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オンライン化が進む中、経営者や管理職が言えない本音

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7月の月間アクセスランキング1位「この研修ご辞退申し上げます」を読み、ところどころ笑いながらも、深く考えさせられました。というのは、筆者の斎藤氏とは、ITトレンドを学ぶセミナーに参加させていただいたり、弊社のお仕事に力を貸していただいたことがある関係で、「顧客に最大のバリューを提供する」というお仕事ぶりを存知あげており、ここまで厳しく書かれるということは、今起きている問題の根深さに、相当な危機感を抱かれているのではないかと想像したからです。

「この研修ご辞退申し上げます」での問題提起
記事は是非ご一読をおすすめしますが、私が感じたところをまとめると、Skypeでのオンライン研修の依頼を受けた氏が、Skypeは研修を提供するツールとしては適していないので、他のオンラインツールでの開催を提案。すると顧客担当者より、セキュリティ上の問題などから導入できないとの返答。しかし、その問題の本質は、セキュリティではなく、目的を見据えて何が最善であるかの対応策の検討には至らない思考停止が起きていること。そして、その思考停止は、経営トップが無意識に形成している企業文化であり、そうした企業文化の抜本的な変革こそが、経営者が気づき、取り組むべき喫緊の課題である、ということ理論的背景をもとに提言されていると受けとめています。

実は、この問題に通じる課題感を私も感じたことがありました。それは、緊急事態宣言解除後の出社時に起きた出来事です。

垣間見える経営者のスタンス
緊急事態宣言は急にスタートしたため、多くの組織ではその体制が整わない中、テレワークの社員は慣れない中での対応を、出社が必要な社員は感染のリスクを背負いながらの対応を、それぞれの立場でできる限り取り組んだと思います。

それは経営者にとっても同じで、これまでにない意思決定が必要となり、従業員が想像し得ない心理的負担は計り知れないものがあったと想像します。

そして、緊急事態宣言が解除された直後の出社タイミングに、私のお付き合いのある組織で、次のような出来事がありました。

ある経営者は、一同に集まる社員を前に、次のような話をしたそうです。

「久しぶりに皆の元気そうな顔を見られて嬉しく思う。そして、未曾有の危機的状況の中でも、何とか業務をつないでくれたことに感謝する。まだ今後のことは不透明であるものの、ここまで課題であったことを共有し対応策を講じて、次につなげていきたい。引き続き、皆で力を合わせていきましょう」

またある経営者は、次のような話をしたそうです。
「おはよう。4月以降の遅れている仕事をどうするか。これが今我々がとるべき喫緊の課題である。この遅れを取り戻せるよう頑張ってほしい」

二つの話の違いは、ここではそれぞれの思いにお任せするとして、後者の経営者が属する組織では後日談があります。

テレワーク導入に難色を示すその理由
ある社員が、「今後も感染症の影響は続くと思うので、テレワークの体制を整えたいのですが・・・」
すると経営者は、「そんなことをしたらサボる奴が増えるだろう。テレワーク体制は基本的にはしない方針だ」
と、返されたそうです。

このことをお話くださった方は「心が折れた」と話していました。
というのは、確かにサボっている人はいて、そのような人のことは皆が認識しています。しかしそれは全体の2割弱の話。8割以上の社員が最大限に取り組んでおり、テレワークの体制をとるのは、その8割以上の社員のためである、ということがわかってもらえないこと。それに心底がっかりした、と話していました。

この話をお聞きしたとき、私も暗澹たる心持になりました。

オンライン化への抵抗に潜む心理
その後、同様の話を多方面から伺いました。そうするうちに、ふと気づいたことがありました。それは経営者が抱える心理です。

その心理には様々なものがありますが、意外と見落としがちなのが、オンライン研修ツールにテレワーク、それらにはITの知識がなかったり、苦手意識を持つ方の存在が一定数いることです。

実際に私はITが苦手です。Zoomも、お客様や研究会の仲間から3月頃に「やってみよう」と声がかからなかったら、乗り遅れていたと思います。

では、3月頃の状態を今振り返ってみると、
・アクセスの仕方
・チャットの使い方
・画面設定(スピーカーorギャラリーなど)の仕方
で、いちいちドギマギし、「チャットの記録がダウンロードできる」と教わっても、どこを見てよいのかもおぼつかず画面を凝視していたら、周りから「原田さん、ひょっとして困ってる?」なんて、声をかけられていました。

つまりは、最初は本当に「わからない」から「(できるだけ)やりたくない」、「恥をかきたくない」のです。

まして、意思決定に関わる経営者や管理職であれば、そのように困った姿を見られることは避けたいことでしょう。

ということを考えながら、ふと思い出したのが、Windows95が導入された時期のことでした。

当時パソコンは、部や課に1台という時代で、ほとんどの人が扱うことが出来ませんでした。当時の経営者や管理職は、部下にやらせていました。(必然性がある経営者や管理職は、プライベートレッスンを受けていたっけ...)
では、部下はどうやって学んだかというと、操作方法を学ぶ機会がありました。つまり最初は皆「誰かに教えてもらっていた」わけです。

できるようになれば、考え方も変わる可能性
しかし今は、大半の経営者や管理職がIT機器を自ら活用する時代。だからこそ「教わることがしにくくなっている」のではないでしょうか。もう少し言うと「わからないから教えて、とは言いにくくなっている」かもしれません。

以上のことが、考慮すべきことの一つであれば、まずは打つべき手が見えます。「機会をつくる」ことからスタートしてみるという手です。

例えば、社内の誰かが講師になって、「体験会」をしてみてもいいかもしれません。
また私がお勧めするのは、今は、ツールの解説をしている動画もたくさん出回っていますし、体験的に参加できるオンラインセミナーも豊富です。

動画やオンラインセミナーを活用し「体験する」と、これまでと違ったモノの見方ができるようになる可能性が出てきます。
できるようになる、自身にとってプラスの体験が出来れば、考え方が変わることも大いにあり得ます。

そうした、機会をつくっていくことも、経営者や管理職のモノの見方を変えていくうえで有効な気がするのです。

ちなみに弊社でも、経営者や管理職、人の育成に携わる方にご参加いただけるオンラインセミナー(参加費無料)もあります。こちらは丁寧にガイドしますので、安心してご活用いただけます。ご参加ください。

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