卒業予定者への期待=既存社員への期待?
厳しい採用
2011年度卒業予定者の採用活動が、主要企業を中心に終盤を迎えています。約3割の卒業予定者が内定をもらえていないという調査結果(株式会社ディスコ「日経就職ナビ 就職活動モニター調査」2010年7月発表)も出ているようで、景気が少し上向いてきたものの、長期投資となる人材採用となるとまだまだ厳しいのが現状。学生さんにとっては、厳しい状況が続いています。
その一方で、別の調査結果では「採用の満足感は低下」という現実も。(株式会社ディスコ 「採用活動に関する調査」2010年7月調査、8月2日発表)。約65%の企業が、質的、量的、その両方に対する不満を持っているという結果です。うち30%ほどは、量的な不満を訴えていることを見ると、未内定者の行き先の一部には、まだまだ余地があると言えるでしょう。
採用する側、される側、なかなかうまくいかないようです。
内定者像を探る
それでは、企業が必要とする学生さんというのはどのような人たちなのでしょうか?新卒採用の株式会社ジョブウェブが、「【11卒調査】4月に内定を持っていた学生が最も重視する企業選び基準」という調査結果(2010年4月調査、7月28日発表)を出しています。それによると、内定がある人とない人で、面白い違いが読み取れます。
・内定が決まっていた人が重視するベスト3(4月末現在)
1.自分のやりたいことができるか(21%)
2.成長できるか(17%)
3.雰囲気、社風(14%)
・内定が決まっていない人が重視するベスト3(4月末現在)
1.自分のやりたいことができるか(20%)
2.雰囲気、社風(19%)
3.事業内容(13%)
この調査結果から推察すると、内定が決まっている人は、何かしらの目的意識を持って、それが実現できそうな環境があるかを重視している傾向がうかがえます。一方、内定が決まっていない人は、目的意識はあるものの、それよりも環境を重視する傾向がうかがえます。
企業側から見た時に、早く獲得したくなる学生さんと言うのは、「目的意識が強い人」と言えるようです。
卒業予定者への期待は・・・既存社員への期待?
上記のことを人材育成の視点で見ると、卒業予定者に期待していることは、既存の社員に期待することとイコールなのではないかなと。もし、採用に満足出来ていないとすると、既存の社員が目的意識を持って仕事が出来るように方向づけることが先なのではないかと思います。そうすれば、そのような社員を見て、「この会社で働きたい」と言う目的意識を持った学生も増えてくることでしょう。また、まだ目的が明確に持てていない学生さんも、社員の働く姿を見て、「こういう風になりたい」と影響を受けることも考えられます。
ちなみに、就職活動中の学生が"魅力的"と感じる要素のベスト3は、1.人事担当者が魅力的、2.現場社員が魅力的、3.雰囲気・社風が良い、企業理念が魅力的、企業主催のセミナー・説明会が良いです。(【11卒調査】発表!今までの就職活動で出会った魅力的な企業!2009年12月調査、12月28日発表 株式会社ジョブウェブ)
少ない接点で、将来を左右する就職先を見極める必要がある学生さんが見ているのは、直接触れ合う"人"です。早い段階で内定がもらえている人が求める要素を、既存社員が満たしているか、確認してみるのも大切かもしれませんね。
(参考)各調査は、以下をご覧ください
・株式会社ディスコ 調査
7月1日現在の内定率68.7%、前年より微減に~『日経就職ナビ2011 就職活動モニター調査』(2010 年7 月)結果より~
http://web.disc.co.jp/topics/monitor_20100720.htm
"買い手市場"のはずが・・・ 採用の満足感は低下~『採用活動に関する調査』(2010年7月)結果より~
http://web.disc.co.jp/topics/11saiyouJuly_20100802.htm
・株式会社ジョブウェブ 調査
【11卒調査】4月に内定を持っていた学生が最も重視する企業選び基準
http://www.jobweb.co.jp/company/honne/10685/
【11卒調査】発表!今までの就職活動で出会った魅力的な企業!