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チームQOWLの活動記録#3:カルチャーを示し、社員が「当然だよね」と言う環境を保つ

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チームQOWLの活動記録~働きがいを高める4つの状態~
今回は3回目。

前回、経営理念の伝播・共感について触れた。今回は「カルチャー」のお話。
これも5社とも共通していて面白かったのだが、会社のカルチャーをとてもハッキリ持っていた。

連載目次:「チームQOWLの活動記録~働きがいを高める4つの状態~」

#1 働きがいのある会社トップ5社に共通していた「4つの要素」

#2 経営理念が伝播・共感された状態を保つ

#3 カルチャーを示し、社員が「当然だよね」と言う環境を保つ(今ここ)

#4 インターナルコミュニケーションをデザインし、良好な状態を保つ

#5 社員のやりたい!を推奨しサポートする環境を維持する


【例えばケンブリッジだと】
ケンブリッジではこんな風にカルチャーが言語化されている。社内では、「行動規範」や「価値基準」なんて表現もしている。

  • RIGHT:お客さんにとって正しいことをする。自分に嘘をつく仕事はしない。
  • OPEN:遠慮せずストレートトークで、フラットに。お互いに教え合いながら。
  • Have fun!:成長感、疾走感、貢献感を味わいながら楽しくやろうぜ。
  • FAST:さっさとやろうぜ。スピードにはそれだけで価値がある。
  • RESPECT:仲間に敬意を払おう。誰しも尊重すべき個性があり、それを輝かせることが成功につながる。
  • Take Initiative:各々がやりたいこと、やるべきことを構想し、主体的に取りにいこう。

しかもオフィスのあちこちに書かれている。

ctp_img04.jpg



【例えば、freeeだと】
freeeではこんな感じに整理されている。こちらはアイコン付きだ。

無題.png

「アウトプット→思考」なんて特徴的で面白い。頭でっかちに考えるより、さっさとアウトプットしてそれを元に考えよ。ということだ。
この辺はケンブリッジとはちょっと違うカルチャーである。

◆カルチャーは言語化でなく、共通化するから価値がある

何にしても、各社とも大事にしているカルチャーが言語化されていた。自社らしさが言語化されていると言ってもいいかもしれない。
だから自然と、「これってfreeeらしいよね」「これはケンブリッジっぽくないな。もっとTake Initiativeでいこうぜ」なんて会話が自然に出てくるのだ。もちろん各社で大事にしているカルチャーは異なるが、きちんと言語化されているという点では共通していた。

そして、言語化するだけでなく、社員たちが自然と「カルチャー大事だよね」と言ってくれるような環境を作ることにかなりのパワーを割いていた。
経営理念と同じで、キレイに額にいれて飾っても意味がないのだ。

カルチャー重視の会社にいるからよく分かるのだが、カルチャーが共通した人と話していると、無用な対立やストレスが大幅に減る。

例えばケンブリッジでは、

OPENというカルチャーが社員間で共通しているので、「OPENにストレートに話しちゃうけど・・・」なんて会話がしょっちゅう起こる。これがあるから「どこまでストレートに話していいんだろう?」とか、「この人が言っているのは本音か?建前か?」なんて忖度は不要になるのだ。

RESPECTというカルチャーが共通していると、厳しいフィードバックを貰った時でも、「俺のために言ってくれているんだ」という気持ちになれる。反対にフィードバックする側も、相手がそうやって受け止めてくれると思えるから、厳しいフィードバックができる。

カルチャーってそういうものだと思う。社員間で共通認識になるからこそ価値がある。

◆カルチャーの共通化は、多様性を下げるのか?

こう書くと「カルチャーを明確にしていることでそこにハマらない人材を除外することになり、結果的に、画一的な人間しか集まらないのでは?」なんて気にする方もいるのだが、全然そうはならない。ケンブリッジでは基本的な価値観はキッチリ共有しているが、その他はみんな違いすぎるぐらいに違っている。

システムにめちゃくちゃ詳しいテクニカル人材もいれば、システムは最低限で業務にすごく詳しいビジネス人材もいる。

プライベートで会社のメンバーと遊ぶのが好きな人も、プライベートでは絶対に会社の人とは会わないって人もいる。

長くケンブリッジにいようと思っている人も、次のステージに行くための宿り木としてケンブリッジにいる人もいる。

むしろ価値観が共通してるからこそ、その他の違いは気にならないし理解し合えるという感覚である気がする。

「同じことをする人」の集まりではなく「同じ価値観のもと、違うことをする人」の集まりになるのだ。これこそが多様性社会の目指すところではないだろうか。

◆QOWL各社の取り組み

さて、各社の実際の取組みを見てみよう。

カルチャーが浸透・共感された状態を作るために各社がやっていることは、大きく2つに分かれるようだった。
①採用時にカルチャー共感度の高い人を採ること。
②採用後に自分たちのカルチャーを考える機会を作ること。
の2点だ。それぞれで、各社がどんな取り組みをしているのか、ざっと挙げてみたい。

【① カルチャー共感度の高い人を採る】
各社の取り組みはこんな感じ。
・最終面接は100%社長が自らやる(コンカー・ケンブリッジ)
・現場社員による、カジュアルな長時間面談(コンカー・ケンブリッジ)
・採用エージェントへの企業文化/価値観の説明(コンカー・ケンブリッジ)
・スキルがあっても、「カルチャーフィットしないなら採用しない」というポリシー(gCストーリー・ケンブリッジ・コンカー)
・社風/文化を徹底的に体感してもらう「2泊3日高野山インターン」での採用プロセス(gCストーリー)

共感度の高い人材を見極めるために、各社がやっているのは「接点を極力多く持つ」ということのようだ。gCストーリーの2泊3日なんて凄まじい手間と時間が掛かっている。会社側も候補者側も。
一見不合理に見えるプロセスだが、これがとても重要なのだと思う。各社と話していても「これくらいやらないと、見極められない」とか「採った後でカルチャーが合わないほうが大変」という声が出てくる。

【② 採用後に自分たちのカルチャーを考える機会を作る】
こちらも各社様々な取り組みをしている。
・「チーフカルチャーオフィサー」の任命による、全社を挙げてのカルチャー推進(コンカー)
・「Bestカルチャー賞」の表彰(ケンブリッジ)
・月1の全員会議でカルチャーを考えるコーナーを設けて議論する「カルチャーコーナー」の実施(ケンブリッジ)
・全員でカルチャーを見直す&イラストを付ける(freee)
・年間MVP受賞者の本気フィギュア作成(freee)

こんな風に各社それぞれの施策で、カルチャーを浸透させようとしている。

各社の話を聞いていて面白かったのは、freeeのお話。
freeeは「真面目にふざける(アソビゴロ)」というカルチャーを大事にしていて、あちこちで真面目にふざけていた。例えば、その年のMVPに、その人そっくりのフィギュアを作ってプレゼントするらしい。確かに真面目にふざけている。それを見た年次の浅い社員たちは、「これが真面目にふざけるってことか、いいなー」と思うに違いない。共感された状態を作るってことなんだと思う。

【freeeのMVPフィギュア!精巧過ぎる】

IMG_0515.jpg

◆カルチャーを軽視した、ケンブリッジの失敗

ちなみにケンブリッジでは、日本法人が立ち上がって間もない頃、カルチャーを全く重視せずに人を採った時期があった。その結果は最悪だった。組織は分裂し、派閥ができ、解体寸前まで追い込まれた。

その時の強烈な反省があり、カルチャーを重視した採用を続けている。社員たちの価値観がズレると、やっぱり上手くいかないからだ。
ケンブリッジはこうした強烈な失敗体験があるから、いくらスキルが高くても、カルチャーがフィットしないなら採らない。目標の採用数に全然到達しなくても、絶対にカルチャーで妥協はしない。

正直、人の能力は伸びるし変わるが、価値観はそう簡単に変わらない。だから、採用でカルチャーを大事にするのはとても重要なのだ。
他の4社はケンブリッジのような大失敗の体験はないのだろうけど、結果的にやっていることが共通しているのは本当におもしろい。
だからこそ、「カルチャーを示し、社員が当然だよねと言う環境を保つ」というのは、働きがいを高めるための本質なのだろうと思う。

◆あなたの会社はどうだろう?

さて、あなたの会社ではどうだろう?どんな状態で、何が不足しているだろうか?
自社の状況を客観的に見つめるために、自問自答リストを作ってみた。考えるきっかけになれば幸いだ。

Q 大事にすべきカルチャーは明確になっていますか?
Q そのカルチャーは単なるスローガンになっていませんか?
Q カルチャーフィットを重視して採用していますか?
Q 社員がカルチャーを意識する機会はありますか?
Q カルチャーを「いいよね!」と社員が思える機会がありますか?



次回は、4回目です。#4 インターナルコミュニケーションをデザインし、良好な状態を保つ




ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズに所属するコンサルタント榊巻(さかまき)がお送りするブロク。
Havefun!(楽しもうぜ!)を合言葉に日々仕事をしています。ケンブリッジはお仕事の依頼も、一緒に働く仲間も絶賛募集中。

ケンブリッジのホームページにも記事が沢山載ってます。書籍も好評です。

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