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「電子自治体の取組みを加速するための10の指針」(案)とオープンデータの位置づけ

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総務省は2014年2月19日、『「電子自治体の取組みを加速するための10の指針」(案)に対する意見募集』を公表しました。

10の指針は以下のとおりです。

<第一節>番号制度導入に併せた自治体クラウド導入の取組み加速
 
【指針1】番号制度の導入に併せた自治体クラウドの導入 
【指針2】大規模な地方公共団体における既存システムのオープン化・クラウド化等の徹底
【指針3】都道府県による域内市区町村の自治体クラウドの取組み加速
【指針4】地域の実情に応じた自治体クラウド実施体制の選択及び自治体クラウド導入を見据えた人材育成・確保
【指針5】パッケージシステムの機能等と照合した業務フローの棚卸し・業務標準化によるシステムカスタマイズの抑制
【指針6】明確なSLAの締結、中間標準レイアウトの活用等による最適な調達手法の検討
 
<第二節>ICT利活用による住民利便性の向上
 
【指針7】オープンデータの推進に向けて、地方公共団体が保有するデータに対するニーズの精査及び推進体制の整備
【指針8】ICT利活用による更なる住民満足度向上の実現
 

今回は、

【指針7】オープンデータの推進に向けて、地方公共団体が保有するデータに対するニーズの精査及び推進体制の整備

地方公共団体は、保有するデータへの民間企業のニーズが高いことを念頭に、国のオープンデータ戦略等と十分に連携を図り、ニーズの高いデータについて精査を行い、部局間情報連携・情報公開体制の充実を行うこと。
その際には、オープンデータと個人情報保護・情報セキュリティとの関係についても整理し、住民の理解が得られる形での積極的なオープンデータ施策を実施すること。

について、とりあげてみたいと思います。

オープンデータの推進における現状と課題では、オープンデータを活用することで、地方公共団体の保有するデータを民間が活用することによる新たな産業の創出や、庁内でのデータ連携による行政の効率化・行政サービスの向上などが期待されています。一方、地方公共団体が保有する個人情報の保護やセキュリティ確保の観点からデータの取り扱いなどに注意する必要性を示しています。今回の大雪のように、災害時などにおける情報の整理と公開の重要性も指摘しています。

地方公共団体に期待される指針実行のための取組みとして、以下の5点をあげています。

① 保有するデータに対する民間ニーズの把握、関係法令との関係整理を実施
各団体が保有している公共データについて、現状と民間ニーズを把握し、個人情報該当性を検証する。 また、東日本大震災の教訓を踏まえ、緊急時に有用と考えられる公共データについては提供が可能となるよう取組みを進める。

② 上記①で把握した公開ニーズのあるデータについて庁内の情報連携を強化
部局間情報連携を行い、行政の効率化や行政サービスの向上が図られるよう、庁内の公共データの整理・活用のためのルール等の整備を検討する。

③ 二次利用可能なデータ形式による情報公開体制の整備
公開されるデータは二次利用可能である必要があるため、データの形式等について、国のガイドライン、データカタログサイト等を参考にオープンデータに適したものとする。

④ 国の実証実験等への参加
国が行う実証実験や調査研究への参加等を通じて、公共データ活用のために必要なルール等の整備など、積極的なオープンデータの取組みを実施する。

<総務省における実証実験等の例>
「公共クラウド」、「情報流通連携基盤構築事業における自治体行政情報実証」、「G空間プラットフォーム構築事業」、「災害に強いG空間シティの構築等新成長領域の開拓のための実証」 などをあげています。

⑤ 新たな住民満足度向上施策の検討
G空間情報を活用した行政サービスの高度化の実現、スマートフォンなどの新たなデバイスの活用、住民からリアルタイムで提供されるデータによる市民協働型の地域課題解決等、新たな行政サービスの検討を行う。

総務省では、④であげた実証実験を通じて、国による実証実験等に参加する地方公共団体における先進的な事例を紹介するなどによって、国のオープンデータ戦略に沿った地方公共団体のオープンデータへの取組みの全国展開を、地方公共団体情報システム機構などと連携しながら推進していくとしています。

オープンデータ普及には、地方公共団体のデータの公開が必要不可欠となります。しかしながら、政府が公開する様々なアンケート結果などを見ても地方公共団体は、データ公開自体に多くのメリットを感じず、オープンデータとして公開している地方公共団体も現時点で30前後にとどまっているのが、現状です。

地王公共団体のオープンデータの取り組みの全国展開を進めていくためには、国の実証事業だけでなく、地方公共団体がオープンデータを推進するためのガイドラインの策定や、各地方公共団体がアクション・プランを策定、そして、Code for Japanに代表されるようにシビックハックとの連携など、様々な議論と検討を進めていく必要があるのかもしれません。

 

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