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デジタル化とDX 4/5 デジタル化の目的と2つの意味

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DXとは何者なのでしょうか。全5回にわたり、「デジタル化」との違いを示しながら、考えてゆきます。

連載の目次

  1. DXとは何か
  2. 私たちが「いま使っている」DXの定義
  3. デジタル化とは何か
  4. デジタル化の目的と2つの意味 *本日*
  5. デジタル化とDXの違い

デジタル化の目的

アナログな現実世界の「ものごと」や「できごと」を「コンピュータで扱えるカタチ」すなわち、デジタルで表現し直すことが、「デジタル化」です。

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では、なぜ「デジタル化」するのでしょうか。

「人間のやっていたことをコンピュータでできるようにするため」

このように説明するとわかりやすいかも知れません。

デジタル化により、例えば次のようなことができるようになります。

  • これまで1週間かかっていた申し込み手続きを5分で終わらせる
  • 顧客の行動(いま、どこで、何をしているのか)が分かる
  • 他のデジタル・サービスと一瞬にして連係できる
  • 膨大なデータの中にビジネスに役立つ規則や関係を見つけることができる
  • 業務の進捗、人の動き、ビジネスの状態が、リアルタイムに「見える化」される など

では、なぜ、こうすることが必要なのでしょうか。それは、アナログな現実世界における次のような価値を手に入れるためです。

  • 顧客満足が向上する
  • 業績が改善する
  • 社員が幸せになる など

いかなる価値の実現をもたらすのかを見据えて、「デジタル化」にとりくむことが、大切です。例えば、次のようなことです。

「これまで1週間かかっていた申し込み手続きを5分で終わらせる」ことができれば、顧客はその便利さに感動するでしょう。そのうわさは瞬く間に拡がり、さらにお客様が増え、業績も向上します。

「顧客の行動(いま、どこで、何をしているのか)」が分かれば、その状況にふさわしい、サービスを提供できます。例えば、スタジアムでサッカーを観戦していて、お気に入りのチームが勝ったなら、そのチームのログの入った「いまだけ限定」のプレミアム・グッズをスマホで紹介すれば、喜んで買ってくれるかも知れません。そうすれば、売上も向上します。

アナログな現実世界で生みだされる価値を定めないままに、デジタル化に取り組んでも、それはただの自己満足であり、ビジネスに貢献することはありません。この関係については、対応付けて考えておかなくては、いくらデジタル化に取り組んでもビジネスに貢献することはありません。

2つのデジタル化:デジタイゼーションとデジタライゼション

日本語では、「デジタル化」は、ひとつの単語ですが、英語では、2つの単語で、使い分けられています。

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ひとつは、「デジタイゼーション(digitization)」です。デジタル技術を利用してビジネス・プロセスを変換し、効率化やコストの削減、あるいは付加価値を向上させる場合に使われます。例えば、次のようなことです。

  • アナログ放送をデジタル放送に変換すれば、少ない周波数帯域で、たくさんの放送が送出できる。
  • 紙の書籍を電子書籍に変換すれば、いつでも好きなときに書籍を購入でき、かさばらず沢山の書籍を鞄に入れておくことができる。
  • 手作業で行っていたWeb画面からExcelへのコピペ作業をRPAに置き換えれば、作業工数の大幅な削減と人手不足の解消に役立つ。

このように効率化や合理化のためにデジタル技術を使う場合に使われる言葉です。

もうひとつは、「デジタライゼーション(digitalization)」です。デジタル技術を利用してビジネス・モデルを変革し、新たな利益や価値を生みだす機会を生みだす場合に使われます。例えば、次のようなことです。

  • 自動車をインターネットにつなぎ稼働状況を公開すれば、必要な時に空いている自動車をスマートフォンから選び利用できるカーシェアリングになる。
  • それが自動運転のクルマであれば、クルマが自ら迎えに来てくれるので、自動車を所有する必要がなくなる。
  • 好きな曲を聴くためには、CDを購入する、ネットからダウンロードして購入する必要があったが、ストリーミングであれば、いつでも好きなときに、そしてどんな曲でも聞くことができ、月額定額(サブスクリプション)制で聴き放題にすれば、音楽や動画の楽しみ方が、大きく変わってしまう。

このように、ビジネス・モデルを変革し、これまでに無い競争原理を実現して、新しい価値を生みだすためにデジタル技術を使う場合に使われる言葉です。

これら2つのデジタル化を、どちらが優れているかとか、どちらが先進的かなどで、比較すべきではありません。どちらも、必要な「デジタル化」です。

しかし、これらを区別することなく、あるいは、両者を曖昧なままに、その取り組みを進めるべきではありません。前者は、既存の改善であり、企業活動の効率を高め、持続的な成長を支えるためのデジタル化です。一方後者は、既存の破壊であり、新たな顧客価値や破壊的競争力を創出するためのデジタル化です。

前者であれば、既存あるいは現状を基準に、「コストを30パーセント削減する」や「10日間かかっている納期を5日間へ短縮する」といったKPIを設定し、そのための手段を考えることになります。一方後者は、「やってみなければ分からない」取り組みです。つまり、試行錯誤を繰り返しながら、正解を探す取り組みです。

前者は、既存を前提に目標を設定して、取り組むことができるが、後者は、既存を逸脱し、新しいやり方を発見しなくてはなりません。目標の立て方や関わる人たちの文化はまるで違います。両者の違いを区別することなく、あるいは曖昧なままに、取り組んでもうまくいかないでしょう。それぞれに応じた適切な戦略や施策、組織や体制で取り組む必要がります。

次回の最終回は「デジタル化とDXの違い」を解説します。

【募集開始】次期・ITソリューション塾・第39202229日〜)

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次期・ITソリューション塾・第39期(202229日 開講)の募集を始めました。

コロナ禍は、デジタルへの世間の関心を高め、ITへの投資気運も高まっています。しかし、その一方で、ITに求められる技術は、「作る技術」から「作らない技術」へと、急速にシフトしはじめています。

この変化に対処するには、単に知識やスキルをアップデートするだけでは困難です。ITに取り組む働き方、あるいは考え方といったカルチャーを変革しなくてはなりません。DXとは、そんなカルチャーの変革なしでは進みません。

ITソリューション塾は、ITのトレンドを体系的に分かりやすくお伝えすることに留まらず、そんなITに関わるカルチャーが、いまどのように変わろうとしているのか、そして、ビジネスとの関係が、どう変わるのか、それにどう向きあえばいいのかを、考えるきっかけになるはずです。

  • SI事業者/ITベンダー企業にお勤めの皆さん
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ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー

12月度のコンテンツを更新しました】

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目的の資料にいち早くアクセスできるよう、以下の二点を変更しました。

・タイトルと資料の構成を大幅に変更しました

・研修資料を作るベースとなる「最新のITトレンドとこれからのビジネス戦略(総集編)」の内容改訂 

ITソリューション塾について

・教材を最新版(第38期)に改訂しました

・講義の動画を新しい内容に差し替えました

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DXとビジネス戦略

【改訂】デジタル化がもたらすレイヤ構造化と抽象化 p.14

【改訂】デジタル化とDXの違い 改訂版 p.27

【改訂】DXの定義 1/3 p.39

【新規】DXの定義 2/3 p.40

【改訂】DXの定義 3/3 p.50

【改訂】DXのメカニズム p.45

【新規】「デジタル前提」とは何か p.46

【改訂】DXの公式 p.47

【新規】なぜ「内製」なのか 1/3 p.178

【新規】なぜ「内製」なのか 2/3 p.179

【新規】なぜ「内製」なのか 3/3 p.180

【新規】ITベンダーがDXを実践するとはどういうことかp.174

ITインフラとプラットフォーム

【新規】サーバー仮想化とコンテナ 1/2 p.76

【新規】サーバー仮想化とコンテナ 2/2 p.77

【新規】コンテナで期待される効果 p.78

【改訂】コンテナとハイブリッド・クラウド/マルチ・クラウド p.81

開発と運用

【新規】アジャイル開発が目指すこと p.37

【新規】SI事業者がアジャイル開発で失敗する3つの理由 p.74

IoT

【新規】Connected p.139

ビジネス戦略・その他

【新規】個人情報とプライバシーの違い p.146

【新規】「個人を特定できる情報」の範囲の拡大 p.147

【新規】Privacy保護の強化がビジネスに与える影響 p.148

【新規】影響を受けるデバイスやサービス p.149

【新規】スマホAIの必要性 p.150

AIとデータ

【新規】データサイエンティストに求められるマインドセット p.146

改訂【ITソリューション塾】最新教材ライブラリ 第38

ITソリューション塾の教材を最新版に改訂しました

- DXと共創

- ソフトウエア化されるインフラとクラウド

- IoT

- AI

下記コンテンツを新規に追加しました

- RPAとローコード開発

- 量子コンピュータ

- ブロックチェーン

下記につきましては、変更はありません。

ERP

クラウド・コンピューティング

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