オルタナティブ・ブログ > 教育ICT研究室 >

グローバル化する中で日本人はどのようにサバイバルすればよいのか。子ども×ICT教育×発達心理をキーワードに考えます。

"教育現場"でのiPad活用事例(小学校~大学) 〜『iPad教育活用7つの秘訣』より〜

»

現場の先生のiPad活用法

2013年に出版された『iPad教育活用7つの秘訣―先駆者に聞く教育現場での実践とアプリ選びのコツ』という本を参考に、数回にわたって学校現場におけるiPad活用について紹介してきました。

今回は教育現場での7つとりくみから

  • 小学校編:片山敏郎 先生(上所小学校)
    ※現在は新潟大学教育学部附属新潟小学校。
  • 中学校・高校編:金子暁 先生(広尾学園)、永野直 先生(袖ヶ浦高等学校)
  • 大学編:岩居弘樹 先生(大阪大学)、伊藤一成 先生(青山学院大学)

を、簡略に概観します。

※以下、小学生は「児童」、中・高校生は「生徒」という表現にします。

参考:小池 幸司・神谷 加代『iPad教育活用7つの秘訣―先駆者に聞く教育現場での実践とアプリ選びのコツ

小学校編

Ap181_l

小学校の活用事例として、片山敏郎先生(現在は新潟大学教育学部附属新潟小学校)が上所小学校で行った取り組みが紹介されています。

【要点の一部(片山先生)】

  • 原口 ビジョン(注)の影響で小学校のICT化が進んだ印象
  • 操作の指導をしなくても、子どもたちは子供同士で解決し、iPadを使用できた
  • 小学校にiPadを導入するために、教育ICT支援員が必要ではないか?

注:原口ビジョンについては、総務省の資料が掲載されている国立国会図書館が保存した2010年6月8日時点のページをご参照ください。http://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1052035/www.soumu.go.jp/menu_kyotsuu/topics/s_topics100506.html

片山先生の取り組みについては、「ICTで学びを保証する ~ 『iPad教育活用7つの秘訣―先駆者に聞く教育現場での実践とアプリ選びのコツ』より~」にて、さらに詳細に紹介しています。

中学・高校編

6953404_0

私立の中高一貫校や高校の新設学科で、タブレットの一人一台化を実現した学校が登場したとのこと。活用事例として広尾学園の金子暁 先生、袖ヶ浦高等学校の永野直 先生の取り組みが紹介されています。

【要点の一部(金子先生)】

  • 2012年から生徒の所有に変更。
    →学校側でセットアップや機能制限を設定してから配布。
  • 学習時のiPad使用に関しては、生徒の自主性に任せている
    (学校から無理強いしない)
  • iPadを導入したら、直感的にデジタルとアナログを使い分けるようになった

【要点の一部(永野先生)】

  • iPadの一人一台環境は公立校で初
  • 学んだデータが自分のものとして残るように、iPadを個人購入してもらった
    →家族の負担が今後の課題
  • 学習面だけでなく、学校行事にもiPadを積極的に活用
    →社会とのつながりを意識してiPadを使ってほしい

大学編

6744641480

大学ではiPad発売当時から導入の動きがあったとのこと。活用事例として大阪大学の岩居弘樹 先生、青山学院大学の伊藤一成 先生の取り組みが紹介されています。

【要点の一部(岩居先生)】

  • 外国語の授業でiPadを導入したら、生徒たちがどんどん会話をするようになった
  • Wi-Fiの環境整備や接続までの時間短縮に苦心
  • iPadを使うかどうかにかかわらず、教師は学生同士がうまくコミュニケーションできるように促す存在(ファシリテーター)であるとよい

【要点の一部(伊藤先生)】

  • 学生がiPadを、自分の学習のポートフォリオとして使うように指導
  • 学生がアイデアを形にするためにiPadを活用してもらった
  • 教育現場では"使う大切"さを教えるとともに、"使わない"・"選択する"を教えることも必要では?

おわりに

小学校から高校までは集団で各教科について習う授業形態。大学では専門性を極めるためのゼミ形式に変化していきます。そのため、iPadの導入、生徒の使い方についても大きな差があるのかなと想像していました。

しかし、今回、ご紹介した先生方に共通する点として「iPad(タブレット)を授業に導入することで、生徒の自主性・判断力を育てたい」、という願いを感じました。教科や授業形態、環境によって若干の違いはありつつも、本質は共通しているのかもしれません。

iPad教育活用7つの秘訣』内で、先生方がおすすめしているアプリ・具体的な事例・メソッドは、書籍でご確認していただければと思います。

参考文献

小池 幸司・神谷 加代『iPad教育活用7つの秘訣―先駆者に聞く教育現場での実践とアプリ選びのコツ

関連記事

  1. デジタルネイティブと保護者 〜『iPad教育活用7つの秘訣―先駆者に聞く教育現場での実践とアプリ選びのコツ』より〜
  2. ICTで学びを保証する ~ 『iPad教育活用7つの秘訣―先駆者に聞く教育現場での実践とアプリ選びのコツ』より~
  3. デジタル教科書・教材のあるべき姿を議論する ~デジ教研Open Meeting08 in Kyoto ~みんなで、デジタル教科書の資料を読み込もう!より~
  4. "教育現場"でのiPad活用事例(小学校~大学) 〜『iPad教育活用7つの秘訣』より〜

編集履歴:2023.9.24 21:40 本文の末尾から「>>「"教育現場での工夫"のまとめ(専門学校・塾)」につづく(予定)」を削除しました。

Comment(0)