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グローバル化する中で日本人はどのようにサバイバルすればよいのか。子ども×ICT教育×発達心理をキーワードに考えます。

「雨」が物語る 北島マヤと速水真澄の未来・後編

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はじめに

漫画『ガラスの仮面』シリーズが開始してから約2年が経ちました。すぐに終わる予定だったシリーズなのに本物の『ガラスの仮面』のようになかなか終われない状態に。美内すずえ先生が未刊行原稿を元に大幅改稿をされているので、私の記事も常に考察し続けています。

速水真澄の黒いスマートフォンの機種がアンドロイド携帯を仮設を立てたあと、次の48巻では白くて見た目が違うスマートフォンになっていました。まさかの機種変なのでしょうか?

参考:漫画『ガラスの仮面』にまさかのスマートフォン!-青木麗と速水真澄はあのスマフォ!? -

今まで書いたブログ記事の文字数は原稿用紙100枚を超えました。書き進めていけば行くほど1つの記事がおそろしく長くなっています。このままの長さでは読者にとって読みにくさがあるように思えてきました。

そのため長編すぎる長さの記事(アーカイブ)は前・後編、それでもながければ3分割以上に分けることにしました。※評判が悪ければ元の長さに戻します。

今回は『ガラスの仮面』の登場人物の気持ちを「雨」という切り口で考える続きです。前編「漫画『ガラスの仮面』の「雨」が物語る北島マヤと速水真澄の未来・前編−」を読まなくても楽しめるように構成していきたいと考えています。

ガラスの仮面は1975年12月に発売された「花とゆめ 1976年1月号」から連載が続いている長編作品です。そのため今回はごく一部を取り上げて考察したいと思います。 どうぞ、よろしくお願いいたします。

『ガラスの仮面』のあらすじはWikipediaのものが一番わかりやすいのでオススメです。

参考:ガラスの仮面 (Wikipedia)
※以下のページの「あらすじ」の項目をご参照下さい。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%81%AE%E4%BB%AE%E9%9D%A2

今回の記事も物語の結末や核心となる部分に触れています。(いわゆるネタバレが含まれます。)この記事は「『ガラスの仮面』のネタバレになっている記事でもかまわない」という方を対象にしています。ご注意くださいませ。

雨が物語る 速水真澄の切ない気持ち

マヤが速水真澄の頬に触れたのは非常に重要だと考えています。単行本36巻から37巻で2人は嵐の中、神社の社務所(山小屋? )で一夜を過ごしたことと関連があるからです。

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※この画像はPIXTAで購入した画像です。

社務所の時は嵐。雷鳴が轟く中、速水真澄はマヤの舞台を見た時の気持ちを理性でところどころ本音を抑えつつ 語り始めています。(注)
※『ガラスの仮面』紅天女2 文庫本21巻(白泉社)を参照

  • 本当はずっとマヤに謝りたかったこと
  • マヤの紅天女をいつか舞台で観たいこと

を言いながら、北島マヤの頬に触れようとした速水真澄。しかし雷鳴がとどろき、はっと我に返ります。速水真澄はあわててマヤに触れようとして手を引っ込め、彼女から離れます。「雷」が2人の間に割って入って恋の邪魔をしました。

梅の谷にいる時に「嵐」になったおかげで社務所で二人きりになりました。嵐のお陰で邪魔が入らなかったわけです。お互いへの愛情は嵐のように強くて激しいものなのでしょうが、二人きりにも関わらず本当の気持ちを言い切れませんでした。社務所の時点では「マヤが自分を好きなわけがない」と速水真澄が思っているからでしょうか。

色々ある「お天気」の中で「嵐」を選択した美内先生の意図も気になります。社務所で一夜を明かした時は北島マヤと姫川亜弓が梅の里で月影千草と紅天女の演技指導を受けている時です。季節が夏の大三角形が見える時期だったため、大雪で2人だけになるのは不自然です。晴れや曇でも二人きりになるのは難しいでしょう。

嵐以外の天気では「速水真澄と北島マヤが2人きりで山奥の社務所で一夜を過ごすのは不自然になってしまう」という判断なのでしょうか。そして嵐は当時の2人の関係性の不安定さの隠喩(メタファー)かもしれません。

お互いに好き同士であるものの速水真澄には婚約者がいます。彼の婚約破棄がない限りは問題がある恋愛になってしまいます。秘めた愛情がいかに強くても、二人の関係は晴れやかな関係ではなくなってしまうという事なのかもしれません。

初めて「マヤ」と口にした日も「雨」

思い返してみれば、速水真澄がはじめて北島マヤに対して「チビちゃん」ではなく「マヤ...! 」と言ったのはこんな場面でした。芸能界を追放された北島マヤが雨が降る深夜、公園のブランコでぼう然としていたところに速水真澄が探しに来た場面です。

  1. 演劇をもう辞めること
  2. 速水真澄とは二度と会いたくない(絶縁)したいこと
  3. 速水真澄が大嫌いない事

を言いながら北島マヤはブランコから崩れ落ちます。(注)
※『ガラスの仮面』華やかな迷路2 文庫本10巻(白泉社)を参照。

速水真澄は驚いて「マヤ」の名を口にして叫びます。

彼は北島マヤを速水家に連れ帰り、医師の治療を受けさせます。マヤが肺炎であることを知った速水真澄は寝込むマヤを見ながら決定的なことを自覚します。自分が10歳以上年下の北島マヤを愛していることです。
※『ガラスの仮面』華やかな迷路2 文庫本10巻(白泉社)を参照。

母・北島春が亡くなった日も「雨」

漫画『ガラスの仮面』において雨が降っている時に二人の関係が大きく動く出来事が起こっている気持ちがします。北島マヤの母親・北島春の死んだ日も大雨でした。

北島春が死ぬ原因になったのは速水真澄が社長をしている大都芸能によって自分が監禁されていると知ったためです。病気で目が見えなくなったのにもかかわらず娘に逢うため雨が降る中、山奥の療養所から抜けだしました。

一晩中 雨に打たれた結果、彼女は肺炎になってしまいました。しかも目が見えないために車にはねられました。やっとのことでマヤの主演映画が上演している映画館に行きますが、上映中に母親が亡くなります。

とても悲しいこの場面も映画館ヤヨイ座の外は大雨でした。マヤが芸能界を追放されて公園で雨に打たれていた夜も大雨。この時は北島マヤと速水真澄との関係性は憎み・憎まれる最悪のもの。

紅天女のふるさと・梅の谷の時は嵐でした。速水真澄と北島マヤは山の社務所で雨宿りをします。この時は実は両想いなのに正直に気持ちを伝えきれず、 関係性が進展し切らない状態に。

単行本43巻の都庁前の歩道の時は普通に雨。速水真澄が自分の気持ちをマヤに伝えている途中で桜小路優が割って入ります。単行本45・46巻で二人の関係が険悪になった後、2人の関係性が大きく発展したのが47巻。「朝日」が煌々と昇る中での事でした。

うまくいきそうになると二人の関係はいつも雨だったのに「太陽」が見守る中、二人の関係は予想外の進展をします。美内すずえ先生は『アマテラス』という漫画を描かれているくらい「天照大御神」さまなど神話の世界に精通されています。天照大御神は太陽の女神様。太陽の登場が果たして二人にどう影響するのか。

>> 「漫画『ガラスの仮面』の速水真澄は何回、「マヤ」と口に出したのか? −」に続きます。


追記:2012.12.3 0:10 題名を「漫画『ガラスの仮面』にまさかのスマートフォン! −「雨」が物語る北島マヤと速水真澄の未来・後編−」から「漫画『ガラスの仮面』の「雨」が物語る北島マヤと速水真澄の未来・後編−」に改めました。
2013.1.23 引用部分を削除し、一部改稿しました。2014.4.30 15:28 題名から「漫画『ガラスの仮面』の」を削除しました。

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