理想の社風を作るには?
昨日の記事では、就職活動中の学生さんが"社風"を重視することに触れました。
さて、それでは既存社員は、自社の社風をどのように捉えているのか。今日は、そんな調査結果を元に考えていきたいと思います。
ビジネスパーソンに聞く、理想の社風とは?
コクヨファニチャーが、入社3年以内の若手社員250人と課長以上(事業部長まで)の管理職250人を対象に、インターネットで行った調査(2010年7月23日~25日実施、8月4日発表)によると、次のような結果が出ています。
・社内風土へ悪影響を与えるものは?※上位3位を抜粋
1.年功序列の意識が強い(50.4%)
2.若手の発言権がない(48.6%)
3.役職呼称をする(22.2%)
・理想とする社内風土は?※上位3位を抜粋
1.上司と部下とのコミュニケーション機会の設置(48%)
2.年功序列ではない評価体制(44.6%)
3.ワークスペースの充実(35.2%)、コミュニケーションスペースの充実(35.2%)
調査対象が、若手社員が入社3年以内であること、オフィス家具の会社なので、設問項目に少し偏りがあることが、調査のバランスとしてどうかという問題を少し感じつつも、この結果から言えることは、「頑張っているのを認めてほしい」という若手の声のように思います。また、認めてもらうには、コミュニケーションの機会が必要だということかもしれません。
「理想の社風」と言われる企業の例
さて、このように改善を求める若手ですが、人材育成の現場で感じていることをお伝えします。それでは実際に、若手社員に発言の機会があったと仮定した時に、発言するのかと言うと、そうでもないように思います。どちらかというと、上司(または周囲)がお膳立てして、自分が発言する機会を作ってくれるのを待っている。受け身の姿勢に映ります。
それでは、彼らを"受け身だから"と言って、自分から意見を言ってくるのを待っていていいのか・・・というと、残念ながらそれでは育たないようです。以前、社風が良いと言われる人材輩出企業某社の役員に、社内の人材育成についてお話を伺う機会がありました。その役員の方がおっしゃるには、その会社でも、以前に比べて前に出てくる社員はいなくなり、「上手く乗せてやらなければいけない」というのです。
どのようなことかというと、若手社員に、育成も兼ねて「発言する機会」と「結果を認める場」を作っているそうです。その場は、職場とは違う公の場だそうです。必要に応じて知識やスキル、必要な支援も受けられるとのこと。その上で取り組み結果を評価し、良いものであれば生かし、そうでないものは、どこが良くないのかを伝えるというお話でした。
それを、繰り返し繰り返しやって取り組むうちに鍛えられ、人が育って行くというのです。大変だけれども、それをやらなければ育たないともおっしゃっていました。
私は、このお話を伺った時に、人材育成の担当者が担うべき役割は、正にこの機能だと思いました。
また、実際に私が依頼される仕事では、このような要素を仕組みとして取り入れています。(効果は非常に高いです)
人材育成=現場支援部隊
本来は、管理職や職場のリーダークラスが若手社員の意見を聞き、上手く育成してくれることを期待しますが、管理職もリーダーも自分の仕事を持っているので、なかなかゆとりがないのが現状。まして、若手社員の意見が、正しいことを言っていたとしても「感覚的」と感じられてしまえば、耳を貸してもらえないでしょう。(実際にこのようなケースは多いです)
管理職やリーダーにもしっかりした意見を言うための伝えるスキルは、場数やトレーニングが必要です。理想の社風づくりは、私たち人材育成部隊の支援があって成り立つものかもしれませんね。
(参考)調査概要は下記をご覧ください。
・ビジネスメディア誠 記事(調査実施:コクヨファニチャー)