デジタル化とDX 3/5 デジタル化とは何か
DXとは何者なのでしょうか。全5回にわたり、「デジタル化」との違いを示しながら、考えてゆきます。
連載の目次
- DXとは何か
- 私たちが「いま使っている」DXの定義
- デジタル化とは何か *本日*
- デジタル化の目的と2つの意味
- デジタル化とDXの違い
デジタル化とは何か
次に、デジタルあるいはデジタル化とは何かについて、整理しておきましょう。また、デジタルとITの関係についても説明します。
デジタルとフィジカル
「デジタル(digital)」とは、本来「離散量(とびとびの値しかない量)」を意味する言葉で、「アナログ(analog)」すなわち「連続量(区切りなく続く値をもつ量)」と対をなす概念です。ラテン語の「指 (digitus)」を表す言葉が語源で、「指でかぞえる」といった意味から派生して、離散的な数、あるいは数字という意味で使われています。
一方、現実世界(フィジカル世界/Physical Worldとも言う)の「ものごと」や「できごと」は、全て「アナログ」です。例えば、時間や温度、明るさや音の大きさなどの物理現象、モノを運ぶ、誰かと会話するなどの人間の行為もまたアナログです。しかし、アナログのままではコンピュータで扱うことはできません。そこで、コンピュータで扱えるデジタル、すなわち0と1の数字の組み合わせに変換する必要があります。このプロセスが、「デジタル化」です。
現実世界のアナログな「ものごと」や「できごと」は、デジタルに変換(デジタル化)することで、コンピュータで処理できるカタチに変わります。つまり、センサー、あるいはWebやモバイル・デバイスなどを介して、現実世界の「ものごと」や「できごと」が、デジタル・データに変換され、コンピュータに受け渡されます。
こうして、コンピュータの中に、「アナログな現実世界のデジタル・コピー」が作られます。これを「デジタルな双子の兄弟」、すなわち「デジタル・ツイン(Digital Twin)」と呼んでいます。
つまり、「デジタル」とは、現実世界のアナログな「ものごと」や「できごと」を「コンピュータで扱えるデジタルなカタチ」に置き換えた姿と言い換えることができます。
デジタルとIT
「デジタル」とは、「コンピューターで扱えるカタチ」を意味する言葉です。そんなコンピューターを実現するための技術、例えば、半導体やストレージ、通信回線や通信手順、ソフトウェアやプログラミング言語などの技術を総称して「Information Technology(IT):情報技術」と呼びます。
ITにはCommunication:通信 の意味も含まれていますが、これをあえて強調する表現として、ICT=Information & Communication Technology」と言う表現も使われています。
ICTとITは、基本的には同じ意味ですが、何を重視するかによって、次のように使い分けられています。
IT:半導体やストレージなどのバードウェア、プログラミングや開発技法などのソフトウェア、ネットワークなどのコンピュータ関連の技術全般を説明する場合
ICT:上記を含み、特に通信技術の活用方法やそれを実現するハードウェアやソフトウェア、すなわち情報伝達を重視した技術を説明する場合
かつては、省庁によってもIT とICTは使い分けられていました。例えば、経済産業省では、コンピューター製品やその技術を扱うことが多いので「IT」を使い、総務省では情報通信産業を担当するので「ICT」を使っていました。ただし、両者は一般的には、明確な区別があるわけではありません。
また、歴史的に見れば、2000年に日本政府が「e-Japan」構想を打ち出し、「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」(通称「IT基本法」)を成立させました。当時は、ITを使っていましたが、2004年に「e-Japan」構想を「u-Japan」構想に改正した頃から、ICTを使っています。なお、国際的にはICTという言葉が広まっており、そのため日本でもITに代わってICTが広まりつつあるようです。
次回は「デジタル化の目的と2つの意味」を解説します。
【募集開始】次期・ITソリューション塾・第39期(2022年2月9日〜)
次期・ITソリューション塾・第39期(2022年2月9日 開講)の募集を始めました。
コロナ禍は、デジタルへの世間の関心を高め、ITへの投資気運も高まっています。しかし、その一方で、ITに求められる技術は、「作る技術」から「作らない技術」へと、急速にシフトしはじめています。
この変化に対処するには、単に知識やスキルをアップデートするだけでは困難です。ITに取り組む働き方、あるいは考え方といったカルチャーを変革しなくてはなりません。DXとは、そんなカルチャーの変革なしでは進みません。
ITソリューション塾は、ITのトレンドを体系的に分かりやすくお伝えすることに留まらず、そんなITに関わるカルチャーが、いまどのように変わろうとしているのか、そして、ビジネスとの関係が、どう変わるのか、それにどう向きあえばいいのかを、考えるきっかけになるはずです。
- SI事業者/ITベンダー企業にお勤めの皆さん
- ユーザー企業でIT活用やデジタル戦略に関わる皆さん
- デジタルを武器に事業の改革や新規開発に取り組もうとされている皆さん
- IT業界以外から、SI事業者/ITベンダー企業に転職された皆さん
- デジタル人材/DX人材の育成に関わられる皆さん
そんな皆さんには、きっとお役に立つはずです。
詳しくはこちらをご覧下さい。
- 日程 :初回2022年2月9日(水)~最終回4月27日(水) 毎週18:30~20:30
- 回数 :全10回+特別補講
- 定員 :120名
- 会場 :オンライン(ライブと録画)
- 料金 :¥90,000- (税込み¥99,000)
- 全期間の参加費と資料・教材を含む
ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー
【12月度のコンテンツを更新しました】
======
目的の資料にいち早くアクセスできるよう、以下の二点を変更しました。
・タイトルと資料の構成を大幅に変更しました
・研修資料を作るベースとなる「最新のITトレンドとこれからのビジネス戦略(総集編)」の内容改訂
ITソリューション塾について
・教材を最新版(第38期)に改訂しました
・講義の動画を新しい内容に差し替えました
======
DXとビジネス戦略
【改訂】デジタル化がもたらすレイヤ構造化と抽象化 p.14
【改訂】デジタル化とDXの違い 改訂版 p.27
【改訂】DXの定義 1/3 p.39
【新規】DXの定義 2/3 p.40
【改訂】DXの定義 3/3 p.50
【改訂】DXのメカニズム p.45
【新規】「デジタル前提」とは何か p.46
【改訂】DXの公式 p.47
【新規】なぜ「内製」なのか 1/3 p.178
【新規】なぜ「内製」なのか 2/3 p.179
【新規】なぜ「内製」なのか 3/3 p.180
【新規】ITベンダーがDXを実践するとはどういうことかp.174
ITインフラとプラットフォーム
【新規】サーバー仮想化とコンテナ 1/2 p.76
【新規】サーバー仮想化とコンテナ 2/2 p.77
【新規】コンテナで期待される効果 p.78
【改訂】コンテナとハイブリッド・クラウド/マルチ・クラウド p.81
開発と運用
【新規】アジャイル開発が目指すこと p.37
【新規】SI事業者がアジャイル開発で失敗する3つの理由 p.74
IoT
【新規】Connected p.139
ビジネス戦略・その他
【新規】個人情報とプライバシーの違い p.146
【新規】「個人を特定できる情報」の範囲の拡大 p.147
【新規】Privacy保護の強化がビジネスに与える影響 p.148
【新規】影響を受けるデバイスやサービス p.149
【新規】スマホAIの必要性 p.150
AIとデータ
【新規】データサイエンティストに求められるマインドセット p.146
改訂【ITソリューション塾】最新教材ライブラリ 第38期
・ITソリューション塾の教材を最新版に改訂しました
- DXと共創
- ソフトウエア化されるインフラとクラウド
- IoT
- AI
下記コンテンツを新規に追加しました
- RPAとローコード開発
- 量子コンピュータ
- ブロックチェーン
下記につきましては、変更はありません。
ERP
クラウド・コンピューティング