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新入社員育成・・・その前に

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"理想の組織づくり"を目標に、配属後の新入社員育成を考える上で最初に確認が必要なのは、中長期経営計画です。上場企業であれば、ホームページ上で閲覧可能なことが多いので、簡単に確認することができるでしょう。ホームページ上で閲覧できないようであれば、上司に確認する、こんなところから育成準備はスタートします。

中長期経営計画を元に、将来必要な知識・技術・能力・経験をイメージしてみる

中長期経営計画は、会社が目指す未来像です。例えば、今までは国内を市場としていた企業が、海外市場の開拓に取り組んでいくなど、将来何をしようとしているのかといった取り組みの方向性を示しています。まずは、その全体的な方向性を掴みます。私たちの立場であれば、5~10年先はざっくりと、3年後ぐらいのイメージを具体的に掴んでおくといいでしょう。

その時に、"自分としてはどういう組織になっていると理想的か"といったことも、イメージできそうであればしてみてください。おぼろげながらでもイメージができたら、それでOKです。その段階で、次の工程に移ります。

経営者にインタビューをしてみる

会社の業績に責任を持つ経営者は、中長期経営計画をどのような背景から考え、組み立てたのでしょうか?普段なかなか聞くことはないかもしれませんが、新入社員育成を機会に次のようなことを経営者にインタビューしてみましょう。

1)中長期経営計画を立案した背景

2)中長期経営計画を達成できた時の、わが社(或いは事業部)の理想の姿は?

3)その計画を達成する上で、自分の年代の人材に期待すること(注:ここでのポイントは、自分の年代に対する期待を聞くことです。新入社員に期待することは聞きません)

経営者へのインタビューが難しければ、事業部長、それも難しければ、直属上司にインタビューしてみましょう。インタビュー後、自分が期待する以上の話を聞くことができたら、超ラッキー。反対に、期待外れのインタビュー結果になってもがっかりすることはありません。それが普通です。気にする必要はありません。それよりも、"話を聞きに行く自分の行動"が大事です。自分よりも上位の人の考えを、しっかり尊重するその姿勢を示すこと。それが最も大事なポイントです。

インタビュー結果を元に、仮説を立てる

中長期経営計画と、上位職へのインタビューが出来たら、それを元に将来的な仕事に取り組む上で、自分に必要な、知識・技術・能力・経験がどのようなものかを、大まかで構わないのでイメージしてみます。その時に、"できる体制か?"、"できる能力がない"といったことは一切考えません。"3年後に会社と自分が所属する組織が、目指す姿に到達するには何が必要か"を既成概念にとらわれずにイメージします。

そして、自分が将来取り組むであろう仕事(或いは取り組みたい仕事)、それとともに必要となる、知識・技術・能力・経験について書き出してみます。書きだしてみると、イメージは出来ても、言葉になりにくいこともあるでしょう。その時は、粘り強く考えてみて、それでも出てこなければ少し休みます。そのうち、勝手にアイデアがまとまってくるので、まとまってきたら、書きとめるーを繰り返せば、徐々にカタチになります。

カタチが見えてきたら、次のようにまとめます。

 1:中長期経営計画の概要

 2:3年後、組織が目指す姿

 3:自分が取り組むであろう仕事(或いは取り組みたい仕事)

 4:3年後に自分に必要となる知識・技術・能力・経験

まとめたものは、イコール"仮説"となります。"正解"でも、"こうでなければならない"といったあるべき姿ではなく、あくまで"仮説"です。その仮説が出来た段階で、上司に見てもらいます。そして、意見をもらいましょう。きっと、"お前ならもっとこのぐらい出来る"だったり、"この辺の能力も必要だぞ"といった、アドバイスをもらえることでしょう。ここで考えた、自分の将来像と、上司からのアドバイスは、次の段階で新入社員の育成計画を作る際に役立てます。

最初に必要なのは、育成にあたる人が、新入社員に取って欲しい行動を、自ら実践していること

 『新入社員育成』というと、"上から下へ何でも教える"といったイメージを持つかもしれません。しかし、誰もがプレーヤー化している今、丁寧に指導している時間が取れない現状があります。また、IT化が進む中で、一人一人が取り組んでいる仕事が見えにくくなり、先輩の仕事を盗みにくくなっていたり、新入社員が困っていることや、つまずいていることが、わかりにくくなっています。

そこで新入社員に必要になるのが、仕事を教えてもらうための、次の2つの能力です。1つは、自分からコミュニケーションを取る行動力。もう1つは、ただ"できない"、"わからない"というのではなく、教えてもらうったことをメモで確認したり、「ここまでやった(或いは考えた)けれども、わからないので教えて下さい」という主体性です。 

行動力と主体性を発揮してもらうには、先輩が日頃から取っている行動を手本にしてもらうのが近道です。

配属後の新入社員は、先輩社員が取っている行動を観察し、それが良さそうな方法かどうかを判断しています。良さそうな方法だと判断すれば、自然に新入社員からもアクションを起こします。仮に、観察力が劣る新入社員であれば、先輩側が"こういう風にするといいんだよ"と自分がやっていることを伝えれば、素直に受けとめ実践します。

配属までに、まだまだ時間はたっぷりあるので、育成する側が、まずは「行動力」と「主体性」を常に発揮できるよう、日頃から意識することから育成はスタートです。 

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