"寄り添う"気持ち
東北、関東地方一帯では、震災後の余震、放射能、これからの生活など、不安材料が山積しています。また、東北・関東地方以外の地域でも、地震が起こるのではないかという不安をお持ちの方も増えているようですね。今日は、そうした不安を感じていらっしゃる方と接する際に役立ちそうな、ガイドについてお伝えします。
両親から漏れた不安の声
震災直後はちょくちょく電話を入れ、様子をうかがっていたのですが、地震も落ち着き、仕事も忙しくなっていたので2週間ほど電話をしないでいました。そして昨日、久しぶりに"どうしているかな~"と思って連絡をしてみると、「お~、久しぶり。連絡がなかったから、何かあったのかと思って心配していたんだ」との言葉。
日頃は、「便りのないのは、良い便り。とにかく仕事をがんばりなさい」といって下さる義父から"心配"の言葉が出たので、大変驚くと同時に、"申し訳ないことをした!"と、反省の気持ちが生まれました。
実は、電話をしようと思ったきっかけは、次のようなことからでした。
介護ボランティア支援ガイド『かいごのて』
研修業界では、福祉施設などの職員の方を対象とした研修を提供することがあります。先日、福祉施設への人材派遣や教育事業をされている株式会社ニッソーネット(本社 大阪)様という会社の代表の方と、情報交換をする機会がありました。
その際に、「今回の被災地は、高齢者が多い地域で、介護知識が必要らしいんですよ。しかし、現地のスタッフが足りていないのと、ボランティアの方も、介護の必要な方に対してどのように接していいのかわからず、困っていると言う情報があったんですよね。そこで、弊社では、介護専門職の有志の方に、ボランティアにあたる上で必要な知識をコンパクトにまとめた、ガイドを作ってはと提案したところ、"是非やりましょう"という話になり、このようなガイドを作ったんですよ」
というお話をいただきました。ガイドを手に取り、内容を拝見すると、誰でもすぐに出来ることがコンパクトにまとめられていて、これがあれば、初めてボランティアをする方でも、安心できる内容だと思いました。
その内容の中に、「傾聴・寄り添い」という項目がありました。そこには次のような内容が書かれていました。
〔寄り添い〕
被災地における高齢者の方で、先の見えない不安を感じている方は少なくありません。その中で、話を聞き相づちをうってくれる人がいるだけで安心感や希望に繋がり、寄り添いから高齢者、ボランティア間の信頼関係を築くことができるのです。信頼感が大きくなると、ボランティアの方がそばにいるだけでも、その方の活きる活力に繋がります。
寄り添いは心や身体全体に良い影響を与えます。それと同時に寄り添っているボランティアの方にも、高齢者の方から与えられるものがあります。それは「感謝」です。感謝の言葉から得られるものは多いでしょう。
人はみんなで助け合っています。ですので、寄り添いを通して高齢者の方に少しでも多くの安心感を提供して頂けたらと思います。
ボランティアで高齢者の方と向き合う際の寄り添いポイント
「身体に寄り添う・心に寄り添う・寄り添いは助け合い」
(引用了 記事:林 聖子氏(介護福祉士/ニッソーネット講師)
今できる、"寄り添い"とは?
この文章を読んだ後、しばらくしてから、"あれ?私、今一番身近な人に寄り添っていなかったかも?"と思い、まずは、物理的な距離で寄り添えないので、電話だけでも・・・と考えて、電話をしたのでした。
そうしたところ、家族から心配の声が漏れてきたのです。しばらく話を続けると、普段はネガティブなことを決して言わない義父が、「何だか1日中揺れていて、嫌な毎日」という言葉を漏らしたのです。80近くになる両親二人の生活で、楽しみにしている新聞、テレビ、ラジオからも楽しい話題は減り、ご近所に住む方も、将来や健康への不安を口にされるのでしょう。気持ちが凹みがちな様子がうかがえました。
この様子から、介護の専門家の方が伝える"寄り添い"の大切さが、少し理解できたような気がしました。
電話、FAX、手紙・・・寄り添う方法はいろいろ
被災地に赴き、支援を手伝われているボランティアの方をテレビや新聞などで見ると、本当に頭が下がる思いです。行こうと思えば行けるのに、行動に移せていない自分を情けなく思ったりすることもあります。しかし、現地に行くことができなくても、身近にいる人(ご近所の方も含めて)に対して寄り添う気持ちを示すことや、被災地に手紙を送ることなど、出来ることはあるような気がします。
まずは、こまめに自分の身内に連絡をしてみることや、年齢に関わらず、一人暮らしをされていて不安を感じていらっしゃる方に接するだけでもいいのかもしれません。よかったらやってみてくださいね。
(参考情報)
介護ボランティア支援ガイド 『かいごのて』
http://www.nissonet.co.jp/club/volunteer/
(目次:1.ボランティアの受け入れ先 2.ボランティアの心得 3.高齢者の方とのコミュニケーション 4.認知症の方の対応 5.傾聴・寄り添い 6.被災地の高齢者の方の健康管理 7.自身のメンタルヘルス)
※知識を得ておくだけでも、役立ちますよ!