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「ソリューション営業」の崩壊、だから 4/4

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あなたは、お客様のご要望に応え、丁寧で実直に仕事をこなしている、何が間違っているのだと反論したいかも知れない。そのとおり、何も間違ってはいないし、そのような態度が、お客様との信頼関係を築く土台となることは言うまでもない。しかし、それだけの営業ではもはや役割を果たせない時代になろうとしているのだ。

では、どうすればいいのだろう。4回にわたってこのテーマについて、考えてみようと思う。

  1. お客様の「手足」になるのではなく「頭脳」になれ
  2. 古き良き時代の営業スタイルは通用しなくなる
  3. 進化する営業の新しいカタチ
  4. 「ソリューション営業」の崩壊、だから(今回)完

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4.「ソリューション営業」の崩壊、だから

ユニークで優れたプロダクトを世の中に出しても、あっという間に他社が追従しコモディティ化してしまうし、優れたプロダクトであれば、他社も直ぐにその販売をはじめてしまう。もはやプロダクト単体のアドバンテージで勝負することは難しい。だから、お客様ごとにニーズや課題を掘り下げて、個別に最適化された「プロダクトや手段の組合せ」を「ソリューション」として仕立て上げ差別化しようという「ソリューション営業」が注目されるようになった。しかし、「ソリューション営業」は、いま2つの課題に直面している。

ひとつは、「ソリューション」のコモディティ化が加速していることだ。情報がネットを介して直ぐに手に入る時代となり、各社の「ソリューション」についての情報もあっという間に手に入る。例え、それぞれの企業にとって個別最適化された「ソリューション」であっても、使われているプロダクトや手段についての情報は直ぐに拡散してしまう。そうなれば他社も容易に追従できるので、ユニークさは失われてしまう。「ソリューション」もまたプロダクト同様にコモディティ化が進み、差別化できなくなってしまうからだ。

もうひとつは、何が課題なのか、ニーズなのかが分からないお客様の「ソリューション」を組み立てることはできないということだ。ビジネス環境の不確実性が高まる中、お客様は「このままではいけない」と感じてはいるが、何をどうすればいいのか分からない。そんなお客様の課題やニーズを掘り下げることはできない。もはや課題ありきの「ソリューション営業」で、競争優位を築くことが難しい時代となってしまった。

だから、営業と言う仕事を次のステージに押し上げてゆく必要がある。お客様は「このままではいけない、どうにかして変革を進めたい、しかし、どう変わればいいのかがわからない」と考えているのなら、その変革のゴールすなわち「あるべき姿」とそこに至る道筋を提言し、そのプロセスを主導することで、新たなビジネス・チャンスを生みだそうという営業だ。

「変革という課題を解決するのだから、ソリューション営業と変わらないのでは」という意見もあるかもしれないが、両者の本質的な違いは「ニーズや課題が、既知か未知か」にある。

ソリューション営業は、お客様自身が意識している「顕在化されている課題やニーズ」か、こちらが指摘すれば「たしかにそうだ」と容易に気づかせることができる「潜在的な課題やニーズ」が存在していることを前提とする。しかし、変革を進めようとするお客様は、変革への意志や問題意識はあっても、「どこに向かって変革し、どのようにイノベーションを起こせばいいのか」分かっていない。そんなお客様に「課題は何か」と尋ねても答えようがない。そんなお客様に、他社の「ソリューション事例」は役立たない。それは、「自分たち自身がどうなりたいのか」といった「あるべき姿」が明確になっていないので、それが自分たちに役に立つのかどうか分からないからだ。

次のステージに立つ営業は、そんなお客様をお客様以上に深く考察し、提言して新しい気づきを引き出し、お客様自身が自らの「あるべき姿」とそこに至るシナリオに確信が持てるように支援する。そして、「あるべき姿」へ至る道筋を示して、前に進もうとする勇気を与える。

ビジネスのあらゆる分野でIT抜きに語れないいま、「変革」への取り組みは、結果として、ITの新たな需要を創り出す。つまり、変革のプロセスに関わることがこれからの「営業活動」ということになる。

そんな営業活動のゴールは、お客様のビジネスを成功させることにある。そのための良き相談相手になることだ。そして、この人なら相談できる、任せられると思ってもらえなくてはいけない。そのためには、幅広い知識と技術への理解、さらには、お客様のビジネスを成功させることへの熱いパッションも必要になる。

その土台となるのが人間力だ。人格あるいは人徳と言い換えてもいいかもしれない。これは営業以前の話しで、ビジネス・パーソンとして、お客様から信頼される存在になることだ。

営業の提言に、自分たちの会社の命運をかけようというのに、その相手が人として信頼できるかどうかは、とても大切なことだ。だからお客様は、誠実に、真摯に自分たちの未来に向きあってくれるかどうかを見極めようとするだろう。そんな人間力もまた、これからの営業には大切になってゆく。

AIや自動化の時代だからこそ、営業には人間にしかできない役割が求められている。こうしたい、この課題を解決したいと言うことが分かっていればAIは直ぐに答えを教えてくれる。そのために必要な条件を入力すれば、必要な機能や構成をクラウド上で直ちに実現してくれる。でも、そもそも何をしたいのか、何をすべきなのか、自分たちはどこに向かうべきなのかといった「あるべき姿」を、AIは教えてはくれない。人間は問いを発しAIが答えを与えてくれる。その役割分担が、さらにはっきりしたものになってゆくだろう。

これからの営業は、この「あるべき姿」をお客様に提言し、その実現への筋道を示し、そこへと導く仕事へと進化させてゆく必要がある。テクノロジーの進化は、営業にそんな人間としての役割をこれまでにも増して求めることになる。

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA

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