研修営業 初めて物語4~際立たせるものを明確にする
リーディングカンパニーが、何を考え、どのように取り組んでいるのか、先進事例を収集するうちに、強い組織の特徴が浮かび上がってきました。強い組織が取り組んでいること、それは、優れた個人が取り組んでいることとも共通しています。今回はそれをご紹介します。
(本内容は、私が1995年に人材育成に携わるようになってから学んだことを振り返りながら、人材育成に携わる方やご自身のキャリア開発に活かそうとする方に向けて、人材育成の企画および計画やプログラム開発のヒントをご紹介しています。前のブログとも合わせてご覧いただくことで、より理解を深めていただけます)
手当たり次第に情報収集
日々の営業活動のかたわら、雑誌、書籍、消費者向けの商材を取り扱っている会社であれば現場観察など、リーディングカンパニーだけでなく、その時に話題になっている経営者や企業の情報を、時間が許す限り収集しました。
そして、自分の中にある程度の情報が蓄積されてきた段階で、リーディングカンパニーと言われる会社に共通する因子のようなものを感じるようになります。その因子は数多く存在しますが、今日は次の3つをご紹介します。
リーディングカンパニーから感じた3つの共通因子
1.顧客が自社に求めていることを良く理解している
2.顧客が自社に求めている以上の何かを提供しようとしている
3.顧客が自社に求めていることについて、その価値を高める努力をしている
ドメインとコンセプトが明確
私が見つけ出した3つの共通因子を経営戦略的な概念に落とし込むと、"「ドメイン」と「コンセプト」がはっきりしている"ということでした。「ドメイン」と「コンセプト」を分かりやすくご紹介すると、次のような定義になります。
ドメイン=事業の定義・・・「どの顧客層を相手に」「どんなニーズに向けて」
「どういう技術に基づく商品やサービスを提供するのか」
コンセプト=経営目標を達成するための「基本となる考え方」
・・・何を、どうすれば成果につながるのか
(参考:よくわかる経営戦略 日本実業出版社刊 西村 克己 著)
経営戦略と人材育成
経営戦略でいう「ドメイン」と「コンセプト」の2点が明確になっているだけでは、絵に描いた餅にすぎません。それを具体的な思考や行動に落とし込んでいくのが、人材育成です。今では多くの企業が取り入れていますが、1995年当時、「人材育成ビジョン」、「人材育成方針」、「人材育成計画」、「達成レベル(基準)」、「重点施策」を設定している企業はそう多くありませんでした。
私が当時受けた印象は、経営理念⇒戦略⇒人材育成が繋がり、目的を達成するためには、人材育成が不可欠に感じられるほど、見事な連携、"芸術的"といえるほどでした。
このことから最も強く感じたことは、「ドメイン」と「コンセプト」を明確にするこの大事さです。言葉を変えれば、"何を際立たせるか"を明確にしない限り、人材育成の方向性が決めにくいということを学んだのです。
一目おかれる人になる
この考え方は、個人のキャリア戦略を構築する上でも共通します。組織(および業界)の方向性を見据えた上で、自分の能力を、「誰に対して」「どのように役立てていくのか」、そのために「何を際立たせるのか」を明確にするのです。その上で、自分のキャリア開発計画を立てれば、組織やそのビジネス環境で必要とされる能力と、自分の努力の方向性が一致し、その分野で必要とされる=一目おかれる人になるでしょう。
しかし、リーディングカンパニーの取り組みは、本当に奥深い。次回は、リーディングカンパニーがリーディングカンパニーである所以をご紹介します。