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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

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2013年1月15日の投稿

2013年1月17日 »

各所で時々スマートフォンとタブレットの違いの議論に触れる事があります。まぁ確かにスマートフォンが徐々に大きくなり、逆にタブレットとして売り出されるものとのサイズの差や出来る事の差がなくなってきているのは事実ですし、そこに何らかの定義を求めたくなるのも人情として理解できるのですが、なんでそこまで細かい定義をしたがるのかなぁという気持ちになることもあります。曰く、「そのサイズならタブレットでしょ」とか「もうスマートフォンいらなくない?」とかまで含めて。

因みに私としてもそんな議論を眺めつつ色んな事を考えるんですが、そこには自分が禄を食む業界としての立場、そしてあくまでも通信サービスの利用者個人としての立場の両方があったりします。ただし前者に関して言うと製品やサービスに全く関与していないという純粋な土管屋というのが立ち位置ですので、実際にメーカーサイドをふくめてどんな定義をしてるかなんてのは知りません。とは言え、後者於いても純粋な利用者という立場を取りづらい程度の業界経験はありますから、そこは差し引いていただいてですね…

 

要は、提供側が通話の機能を実装していればスマート「フォン」でいいんじゃないの?という暴論

極論すると、SkypeやらLINEやらが使えるPCって電話じゃないでしょ?ってのと同じで、何かしらのサービスを利用して通話が出来たとしても、通話の品質やら何やらを通信事業者が担保しない機能しか実装していないなら電話じゃないでしょ?というのが基本形。つまり、どんな大きさであれ通話の機能が基本機能として実装されているなら、たとえどんなサイズだろうが形だろうが電話を名乗って良いんじゃないんですか?という話です。

でもって、一般認識で言うと主にタッチパネルで操作する手の平に乗る端末機器を提供側がスマート「フォン」と呼ぶならそれで良いし、それが多少大きくなろうがどうであろうが、スマート「フォン」と名乗るならスマート「フォン」で構わないんじゃないかと思うんです。

 

え?それだとマーケットが納得しないって?

でも、通話を基本機能として実装していない機器を「電話」と呼ぶ方がもっと違和感あるんですよ。あ、あくまで個人的には、ですが。その方向で言うとたとえSkypeやLINEやらで通話できても、それは電話じゃないと思うんですよ。たとえ同じ形してたり操作も基本的に同じだったり、果てはOSが「基本的には」同じであっても。

で、ここで冷静に考えると、スマートフォンもタブレットもそもそもカテゴリーの名称ではあるけれど、そのカテゴリーに常に新しいものをはめ込もうとする事自体には早晩無理がくるわけだし、常に無理な部分を内包しているとも思っています。他に表現方法が出てきていないからそれを使ってることは多いし、新しいカテゴリーが出てくるとそちらに鞍替えするものもあるという図式じゃないかと思うんですよ。曰く「元々のコンセプトはこうだったんです」とか。

因みになんで「どうでもいいじゃん」とか言いつつ微妙に拘るのは、長生きしてるお陰でかつて今で言う携帯ゲーム機くらいの大きさの"PC"の栄枯盛衰を直接見ましたし、本来電卓のお化けみたいな製品なのに市場から強く支持されて随分と長生きできたモノがあったのも見てきましたし、あるいは日本で最初にスマートフォンを名乗った端末のプロモーションもそれなりに手伝いましたし、自分でも「スマートフォン」なり「タブレット」なりを何機種も渡り歩いてきていますし…

 

良し悪しは別として、カテゴリーで説明することはカテゴリーに縛られる事、あるいは縛る事

カテゴリーを作ると位置づけを説明しやすいんですが、大抵最初にそれまで誰も名乗っていなかったカテゴリーの製品が成功しそうだとすると色んなところがそこに参入し、こんなのを出すぞ!ってところが一番みんなワクワクしてて、それらの第一世代が出ると色々と議論が沸き起こり、第二世代くらいが出てくると飽き始める人が出てきて、でも別のカテゴリーを名乗るほどの動きが無くて既存のカテゴリーに押し込んで理解しようとして、でもそうするうちに既存のカテゴリーでの分類で収まらなくなる物が出てきて何時の間にやらもとのカテゴリーの定義が変わってしまい・・・ 

ってことで、そもそもスマートフォンってのは電話帳とスケジュール管理機能とSMSの送信機能を持った携帯電話だったんだよなんて7年前の定義を持ち出しても「なにそれアホか」で終わるんですが、それを踏まえつつ、とりえあず「電話」を名乗るなら提供者が最初から通話の機能を実装してるかどうかだけを考えればよくて、それ以外を括る単語が今は「タブレット」なら「タブレット」で良くないですか?と思うんです。既にその区分け自体が破綻しつつあるし。

あくまで個人的な乱暴な線引きですが。

bibendum_iwa

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プロフィール

岩永慎一

岩永慎一

外資IT、日本のIT系を経由して現在通信事業者に勤務。営業やSE、更にはコミュニケーション系を中心にありとあらゆるマーケティング関連の仕事を経験してきたが、現在は通信業界の特殊部隊として常に完全装備で課題に取り組む。

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