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夏の終わりに「やり残した宿題」と「達成しない目標」

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今日は8月30日。私が学生時代は、今日を入れればあと2日夏休みが残っていました。今年で言えば、ラッキーなことにプラス1日。そんな時期にしなければならないことは、残っている宿題を授業が始まるまでに片付けることです。しかし私は、その数日の過ごし方を間違ってしまったばかりに、後々大変なことになりました。

そこで今回は、「やり残した宿題」が私の社会人生活に及ぼした負の影響について考えてみます。

出ていた宿題がわからなくなっている、夏の終わり
夏休みも終わる頃、居間でテレビを見ていると、決まって家族は「宿題は終わったの?」と私に聞いてきました。私は「まぁね」と軽く答え自室へ。自室へ戻りすることは、とりあえず机に向かい「宿題やらなきゃなー」と考えること。そして、好きな音楽をかけ「宿題をやらなきゃなー」と考え続けたまま、結果的には机に向かったまま寝入ってしまうのでした。

そのような時と言うのは、既に「何の宿題が出ていたか」すらわからなくなっている状態。「何の宿題が出ていたか」を知ろうとすれば、残っている宿題のあまりの多さに愕然とすることがわかっているので、もう見たくも、触りたくもないのでした。それよりも、やらずにいて「先生から叱られる方が楽」と考えるほどのレベル。今覚えば、明らかな現実逃避。自分で着手するのは無理な状態でした。そのような私の性格を家族はよく理解しているので、ある時期になると、家族が介入してきました。それにより私は、半分キレながら、半分泣きながらやっつけで宿題にとりかかるのでした。

しかし、家族が介入したところで、完璧に出来上がるわけではありません。結果的に、先生にプラスαの宿題を課されたり、マンツーマンでがっつり指導を受ける羽目になるなど、いいことなんてありません。

それでも毎年繰り返す、夏休みの宿題の「放置グセ」と「やり残し」。しかし、この「放置グセ」と「やり残し」は、社会人になった私に、負の影響を及ぼすのでした。

営業1年生の「宿題」=「目標」
生命保険会社に入社し、営業を始めた頃の私は、次のような報酬システムで仕事をしていました。2年間が保証給(一般的な新入社員の標準報酬レベル)と業績給(加算給)。3年目からは、営業のプロとして歩合給に移行するか、管理職になって固定給のどちらかを選ぶものでした。
しかし、私が入社してからしばらくすると、会社の報酬システムが見直され、保証されていた2年間の報酬も、契約が取れないと減額される。ある一定以上の業績を継続して上げていないと、業績給が反映されないというシステムに変わっていきました。

そのような報酬システムの変化の中、次のような研修がありました。それは「目標設定研修」です。自分の理想の状態を描き、そのために必要な、年間の営業目標を立て、それを月ごとの目標値に落とし込んでいくという内容でした。

といっても、そのような研修をする前に、会社からは「月間の営業目標モデル」が示されていて、それに則っていれば、ある程度理想に近い状態が実現できる指標はありました。そのため、モデルをベースにちょっと肉付けした(欲張った)目標を描きました。それを描いた時は、まるですぐに理想が叶ったような気持ちになり、本当にモチベーションが上がりました。

しかし、私はその時に気づくべきだったのです。「宿題の放置グセ」に。

「宿題の放置」は「やり残し」へと進む
以前、本当は怖い「夏休みの宿題の放置グセ」という記事で、私は、夏休みが始まってすぐに計画を立て、意気揚々と取り組むものの、ちょっと難しい問題があると考えるのが面倒くさくなり、そこから宿題そのものを放置するクセがあったことをご紹介しました。

宿題と同じようなことが、形や姿を変えて私の前に現れたのです。
営業活動をしていると、自分のイメージ通りに仕事が進むこともあれば、全く成果が上がらないこと、トラブルが起こるといった波があります。

その波を極力小さくするためには、自分の仕事を細かく分け、日常的に取り組むことに落とし込み、日々コツコツ積み上げていくことが有効です。

当時の私は、波を小さくする方法なんて知りませんし、夏休みの宿題を放置したり、やり残すクセがついていたため、思い通りにいかないと、途端にモチベーションが下がり、嫌なことそのものを避けていました。

仕事でモチベーションが下がれば、どうなるか。「夏休みの宿題をやらなきゃなー」と思いながら寝ているのと同じことが起こります。具体的には、「お客様の所に行かなきゃなー」とは思いながらも、喫茶店で時間を潰したり、時には同期とカラオケに行ったりすることもありました。

そしてその逃避行動は、「売り上げが上がらない」という結果をもたらします。そうなれば、自分の理想が実現できないどころか、報酬も減額される状況。ますますやる気は失せます。

行き着くところは、「会社の仕組みの批判」、「現実逃避行動のエスカレート」、「自信喪失」です。何もいいことなんてありません。まさか、「放置グセ」や「やり残し」が、仕事のこんな場面に影響を与えるとは思ってもみませんでした。

「やり残した宿題」にどう向き合えば良かったか
それでは今、もし学生時代に戻ったとして、今日まで手をつけてこなかった宿題が山と積まれていたらどうするか。
まずは提出日を確認し、優先順位をつけることでしょう。そして、優先順位の中で、次のことを選択します。
・「できること」に集中し、できるだけ「量」をこなすか
・「できないこと」に集中し、「今までできなかったことが、できるようになること」を優先するか。
それを決めた上で、後は時間が許す限り、できるところまで取り組みます。

そして学期が始まったら、先生に素直に伝え、提出期限を延ばしてもらうか、それがかなわなければ、成績に反映されることを覚悟する。その時に、放置したのも、やり残したのも、そのやり残しに対してどのようにアプローチしたかを決めたのも、自分の意思であったことを心に留め、同じことを繰り返さないようにするための対応策をしっかり考えます。


「やり残した宿題」と「達成しない目標」
学生時代は、学生時代のことだけを考えて宿題を放置したり、やり残したりしていましたが、社会人になり気づかされたのは、目標を放置したり、達成しないままにしておくと、成績表の代わりに評価があり、その評価と言うのは、学生時代よりも長い期間ついてまわるものだということでした。また、その評価は自分の収入にも少なからず影響を与えるものでもあったのです。

このことからも、学生時代に、決着をつけておくべきだったと。
心からそう思うのでした。
私の、学生時代の情けないお話が、何かのお役に立てば嬉しく思います。

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