SNSが国家を超える日
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映画『ソーシャル・ネットワーク』のレビューに関してはオルタナブログの方に書いたので、 このFacebookをはじめとしたSNSが将来どのような影響を社会に与えていくかについて、考察してみたいと思います。
資本主義の発展に必要な要素とは、既存の法や規制に基づいた<条理空間>を超越するような<平滑空間>という新しいルールを設定する動きだと言います。(<条理空間>と<平滑空間>については、ドゥルーズとガタリによる『千のプラトー』を参照してください。)
例えば大航海時代は、それまで陸路での交易が中心だったヨーロッパ諸国において、オスマントルコの台頭によって既存の<条理空間>が危機に瀕します。そこからスペインやポルトガルが海路を開拓したことによって、新たな<平滑空間>を創造し、資本主義のパラダイムが変わります。
同様に、革命や資源、戦争などの要因によって、世界の覇権はスペイン⇒オランダ⇒イギリス⇒アメリカという形で推移してきました。そして現在、金融危機の影響でアメリカの覇権構造も揺らいでおり、石油文明によってつくられた<条理空間>そのものが限界を迎えています。
先進国は低成長を前提とした産業構造へと転換を迫られており、高齢化社会や環境制約といった社会課題に対応していくことが求められます。この新たな<平滑空間>を創造するのが、実はソーシャルネットワークなのではないかと思うのです。
たとえばレアジョブのようなオンライン英会話システムは、インターネットの低コスト化と新興国との経済格差を組み合わせたビジネスモデルですが、あくまで<条理空間>の制約に基づいた事業です。授業の相性といった面はあるかもしれませんが、基本的には英語を教えるという本質価値においては、教わる相手は誰でも構わないものです。
それが日本の山あいの限界集落からハーバードの白熱教室に参加できるような先進国同士の"教育という価値のデフレ"が起こった瞬間に、<平滑空間>として知識がコモディティ化していきます。つまり、これまでは地理的な制約によって最高でも東大を目指していたような田舎の日本人に対して、世界中の最高学府にアクセスできる権利が与えられるのです。
このような社会の繋がりのイノベーションがたくさん起こるようになって、資本主義は新たな局面でまた発展していくことになるでしょう。その根幹となるのが、実はソーシャルネットワークによる価値の可視化であり、前提として実名による責任を伴った発言と情報の蓄積なのではないかと考えています。
実際にハーバードのサンデル教授の授業が人気を博したのは、ハーバードという権威よりもその内容がソーシャルメディアを中心に口コミで広がり、受けてみたいと考える人々が世界中からアクセスしたからです。これらの情報の蓄積が、既存の<条理空間>における制約を超える可能性は高いです。一方で、海外の人々が日本の価値を<平滑空間>で再認識する流れにもなることでしょう。
国境を超えて、様々な価値が共有化された場合に重要になってくるのは、分かりやすく希少な価値だと思います。そこで強いのは、歴史や文化、芸術といった積み重ねでしょう。だからこそ、日本の中山間地域に残る伝統の暮らしを再発見して、それを世界に発信していくことは新しいパラダイムにおいては産業創造の鍵となると考えています。
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資本主義の発展に必要な要素とは、既存の法や規制に基づいた<条理空間>を超越するような<平滑空間>という新しいルールを設定する動きだと言います。(<条理空間>と<平滑空間>については、ドゥルーズとガタリによる『千のプラトー』を参照してください。)
例えば大航海時代は、それまで陸路での交易が中心だったヨーロッパ諸国において、オスマントルコの台頭によって既存の<条理空間>が危機に瀕します。そこからスペインやポルトガルが海路を開拓したことによって、新たな<平滑空間>を創造し、資本主義のパラダイムが変わります。
同様に、革命や資源、戦争などの要因によって、世界の覇権はスペイン⇒オランダ⇒イギリス⇒アメリカという形で推移してきました。そして現在、金融危機の影響でアメリカの覇権構造も揺らいでおり、石油文明によってつくられた<条理空間>そのものが限界を迎えています。
先進国は低成長を前提とした産業構造へと転換を迫られており、高齢化社会や環境制約といった社会課題に対応していくことが求められます。この新たな<平滑空間>を創造するのが、実はソーシャルネットワークなのではないかと思うのです。
たとえばレアジョブのようなオンライン英会話システムは、インターネットの低コスト化と新興国との経済格差を組み合わせたビジネスモデルですが、あくまで<条理空間>の制約に基づいた事業です。授業の相性といった面はあるかもしれませんが、基本的には英語を教えるという本質価値においては、教わる相手は誰でも構わないものです。
それが日本の山あいの限界集落からハーバードの白熱教室に参加できるような先進国同士の"教育という価値のデフレ"が起こった瞬間に、<平滑空間>として知識がコモディティ化していきます。つまり、これまでは地理的な制約によって最高でも東大を目指していたような田舎の日本人に対して、世界中の最高学府にアクセスできる権利が与えられるのです。
このような社会の繋がりのイノベーションがたくさん起こるようになって、資本主義は新たな局面でまた発展していくことになるでしょう。その根幹となるのが、実はソーシャルネットワークによる価値の可視化であり、前提として実名による責任を伴った発言と情報の蓄積なのではないかと考えています。
実際にハーバードのサンデル教授の授業が人気を博したのは、ハーバードという権威よりもその内容がソーシャルメディアを中心に口コミで広がり、受けてみたいと考える人々が世界中からアクセスしたからです。これらの情報の蓄積が、既存の<条理空間>における制約を超える可能性は高いです。一方で、海外の人々が日本の価値を<平滑空間>で再認識する流れにもなることでしょう。
国境を超えて、様々な価値が共有化された場合に重要になってくるのは、分かりやすく希少な価値だと思います。そこで強いのは、歴史や文化、芸術といった積み重ねでしょう。だからこそ、日本の中山間地域に残る伝統の暮らしを再発見して、それを世界に発信していくことは新しいパラダイムにおいては産業創造の鍵となると考えています。
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当エントリに関連する過去エントリは以下のとおり。
マーク・ザッカーバーグの示す未来とは
江戸時代は日本で最初のグローバル化社会
日本が発展していく、3つの理由
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