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なぜ40代上司は、意味のない書類を提出させるのか?

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営業部門の30代層の研修を担当すると、必ず出てくるキーワード。それは「意味のない書類作成に時間をとられて、営業に行けない」というもの。彼らの言う意味のないとは、「使わない書類」や「見てるかどうかわからない書類」だったりするようです。
社外に向けては仕方がないことがあるにしても、社内向けの資料はできる限り最小限に減らしたいもの。
そこで今回は、上司が意味のない書類を提出させる背景や、そのような書類を作らなくて済む対応策を考えてみます。

40代上司世代の20代を知る~手書き→ワープロ→PC~
私は今年でちょうど40代半ば。45歳になります。私を含めた前後の層は、私が育った環境と似たような経験をしているので、その経験をご紹介することで、40代上司世代というのがどういう特性をもった人達なのか、つかんでいただければと思います。

1991年入社の我々世代が会社に入社した頃、書類作成は、手書きまたはワープロでした。そのため、1枚の書類を作成するにも手間暇がかかっていました。
例えば、今では考えられないことですが、絵を入れたいときは、シール使ったり、絵をコピーしそれを切り取って貼り付け、更にそれをコピーして1枚の書類にしていました。

また、データ入力と出力、情報検索などの作業は、私の場合は50人の営業部隊に、4台ほど設置されたコンピューターに、一人10分単位で区切った時間割を作り、お互いに時間を譲りながら進めていました。

このような手間暇がかかるので、90年前半頃までは、書類は必要最低限。情報のやり取りは、対面でのコミュニケーションを通じてなされていました。

そこから約5年。Windowsが台頭し、インターネット環境が少しずつ整い、多くの企業が導入するようになった1996年以降、書類作成環境は変わっていきます。書類作成は、ワープロからPCに移行し、見栄えの良い書類が短時間で楽に作成できるようになりました。

そして、2000年を迎える頃には、PCは一人1台。インターネットも低価格で利用できるようになり、この頃には、情報のやり取りはデータや書類を通じて進む割合が多くなっていました。

刷り込まれた価値観
手書き→ワープロ→PCへと移行する中で、私達に刷り込まれた価値観がありました。
それは「データ至上主義」的発想です。私の場合は、PCの普及と共に伝播されるメッセージから、次のようなイメージを受け取っていました。
「データを集めた者が勝者だ」、「データから仮説を立てた者が市場を支配できる」。
また、2000年前後に活躍したビジネスコンサルタントのような人達が、データから時代の流れを読み解いていたのを見て、何となく、「かっこいい」と思っていたところもあります。その人達の言っていたことが何だったかはさっぱり覚えていませんが、データを見て、シャープな分析をしているらしい雰囲気に憧れていたのかもしれません。
そのような時代を過ごす中で、無意識に「データ(情報)はたくさん持っていたい」と感じる自分がいるように思います。そして今では「データ(情報)を持っていると安心」という心理があることも否めません。
このような価値観は個人差があると思いますが、同世代の管理職や身のまわりに居る人を見ると、似たような価値観を持っている人の割合は多そうです。

失われた価値観
手書き→ワープロ→PCへと移行する中で、私達から失われた価値観もありました。それは、対面で情報収集することです。
ワープロまでの時代は、ちょっとしたことでも、本人に伝えに行ったり、聞きに行ったりしていました。その過程では、ちょっと苦手な人がいても、会わなければ話が進みません。そのため、どうしたら相手から必要な情報が得られるか、或いは、こちらの意向が伝わるか、考えながら人と接していました。
しかし、メールを活用し、情報が一対多で一斉に配信されるようになると、一人ひとりと接していた時とは違う仕事の進め方に変わります。
その結果、一人ひとりへの情報の伝え方や、情報の引き出し方といった、対面での情報収集技術を磨く場が減りました。

意味のない書類を提出させるワケ
ご紹介したような時代の経緯から、私達40代が意味のない書類を提出させるワケとして、次の2つのことが言えそうです。
1)大量の書類(文書、情報、データ)を持っていると安心
2)対面で情報収集すれば済むことも、書類(文書、情報、データ)で得る習慣
この2つは、あくまで仮説です。なので、このように考えると「対応策が考えやすくなる」と、思ってうけとめていただけるとありがたいです。

意味のない書類作成を極力減らすには?
私は、このようなことへの対応策として、2つできることがあると考えます。
1.1日2~3分、こちらから話しかける
日常的な話し、今の自分の仕事の状況(いいことも、つまづいていることも)をそれとなく話す、上司の話を聞く、何でも構いませんが、1日数分、こちらから話しかける。それを続けることで、自分の状況がだんだんわかってもらえるようになります。そうなれば、書類提出を求められても、ポイントのみまとめれば、伝わるようになります。
また、会議などで上司がその上の上司に報告しなければならない場面でも、ポイントを絞った書類を元に上司が補足説明できます。

2.書類は「A4-1枚にまとめる」と決めておく
ここで大事なことは、「A4-1枚にまとめる」と自分自身のスタンスを決めておくことです。A4-1枚にまとめるためには、上司が必要とする情報の目的やその精度の把握が必要です。そして、「その目的や精度に適った書類をA4-1枚にまとめるためにはどうするか?」と考え工夫します。考え工夫する意識を持って取り組むことで、思考力が高まります。最初は時間がかかるかもしれませんが、2~3ヶ月も続けると、無駄のない書類作成ができるようになります。
そうなれば、上司にとっても自分にとってもメリットのある情報が共有でき、仕事も進みやすくなることでしょう。

まとめ
ご紹介したことが、全ての人の状況に適っているとはいえません。しかし、今までと違った着眼点や、新しい取り組みをするきっかけになればと思います。よかったら、試してみてください。

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Comment(2)

コメント

ardbeg32

違う角度で言えば、自分が作らされている書類が「何の為」かを理解できてないから負担に思えるのであって、普段から上司のニーズを掴んでたらそれほど意味のない書類は作らなくて済むんじゃないの?と40台上司はそう思うのです。まあ部下の立場の読者の方には何の意味もないコメントですがw

ardbeg32様
お久しぶりです。原田です。コメントありがとうございます。
おっしゃる通りですね(笑)
ただ、「意味のない書類」と思い込んでしまうと、そこに囚われて、考えが及ばなくなるようです。
&上司のニーズをつかむという発想がない人も、意外と多いようです。
(上司が言ってくれない!!ぷんッ・・・みたいな)
今はこんなことを言ってますが、10年ちょっと前の私は、そうだったかもな・・・とも思います。

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