落ち込んでしまうことも多いでしょうが、他の多くの親もそうやって時間をかけて我が子の不登校と向き合ってきたのだと知ることで、現状をより肯定的に見ていけることがあります。

>>「3.不登校と発達障害」につづく

謝辞

今回はお子さんが不登校になったときの「親の対応」について、荒尾俊樹さんがご解説くださいました。大変ありがとうございました。

解説してくださった荒尾さん、およびこの記事を含む不登校シリーズを読んでくださった皆さまにお礼を申し上げます。この記事が「子どもが不登校になったとき、親は何をしたらよいのか」対応方法のヒントになりますように願っています。

姉妹記事

  1. 【改訂版】子どもはなぜ不登校になるのか
  2. 【改訂版】親子関係から見る不登校(本作)
  3. 【改訂版】不登校と発達障害

2017.3.29 15:09 謝辞と姉妹記事の情報を追加。

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