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2005年8月12日 » |
本日の日経産業新聞朝刊を見て改めて思い起こさせてもらったのだが、10年前の1995年8月9日(米国時間)、NASDAQにNetscapeが上場したことをきっかけに、インターネット業界と呼ばれる市場がその産声を上げたのだった。
当時僕はマレーシアのクアラルンプールにおり、KLIA(KL国際空港)、KLCC(クアラルンプール・シティセンター)などの大型プロジェクトに一枚噛もうと奮闘していた時期で、インターネットは一ユーザーとして関心を持っていただけで、業界的には全く異なる場所にいたのを思い出す。
しかし、Netscapeのチャレンジと成功(そしてその後の挫折)に強くインスパイアされたとはいえ、その2年後には会社を辞し、自らアジア在住邦人をメインターゲットにしたポータルサイトを立ち上げることになるとは思いもよらなかったのだが・・・。
Netscapeはご承知の通り、結果的には(Microsoftに正面から喧嘩を売るような)自らの傲慢さ、Yahoo!のようなポータルビジネスへの無関心(その後Netcenterというポータルを作りはしたが)が災いして、AOLに身売りした後、創業メンバーも散り散りになっていった。その意味では、事業としては敗北者と言える。
しかし、Netscapeは失敗だったか?と問われれば、偉大な成功であったと答える。創業メンバーは金銭的には十分な見返りを得たし、ブラウザというインターネットへの窓を開けたことや、彼らに続くネット企業の成功を導いたという意味でも先逹として大きなリスペクトを得た。また、SSLをはじめとする技術革新の恩恵は大きく、今にわかに注目されているRSSもまたNetscapeの残光の一つである。新たに設立されたMozilla Corporationのような素晴らしい試みにもつながっているわけだし、Netscapeという名は、インターネット事業に関わる者にとってはいささかも輝きを失なっていない、と思っている。
あれから10年。Next Decadeにおいて、真に輝くことが出来るのは果たしてどの企業だろうか。
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ITに限らず、ベストの技術が結果的にデファクトになれないことは、本当によくあることだ。
古くはVHSとベータマックス。画質やテープ自体のサイズなどを比較すればベータが勝利すると思った人は多かったはずだ。あるいはインターネット・エクスプローラーとネットスケープ、WindowsとMac、Outlookのメール仕様とW3C準拠のメール仕様。
技術的に正しい、もしくは優れていたほうが勝つわけではなく、政治的な要因で決することのほうが遥かに多いのである。
別の例ではQWERTYがある。これはキーボードのQから右に並ぶ、現行の配列を指す言葉である。
現在のキーボードの配列は、タイプライターの時代から変わっていないのだが、この「QWERTY」の配列が、タイピングでの最高効率を考えて作られているかというと実は真逆。タイプのスピードを下げるために考えられた配列なのだ。
これは、昔のタイプライターが、早くキーを叩くとしょっちゅうインクリボンが絡まってしまうという故障を起こしていたため、誰かがタイプスピードをわざと落とすためにこの配列を考えだしたものだ。既にどんなに早くタイプしてもコンピューターがハングすることはないし、実際これまでに何度もいろいろなメーカーが新しいキーの配列を考案してはQWERTYに挑戦したが、結局そのままに落ち着いている。多分、キーボードに代わる入力インターフェイスが台頭するまで、QWERTYは生き続けるだろう。QWERTYはむしろ偶然の賜物であるが、優れているかどうかではなく、クリティカルマスを先にクリアしたほうが勝つ、という良い証左となっているのだ。
RSS/Atom Feedの普及については、僕自身は大きな希望を持っているが、クリティカルマスに達するまでには、さまざまな形、さまざまなメンターによる支援が必要であると思う。これはあらゆる技術や商品に共通することではあるけれど。セマンティックWeb、とまではまだ言えなくても、よりシンプルな情報伝達フォーマットしてのFeedの普及によって、個人や企業におけるコミュニケーションのあり方は大きく変わると信じている。しかし、なんらかの偶発的競合もしくは確信犯的侵攻によって(部分的であるか全体的であるかは関係なく結果として)それが阻害されないとは残念ながら言えない。
それがYahoo! Widget のようなサービスによってなのか、特定企業の独自拡張によるものなのか、それは今のところ全く分からない。むしろ、そうした存在がFeedの普及を促進するのかもしれない、とも思う、こともあるのである。
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