伝わる「想い」
先週に引き続き、マネジメントの話。
マネジメントが上手くいっている組織の例
2008年後半から2009年にかけて、リーマンショックと言われる金融危機や、新型インフルエンザ等の影響で、多くの企業業績が急激に悪化しました。そのような景気後退局面では面白い現象が起きます。それは、そのような時でもほとんど影響を受けない企業(業績を伸ばす企業)が浮上し、注目が集まることです。景気後退局面で注目される企業を観察すると、「マネジメント」というものがどういうものなのかが、外から見てもわかります。今週は、マネジメントが上手くいっていると感じられた企業を例に挙げ、「マネジメント」について再確認します。
マネジメントとは?
マネジメントの成功要因を探るために、「マネジメントとは」を確認してみました。ここでは「もしドラ」ではなく、原本で確認します。【エッセンシャル版】マネジメント「基本と原則」P.F.ドラッカー著 上田惇生編訳 の冒頭に次のように書かれていました。
マネジメントの3つの役割
(1)自らの組織に特有の使命を果たす。マネジメントは、組織に特有の使命、すなわちそれぞれの目的を果たすために存在する。
(2)仕事を通じて働く人たちを生かす。現代社会においては、組織こそ、一人ひとりの人間にとって、生計の資(かて)、社会的な地位、コミュニティとの絆を手にし、自己実現を図る手段である。当然、働く人を生かすことが重要な意味を持つ。
(3)自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する。マネジメントは、自らの組織が社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題の解決に貢献する役割がある。
(引用了)
消費者として抱くイメージは意外と正確
「マネジメントの3つの役割」を確認したところで、「役割を果たせている」と感じられる企業を私なりにイメージしてみました。すると、そのイメージとウェブサイト上の情報を比較してみると面白いことに気づきました。イメージした会社の全てで、自分がイメージした会社に対する印象と、会社が発信しているメッセージが一致していたのです。
それによってわかったことは、消費者として漠然と受けとめている印象は、意外にもその会社が伝えたいことを正確に受けとめているということです。
ご参考までに、私が思い浮かべた会社は次の3社でした。
企業のウェブサイトより
【日本マクドナルド】
クイックサービスレストランとしての最高の店舗体験の提供により、お客様にとって「お気に入りの食事の場とスタイルであり続けること」をミッションとします。そしてQSC&V(Quality品質,Serviceサービス,Cleanliness清潔さ,Value価値)をレストラン・ビジネスの理念としそのミッションを達成します。
→もっと詳しい内容をご覧になりたい方は、ウェブサイトの「会社情報・会社案内・レストランビジネスの考え方」のページをご覧ください。
http://www.mcdonalds.co.jp/company/outline/rinen/rinen.html
【旭山動物園】
コーポレートメッセージ:伝えるのは命の輝き
使命・役割:1.レクリエーションの場 2.教育の場 3.自然保護の場 4.調査・研究の場
→もっと詳しい内容をご覧になりたい方は、ウェブサイトの「使命・役割」のページをご覧ください。
http://www5.city.asahikawa.hokkaido.jp/asahiyamazoo/
【伊那食品工業】
社是:いい会社をつくりましょう~たくましく そして やさしく~
いい会社の定義:単に経営上の数字が良いというだけでなく、会社をとりまくすべての人々が、日常会話の中で「いい会社だね」と言って下さるような会社のことです。「いい会社」は自分たちを含め、全ての人々をハッピーにします。そこに「いい会社」を作る真の意味があるのです。
→もっと詳しい内容をご覧になりたい方は、ウェブサイトの「経営理念」のページをご覧ください。
http://www.kantenpp.co.jp/corpinfo/rinen/index.html
マネジメントが上手くいっている会社と言うのは、会社全体で実現したい想いが外に伝わっています。そして、その影響は想像以上に大きいようです。「言行一致」とよく言いますが、それが具現化されいているといっても過言ではないでしょう。
しかし、多くの人がそのことに気付きつつ、できない現実があります。明日は、マネジメントが難しい理由をマネジメント研修で実際にお聞きする声から、考えてみたいと思います。