THE SHOW MUST GO ON:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) THE SHOW MUST GO ON

通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

« 2012年10月4日

2012年10月15日の投稿

2012年10月17日 »

昨日、住んでいるマンションの管理組合総会があり、とりあえず事前に設定されていた議題が全部終わった後のお話の中で、いま住んでいる5階建て免震構造のマンションの屋上にソーラーパネルを設置する事を検討してみるのはどうでしょうか?という話になりました。たとえば設置後の売電収入で何かしらメリットがあるのではないか、あるいは災害時にそれらが役に立つのではないかといった思いからのお話だったのですが、それなりに知られている話として実は既に建っているマンションを含めた建物の上に設置するのはそれほど楽な話ではありません。

で、たまたま職業柄「屋上に後付けで設置する設備」というものにそれなりに馴染みのあるワタシとしては以下の3点をもってとりあえず現実的なところを考えましょうよという話に収めるという事をやりました。どこまで一般化できるか、更には他にどんな物件に対して同じ考え方で行けるのかというトコロは建築の専門家ではないワタシとしてはあまり自信が無いのですが、とりあえずひとつの事例としてのお話です。

 

ワタシが自分の経験から知っている困難な点

あくまでもワタシが住んでいるマンションの状況を踏まえての話ではあるのですが・・・

  1. 仮に災害対策を考えるのであれば、(コストを含めた設置可能かもしれない機器の条件として)通常設置できる設備は自家発電装置ではないので東電から受電できなくなった=災害などで停電した場合にはマンション全体への給電設備としては殆ど役には立たない。
  2. 建物の構造計算をやり直さないと判断が出来ないが当初想定していない重量物を載せることは躯体にとって良いコトでは無い。
  3. 屋上構造を後からは変更できないので現状の防水工事がなされた上に設置することになるが、それにより防水対策された設置面自体が傷むことと、(現状築10年超のマンションにおいて)近々に訪れる防水工事をやり直すタイミングで設置した構造物を一度撤去しなくてはならず、仮に設置した時点で何かしら補助金が出たとしても撤去再設置のコストは設置者負担となるので長期的に見て後付は得策ではない。

以上の3点がその場でワタシがその場に居た皆さんにお話した内容です。これが困難な理由の全部では無いのは重々承知の上ですし、そうは言っても設置できる機器があるかもしれませんし、このコメントにワタシ自身の誤解を含んでいる可能性もあるのですが、少なくともワタシ自身がこれまでに遭遇した経験をベースにお話できた事ではあります。ちなみに例えば(1)については事実上自家発電装置として独立して稼動できる設備があるのは知っているのですが、正直後付けでマンションの屋上に設置するレベルの話ではないという理解をしています。もちろん実際にはワタシが知らないだけかもしれませんし、また今後はそういう設備も安価かつ軽量なものが出来てくるかもしれませんが、今現在は正直簡単な話じゃないという理解をしています、という主旨でお話した次第です。

 

たまたまそこで別の方がお話した事例、そして経験

それ以外にも、他の居住者の方からの勤務先の工場の屋上に設置を検討したときに建物の構造上の問題などからやはり後付は余りにハードルが高くて断念したという経験談がありました。またそれ以外にも管理会社の担当者の方から建物の保全のプロとしての幾つかの事例を含めた補足の話をしてもらった結果、今この時点で何を決める訳では無いし、調べてみることで別に損する話じゃないのでとりあえず調査は続けてみましょうという結論にはなりましたが、実は例えばソーラーパネル設置におけるデメリットというのは自分の問題にならないと中々気が回らないよなぁというのを改めて思った次第。

因みにこのあたりの話は良く言われている既に建っているマンションでプラグインハイブリッド車を運用するのはとても難しいという話と同じで、基本的な躯体や設備に関わる部分を後から変更するのは基本的に難しいという話であるわけです。かといって立て直すか?なんてのはあまり現実的じゃないので、特に設備関係の普及というのは非常に時間がかかる部分があるのも尤もな話だったりするわけです。

 

でも解決策があるなら設置する?というのは更に別次元の話

一戸建てとは違い区分所有権が絡み合った中でのモノゴトの判断になりますから、単純にソリューションがあるぞこれはすごいぞ今すぐやるぞとならないのは仕方の無い事。でも、そのうち何か方法ができてくるのかもしれません。ということで、そのあたりは諸々自分でも勉強しつつ知識を錆び付かせないようにしないといけないよなとは思っています。

ちなみに、じゃぁそれが建物じゃなくて地面だったら?って話は、以前にワーワー騒がれつつ現状は静かに進むところは進んでいるようですが、これは単独のマンションでの事例とは別の次元で進む話なので、まぁあちらこちらで何かやってて、形になる時点でそれぞれアナウンスされ、あるいは運用が始まるんだろうなとは思っています。

で、お前はそれらについてどう思ってるんだよ?的なところで言うと勿論思うところは色々とあるのですが、とりあえず装置産業と目される通信事業の末席で禄を食む自分としては、色々な選択肢を用意しつつ、社会に対してどれだけ安定的に必要とされるモノ(電力であったり通信インフラであったり)を供用できるかが大事だよね、という視点は持っています。

しかし、この「安定」というのがどういう分野においても定義と理解が立場立ち位置によって理解が異なり、全体としての理解レベルを一定に保つのが非常に難しいのではありますが。

bibendum_iwa

« 2012年10月4日

2012年10月15日の投稿

2012年10月17日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

岩永慎一

岩永慎一

外資IT、日本のIT系を経由して現在通信事業者に勤務。営業やSE、更にはコミュニケーション系を中心にありとあらゆるマーケティング関連の仕事を経験してきたが、現在は通信業界の特殊部隊として常に完全装備で課題に取り組む。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
カレンダー
2013年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
showbiz
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ