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「ソリューション営業」の崩壊、だから 3/4

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あなたは、お客様のご要望に応え、丁寧で実直に仕事をこなしている、何が間違っているのだと反論したいかも知れない。そのとおり、何も間違ってはいないし、そのような態度が、お客様との信頼関係を築く土台となることは言うまでもない。しかし、それだけの営業ではもはや役割を果たせない時代になろうとしているのだ。

では、どうすればいいのだろう。4回にわたってこのテーマについて、考えてみようと思う。

  1. お客様の「手足」になるのではなく「頭脳」になれ
  2. 古き良き時代の営業スタイルは通用しなくなる
  3. 進化する営業の新しいカタチ(今回)
  4. 「ソリューション営業」の崩壊、だから

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3.進化する営業の新しいカタチ

「お客様のよき相談相手となって、彼らの不安や迷いを課題として捉え直し、その解決策をデザインする」

「頭脳」としての営業を突き詰めて考えれば、こんな言葉になるだろう。

お客様のよき相談相手となる

「お客様の立場に立つ」

良き相談相手になるためには、まずこれが前提となる。

「自分がお客様の立場なら、どう考え、判断し、行動するかを想像すること」

「お客様の立場に立つ」とは、こんなことだ。そもそも、赤の他人の自分が、相手とまったく同じことができるはずはないし、同じ考えなどできない。経験や知識のバック・グラウンドが違う相手を完全に理解することはできないからだ。相手になりきることなどできるわけがない。ならば、お相手とは別人格の他人である前提に立ち、自分が相手のポジションを任されたとしたら「このように考える、判断する、行動する」を想像することだ。そして、その想像を相手に伝え共有し議論すればいい。

良き相談相手とは、決して相手の話しに相槌を打ち、それに従うことではない。相手が求めているのは、自分とは違う視点や異なる意見だ。それを相手にぶつけ、思考を揺さぶり、相手の気付きを引き出して、何が正解かを一緒になって見つけ出してゆく。そんな相棒として、お客様を助けることが、良き相談相手になるということだ。

不安や迷いを課題として捉え直す

「なんとかしなくてはいけない。このままではまずい。」

お客様は、こんな不安や迷いを抱えている。そして現状を変革したいと考えている。しかし、変革への意志や漠然とした問題意識はあっても、解決すべき課題やニーズが明確であるとは限らない。

経済が成長し、景気の良い時代であれば、既存の業務の改善や改良により生産性を高めコストを削減することで、事業の成果に貢献することもできた。そんな時代であれば、お客様は既存の業務の専門家なので、どこに課題があるのか、それをどうしたいのかといったニーズを明確にすることもできただろう。しかし、成長の勢いがなくなり、経済や社会の不確実性が高まっている時代には、既存の業務のやり方に頼ることがむしろリスクとなる。これを変革し、新たなビジネス・プロセスやビジネス・モデルを実現したいと考えている。しかし、どうすればいいのか、何が正解なのか分からない。また、それ以前に、どのような方向に変革を進めてゆけばいいかのビジョンが描けていないことも多い。

そんな相手に、「課題は何か」や「ニーズを教えて欲しい」と求めても答えようがない。また、このような状況で「他社事例」は、なんの役にもたたない。自分たちはこうしたい、こうなりたいが明らかになっていないのだから、そこに他社の課題解決の事例を示しても、それが自分たちにとって参考になるかどうかさえ分からないからだ。

そんなお客様を、お客様以上に深く考察し、お客様の課題を自分なりの仮説として整理して提示することや、テクノロジーやビジネスのトレンド、他社や業界の動向を織り込んで、お客様に代わって課題を整理することもできなくてはいけない。

お客様がこれまでやって来たことを否定し、タブーに踏み込まなければならないこともあるだろう。それでも、いまの「正しい」を、自信を持って語れなくてはいけない。それが、正解かどうかは分からないが、考え抜かれた整理や解釈は、議論のたたき台となり、考えるきっかけを与えてくれる。それを提言として、お客様にたたきつける自信と信念を持てなくてはならない。

これまでお客様にはなかった新たな気付きを引き出し、なるほどと思わせて、お客様の心の中をザワザワさせなくてはいけない。それに対する意見や反論を重ね、議論を積み上げることで、お客様の「あるべき姿」は何かが見えてくる。

続いて「あるべき姿」を実現するための具体的な課題は何かを洗い出し、その解決策を整理する。さらに、自分たちが全力でこの取り組みを支援する決意を示し、お客様の背中を押してあげることも忘れてはいけない。

「相手の求めに応じるのではなく、相手からの求めを引き出すこと」

結果として、案件が生まれる。

解決策をデザインする

テクノロジーは日々進化し、最適解は変わり続けている。様々な選択肢が登場し、絶対無二の解決策を見出すことは難しい。解決策はプロダクトやサービスなどのシステム・ソリューションばかりではない。業務プロセスを変革する、新しいビジネス・モデルを実現するといったビジネス・ソリューションもある。デジタル・テクノロジーによって常識が置き換わる時代、この新しい常識を前提にビジネスを考えれば、まったく新しい発想が生まれることもある。

どうすることが、お客様の「あるべき姿」を実現するうえで最適なやり方なのか、そのためのデザインを描かなくては、ものごとは前に進まない。デザインとは組合せだ。「あるべき姿」を実現する人や組織、仕事の仕方やテクノロジー、それを実現するための手順や段取りを物語として描くことだ。「あるべき姿」が実現されたときのイメージであり、それを実現するための過程のイメージを具体的に表現することだ。

ひとりの営業で、これら全て行うことが難しいのは言うまでもない。だから営業は知恵ある人たちを集め一緒に行動するプロデューサーの役割を果たさなければならない。そのためには、全体のプロセスを理解しておくこと、そして、日頃から知恵ある人たちとの人脈を築いておくことが大きな助けになる。このようにして、お客様の「あるべき姿」を実現する旗振り役として、最善を尽くす必要がある。

次回「ソリューション営業の崩壊、だから」に続く

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA

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