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通信業界特殊偵察部隊のモノゴトの見方、見え方、考え方

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2012年6月22日 »

 

海外のメディアで報道された内容を翻訳記事で見ることは別に珍しい事ではないと思いますし、私も普通にそうしています。ただし状況によっては原文を読んだ方が書いた人が伝えたいニュアンスが伝わる事も多いですし、実際メディアや記事自体によっては日本語訳はさらっと斜め読みして本家の原文をあたることが結構あるのも事実です。

因みにそういうやり方は人それぞれ。たとえば私の英語力では全く歯が立たないようなモノは翻訳記事を読むしかないし、私の場合には英語以外の言語はそもそも解さないのでどうしようもないんですけれど…

 

原文の主旨と違う翻訳に出会うとガッカリする・・・程度で済めば良いのですが

TechCrunch Japanに掲載されているMicrosoft Surfaceにさわってみた, 彼らのこだわりは理解できるが…という記事の件をちらっとFacebookのフィードで見かけて、直ぐに日本語の翻訳記事を読んで、原文に飛んでみるとおかしなことに気が付きました。

これ、最後のパラグラフを翻訳してないじゃん

 

どこかに消えてしまった「全体としてコイツは良く出来てるし、キチンと色々考えられてるし、レッドモンドの連中はいい仕事してると思うよ…」という文章

実はこのパラグラフで、日本語のタイトルとは全く違う主旨の事を述べていることに気が付いてしまったんです。因みに原文はHands-On With The Microsoft Surface, Inside And Outというもの。で、問題の翻訳されていない最後のパラグラフはこちらです。

In all it is a very nice, well-thought out, impressive effort from the folks up in Redmond (by the way, it’s still a mystery as to why this event was held in Los Angeles, but I suppose it was a nice excuse for us tech-focused folks to visit the headquarters of glitz and glam.) We still could be several months out from the Surface’s actual launch, but what we’ve seen so far looks pretty promising.

Here’s some other TechCrunch coverage of the Surface so far, and please stay tuned for more updates on the device

原文と日本語訳記事それぞれをどう評価するかは読む人の問題だとは思うのですが、少なくとも私自身は日本語訳記事のタイトルからはネガティブな印象しか受け取れないんですね。実際記事の文章自体もネガティブな方向の言い回しになっているような気がします。

それに対して原文はニュアンス的に翻訳記事よりもニュートラルな印象を持ちました。そして極めつけが翻訳されていない最後のパラグラフ。なにしろ書き出しからして「全体としてコイツは良く出来てるし、キチンと色々考えられてるし、レッドモンドの連中はいい仕事してると思うよ(岩永の意訳)」という調子。申し訳ないのですが日本語のタイトルからこのニュアンスは感じられません。

 

だったらソースをあたれ…って同じ看板を背負った日本側と米国の本家との間で言う話では無いと思うんです

正直ニュアンスが全然違う。元の記事を書いたライターの意図がなんだか斜め上に解釈されてしまう。で、最大の問題は日本の多くの読者が原文に触れる事は無いんじゃないかという事。つまりこの「原文のニュアンスとは違うとしか思えない記事」にしか触れる事が無いという事。

いや、別にだからTechCrunch Japanが駄目だとかそんな事は言いません。実は世の中の色んなメディアに掲載される翻訳記事の中で同じような事象に出会う事はそれほど少なくはありません。もちろん原文のニュアンスを日本語に単純に置き換えるのが難しい事があるのは理解しますし、そもそも日本の文化の中で理解されにくい文章になっているケースも多々あるのも理解しています。

でも、ニュアンスの問題と主旨の問題は別だと思うんです。私は。
で、そういったところが翻訳の責任であり、掲載するメディアの責任だと思うんです。大変差し出がましい話ではありますが。

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bibendum_iwa

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岩永慎一

岩永慎一

外資IT、日本のIT系を経由して現在通信事業者に勤務。営業やSE、更にはコミュニケーション系を中心にありとあらゆるマーケティング関連の仕事を経験してきたが、現在は通信業界の特殊部隊として常に完全装備で課題に取り組む。

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