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[書評]独立国家のつくりかた

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まず最初に断っておくと、この本は日本から独立した国をつくるとかそういった類の話ではない。レイヤー=つまり一般的に認知されている階層とは別の世界を注視することで、違う社会構造が見えてくるという思考実験である。


独立国家のつくりかた (講談社現代新書)


いま、日本の食料自給率はカロリーベースで40%とか金額ベースで70%だとかいろいろなことが言われている。でもこの話は前提条件があって、例えば他国との交易がほとんどない北朝鮮なんかは食料自給率は100%となる。果たして、日本よりも北朝鮮の方が食料自給率が高くて安心な国なのだろうか?


また実は、日本では自給率100%にすることが可能だが、40%の食料廃棄をしなければ既存の効率化された流通網や産業構造の雇用を維持できないと言われている。スーパーに並ぶバラ肉をカットするのに、いちいち肋骨の間の肉まで取っていられないのである。


著者は、都市型狩猟採集生活やモバイルハウスといったテーマで本を書いている。路上生活者のライフスタイルを注意深く観察することで、これらの余剰分を資源としながら暮らす人々の知恵を可視化しているのだ。


独立国家とはまさに、このような既存の社会構造の隙間に存在する。一般人が何も考えず、労働して賃金を貨幣として受け取り、生活に必要な物資を購入するといった現代社会の当たり前の消費行動が存在する。それに対して、別のレイヤーでのライフスタイルを取り入れることによるリスク低減や質的充足を目指すのだ。


これは別に新しい概念ではない。日本でも戦前までは、封建社会や中央政府という統治機構に依存しない山間民族や海上民族、階級社会は当たり前に存在していた。無菌化され、中央集権の統治機構がコントロールするようになった社会とは、意外に歴史は浅いものなのだ。


日本という国の中央政府は、もはや機能不全に陥っている。それに対して文句を言っている暇があったら、自分自身の生活を充足させる独立国家があっていい。




YouTube: 坂口恭平 独立国家のつくりかた 政権演説HDVer.Vol1.mov




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