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「ソリューション営業」の崩壊、だから 1/4

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「我が社もデジタル・トランスフォーメーションに取り組んでいきたい。」

「"攻めのIT"に取り組まなきゃいけない。」

お客様からこんな話しを聞かされて、あなたはどう答えるだろう。そもそも、このようなことさえ相談されないとすれば、自分が営業として、十分には信頼されてないことを自覚する必要があるだろう。

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あなたは、お客様のご要望に応え、丁寧で実直に仕事をこなしている、何が間違っているのだと反論したいかも知れない。そのとおり、何も間違ってはいないし、そのような態度が、お客様との信頼関係を築く土台となることは言うまでもない。しかし、それだけの営業ではもはや役割を果たせない時代になろうとしているのだ。

では、どうすればいいのだろう。4回にわたってこのテーマについて、考えてみようと思う。

  1. お客様の「手足」になるのではなく「頭脳」になれ(今回)
  2. 古き良き時代の営業スタイルは通用しなくなる
  3. 進化する営業の新しいカタチ
  4. 「ソリューション営業」の崩壊、だから

1.お客様の「手足」になるのではなく「頭脳」になれ

冒頭に示したように、ITあるいはデジタル・テクノロジーの積極的な活用が、事業戦略上不可避であるとの認識は、もはや広く行き渡っている。しかし、何をすればいいのか、どのように取り組めばいいのか、お客様もまた答えを持っていない。こんなお客様に「何をすればいいかを教えてくれれば、それを適正価格で納期や品質を守って確実に実現します」と訴えても、何をトンチンカンなことを言っているのだと追い返されるだけだ。

また、自分たちにできること、あるいは自社のサービスや製品の範疇でしか語れないとすれば、それが最適な解決策なのかは分からない。お客様が知りたいのは「自分たちは何をすべきか」であり、「貴方たちに何ができるか」ではない。

このブログでも度々紹介していることだが、デジタル・トランスフォーメーションは、合理化や生産性向上のためのシステム開発でもなければ、インターネットやAIを駆使した新しいデジタル・ビジネスを作ることでもない。テクノロジーを活かして、経営や事業のあり方を根本的に変えてしまうことだ。だから、お客様は、経営や事業に踏み込んで、何をどのように変えてゆけばいいのかを一緒に考え、テクノロジーやビジネスのトレンドから助言を与えてくれることを期待している。主導権をお客様に委ね、自分たちはサポート役の立場を越えようとしなのであれば、解決策など描けない。営業は、こんなお客様の期待に応えられなくては、案件を獲得することはできなくなるだろう。

ITを含むデジタル化投資はデジタル・トランスフォーメーションの実現にシフトしてゆく。これからのビジネスのチャンスは、ここに関わってゆけるかどうかにかかっている。

営業は案件獲得のきっかけの作り方を変えなくてはならない。つまり、お客様の「手足」となって「お客様の求める要求」に応えることではなく、「お客様の求める要求」そのものを生みだすことにかかわってゆく必要がある。そのためには、「何をすればいいのかをお客様に提言する」ことからはじめるのだ。

そのためには、お客様の業務や経営を深く考察し、最適な手法やサービスを目利きし、「あるべき姿」を想像できなくてはいけない。そして、「なるほど!」と感じてもらえる提言をし、お客様の心を掴むことだ。それをきっかけに、お客様と議論や対話を深めてゆく。こういう取り組みが案件獲得につながる。

また、この営業と話しをすると勉強になるし、いろいろと気付きを与えてくれる。知らなかったことを教えてくれる。よしやってみようという勇気をもらえる。そんなお客様の良き相談相手であること、つまり客様の「頭脳」になることへと営業を変えてゆく必要がある。それができなければ、提案の入口さえも見いだせなくなるだろう。

次回「古き良き時代の営業スタイルは通用しなくなる」に続く

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA

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